重力

大好きだった蒼空を

足下そっかに落として踏みつけて

大嫌いだった都会のアスファルトに

崩れる様にキスをして




躊躇うほどの錆びに

ガシャン

肩甲骨をいっぱい

へばりつく様に預けて

横隔膜をいっぱい

これでもかと下げて


生きている

今は未だ


恭しく

白々しく

粛々と

整え置かれた一足

大人が人形を扱うみたいに

乱雑に投げられた

重石代わりの筆箱

ぐちゃぐちゃぐちゃ

殴り書きの

少し砂を被ったメモ紙

祖母から貰った

四葉のペンダント

母が託した

真珠の指環

親友がくれた

蝶の髪飾り


重くて仕方ない。




嗚呼、なんて馬鹿馬鹿しい











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る