第7話「ドドスの未来」

 フェイトが地表に再び現れた時の混乱に乗じて、一人、その場をそっと抜け出た者がいた。言わずと知れたドドスである。

「冗談じゃない。あんなところにいたらどんどん身の危険が増すだけだ。それでなくとも光の剣士とは相性が良くないし、奴が出てくるとなるともっと会いたくない奴まで出てきそうだしな」

 ドドスは鬼人のような男を思い出していた。

 かつて、己を問答無用に切り捨てたあの男。そう、シモラーシャの幼馴染のドーラである。

 ドドスはシモラーシャよりもドーラの方が苦手だった。

 シモラーシャは確かに生意気で、いろいろと自分とは敵として相対したこともあったのだが、何と言ってもすばらしい金髪の持ち主で、単純ではあるのだが、テティを思い出させる。

 だが、ドーラは何もかもが自分とは正反対の男でもあったので、どうも苦手でしかたなかった。

 もっとも、ドドスも男である。男などよりも女のほうがいいと思うのは致し方ない。

 あんな顔をしていても、彼もまだ若い男であったのだから。

「とにかく、さっさとこの場から遠ざからないとな…」

 ところが、その彼の足が止まる。

 そして、複雑な表情を浮かべながら、もと来た道をそっと振り返った。

「……俺なんかを気に入ったと言ってくれたんだよな」

 ドドスは金髪の少女に妙に惹かれ始めていた。

 それは恋愛感情とは違う。

 さすがの彼もそんなに年の離れた少女には興味は出ないようだ。だが、幼馴染の少女以外に初めて自分を認めてくれた相手である。どうしても気になってしまうのは仕方ないだろう。

「だが、所詮、住む世界の違う人だ。俺が一緒に居られるような人ではない」

 ドドスは苦々しく呟く。

「彼女は神の子だ。俺は一度は邪神と通じ合った人間だからな。こんな汚れきった俺が傍にいていいはずがないんだ」

 そう吐き捨てるように言うと、彼は今度は振り向きもせずにずんずん歩き出した。「これでいいんだ。正しいんだ」と、己に納得させるようにぶつぶつ呟きながら。それでも、心は引き裂かれそうなほどの痛みに襲われていた。

 だが、運命は彼をそのまま逃しはしなかったようだ。

 彼がそこから歩き出してから一時間も経たぬうちに、彼がもっとも会いたくない人物と遭遇してしまったからだ。

「なっ…!」

 いつの間にか彼の目の前には、ぐったりとした少年を抱えた逞しい青年が立っていた。

 そう、それはクリフ少年を抱えたドーラだった。

 そして、その傍らではかつて自分のしもべとして使役していたリリスが、驚きの表情でドドスを見つめていた。

 互いに硬直したように見つめあい、急には行動に移せないようだった。

 だがしかし、さすがにリリスは少々動き出すのが早かったようだ。

 それもそうだろう。

 ドーラはクリフを抱えている。すぐには動けない。

 そして、リリスはその大切なクリフを命に代えても守ろうと決心した女だ。

「おのれドドス…まだ生きていたのか!」

「ま…待て…」

 ザッと足元の土を蹴って走り寄り、リリスは抜いた剣をドドスの喉元に突き付けた。が、ドドスも動いた。

 口で何を言っても無駄と一瞬で判断したからだ。

 彼の身体の周りに風が舞う。

(こ、これは…)

 それを本能的に感じ取ったティナが驚愕の眼差しをドドスに向けた。そして、ドドスに剣の切っ先を向けるリリスに叫んだ。

「待って…待ってください。彼を傷付けないで!」

「え…?」

 叫ぶようなティナの言葉に、リリスは驚いて振り返った。

「どうした、ティナ?」

 険しい表情でドドスを見つめていたドーラも、傍らに立つティナに驚いてそう言った。

 それは、ドドス本人もそうだった。

 彼もティナのことは覚えていた。

 ドーラによって切り捨てられ、死に瀕していた自分を救ってくれた神の子。邪神を復活させるために生贄にさらったのに、自分を憐れに思ってくれた優しい銀の髪の少女を彼は忘れたことはなかった。

 彼女のおかげで、愛していたが裏切られたと思い込んで長年憎んできたテティと和解が出来、そして、彼女の魂と一つになることが出来たのだ。忘れられるはずがない。

 その神の子ティナが、また自分を救ってくれるというのか。

 そんな奇跡がまた続けて起きていいのだろうか。

「あなた…確かドドスと言いましたね」

 ティナは静かに近づいてくる。

 もう一人の神の子、燃えるような金髪の持ち主のミーナとはまた違うたおやかで儚い印象のある神の子である。その黒く煙るような瞳も優しげではあるが、よくよく凝視してみると、彼女が見かけだけの少女ではないのだとわかることだろう。

「あの時、あのかわいそうな少女の魂と一緒になったあとに、あなたはすぐに私たちの前からいなくなってしまった。だから、あの時はわからなかったのだけど…それ以前はまったくそんな気配もなかったはずなのに…ドドス、あなたは神格化が始まってるようだわ」

「な…んだって?」

 ドドスだけではない。

 ドーラもリリスも驚愕の眼差しをティナに向けた。

「なに、寝言言ってんだよ。こんな奴が神格化だと?」

 ドーラは怒りのこもった声でそう吐き捨てた。そして、ギロリとドドスを睨み付けると口に出すのも嫌だというふうな口ぶりで続けた。

「こいつが多少の魔力を待っていたとしても、それはこいつが邪神と通じていた時に力を授かっていただけだ。それが神だっていう証拠にはならねえよ」

 ティナはじっとドドスを見つめたままだ。

 何かを探るようなそんな視線である。

 そして、ひとつ息をつくと言った。

「やはり神格化が始まってるわ。間違いない」

「………」

 ドーラは不服そうに唇をギュッとつぐんだまま何も言わなかった。

 言いたいことはあるようなのだが、ティナがこうと言ったら絶対に譲らないということを短い旅の間に身に染みて体感していたからだ。

 だが、納得できないという彼のためにティナは説明を忘れなかった。

「邪神に通じて多少の魔力のおこぼれをもらう闇神官も確かにいないわけではないけれど、その多くは仕えていた邪神、あるいは魔族が死んでしまえば力を失うものよ。けれど、この人は力を失っていない。そして、何よりも神格化を感じることのできる私がそう言うのだから、信じて欲しいと思うわ、ドーラ」

「む…」

 そこまで言われるともう何も言い返せない。

 だが、やはりどうしても彼には納得ができなかった。

 彼としては自分自身の神格化でさえも信じられないという気持ちを抱いていたのだ。

 己が神になれるような器ではないことは自身が一番よくわかっている。

 シモラーシャのような強大な力があるわけでもない。

 人々に支持されるような正義の味方というわけでもない。

 ごく普通の剣士でしかない。多少強いくらいの。

 幼馴染であるシモラーシャのような人間であれば、選ばれた者というのも信じられるのだが。

 だから、いくらティナに「あなたは神になる人です」と言われても、どうしても信じることができなかった。

 そんな自分であったから、正義とはまったく無縁のドドスのような人間が、ましてや邪神と通じていたこんな闇神官だった奴が神になど選ばれるはずがない、と。そんな彼の心を知ってか、ティナは言った。

「神になる資格は誰にもこうであるとは言えないの。ただひとつ言えるとしたら、痛みを感じる心のある人であれば誰にでもその資格はあるのよ。神って、特別な存在じゃないのよ。人間と神は紙一重なの。それを忘れないでほしいわ」

「…わかった。おまえの言うこと信じよう、ティナ」

 大きく息を吐くとそうドーラは言った。

 それを聞いて少しほっとした表情を見せるティナであった、が。

「だが、俺は納得したわけじゃねえよ。こいつが俺と同じだと認めたくねえしな。それだけは忘れるなよ」

 そう言うと彼はもう一度ギロリとドドスを睨み付けた。

(別にお前なんぞに認められたくなんかないぞ)

 ドドスは少々誇らしい気持ちを抱き始めていた。

 どんなにドーラに睨まれようとも、優しいティナの言葉が傷ついたドドスの心に染み渡る。

 ミーナといい、ティナといい、己を認めてくれる他人がいる。しかも普通の人間ではない高貴な存在である彼女らが、である。それはもう彼にとって昔の虐げられていた自分とは信じられないくらいの変わりようだ。

 もっと子供の頃にそういった認めてくれる誰かがいてくれれば、自分も闇に落ちることもなかっただろうにと思うのだが、だが、考えてみればたった一人だけいたはずなのだ。幼馴染の心優しき女の子が。その少女を信じることができなかった自分だ。

「俺はあなたが思うほど人の心の痛みがわかっているわけじゃないと思う…」

 ドドスのつぶやくような言葉を聞きつけたティナは目を細めて耳を傾けた。

「テティの気持ちなどまるっきりわかっていなかったからな。彼女のことをちゃんと信じることができていたら、俺だって…」

「あの…」

 そんなドドスの言葉をおずおずとさえぎってきた者あり。

 そう、リリスだった。

 彼女はティナに向かって悲痛な目を向けていた。

「お願いです。クリフを助けてくれる人のところまで早く連れて行ってください」

 彼女は泣きそうな顔でそう言った。

 それで思い出したようにドドスはリリスに視線を向け、それから、ドーラが抱えている少年に目を向けた。

「その少年は…?」

「おめーにはかんけーねーよ」

 ドーラが吐き出すように言った。

 それに対してムッとしたドドスだったが、すかさずティナが答える。

「私と同じ神の子です。どうやら氷神に眠らされたようで、それを目覚めさせることができるかもしれないおじいさまの使いでこの地に来ているジュークという方を探しているのです。ドーラの幼馴染であるシモラーシャさんと一緒にいるはずなのですが」

「彼女ならさっき会った」

「え?」



 さて、一方そのシモラーシャたちのいる場所では、今まさに驚愕の事実がジュリーから語られることとなった。

「炎の神器と大地の神器が炎神ディーズを呼び寄せたのだ。そして、その炎神を打倒したのはナァイブティーアスだった」

「なんと! おのれナァイブティーアス!」

 ジュリーの言葉に水神は怒る。

 だが、すかさずジュリーは続けた。

「だがな、俺たちはナァイブティーアスだと騙されていたんだよ」

「なに?」

 驚きの声は水神だけではなかった。

 ジュリー以外のすべての者が水神の声に重なった。

「どういうことだ?」

「俺は大地の御子と呼ばれる少年に出会った…」

 ジュリーは語る。

 大地の御子であるクリフは、そのナァイブティーアスと女神スメイルとの間に生まれた御子だということ。だが、そのクリフの本当の父親は実はナアィブティーアスに化けていた闇神イーヴルだったのだということを。

「なんだって!」

 ナァイブティーアスに巡り合った者はほとんどいない。

 だから、シモラーシャやクリジェスなどは、それほど驚くということはなかったし、ジュークももちろんそんなことくらいでは動じる人物ではない。ただ、マリーは面には出さなかったが、内心ではかなり動揺をしていたのだ。なんといっても彼はイーヴルの腹心ともいうべき人物だったのだから。

(なんと…彼は善神に化けていたのか。さすがの僕もそれは気づかなかったな)

「…ということは」

 すると、静かに佇んでいたジュークが穏やかな口調でこう言った。

「炎神を倒されたのはイーヴル様だということになりますが」

 彼の言葉に一同がハッとした。

 そうだ。

 ジュリーは、ナァイブティーアスが炎神を倒したと言った。だが、そのナァイブティーアスはイーヴルが化けていたというのだ。それはつまりは炎神を倒したのはイーヴルだということに他ならないということだ。

「な…なぜ、イーヴル様はそのようなことを…我等の長ではないですか…どうして…」

 水神フェイトは多大なるショックを受けたようだ。

 その場にへなへなと崩れてしまった。

 そんな彼とは違い、あまり状況を把握していないクリジェスは、まるで空気が読めていないような発言をした。

「要するに仲間割れってことか…いや、裏切りになるのかな?」

 クリジェスの言葉にハッとして顔をあげるフェイト。

「裏切り…そんな…イーヴル様は我等を裏切ったというのか…そうだ、裏切ったのだ…それが証拠にディーズは倒されてしまった…彼はもういない。やはり我はこのまま生きていくわけには…」

 ぶつぶつとフェイトは熱に浮かされたようにつぶやいた。

 すると彼はフラフラと立ち上がると、さらに言葉を続けた。

「魂が消滅してしまってもいい…我は己自身でおのれの命を止めてしまおう…何も信じられない。何も考えたくない。もう何もかも嫌になってしまった。これ以上は生きていく意味がない…」

「やめてください。もう誰も死なないで!」

 その時、水神の自暴自棄な言葉をさえぎるように幼い少女の声が響いた。

「お願いですから、死なないでください」

 それは月の御子であるティナだった。

 彼女は走ってきたのか、息が荒かった。肩も激しく上下して、頬も熱があるように赤く染まっていた。

 どうやら一人先にここにやってきたらしく、クリフを担いだドーラもリリスもドドスもまだ到着していない。

「おまえは…?」

 フェイトは近づいてくるティナに目を向けた。

 怪訝な目で彼女を見ている。

「私は月の御子ティナです」

 それを聞いたシモラーシャが「えっ?」と驚いた。そして、傍らに立つジュークに視線を向けた。

 だが、彼はまったく表情が変わっていないようだ。

 シモラーシャはチラチラと彼とティナを交互に見やった。

 ジュークはその視線を完全に無視して、じっとティナとフェイトのやり取りを見守っている。

「私は魂神が亡くなるのにも立ち会いました…」

「マインド…」

 彼女の口から語られる魂神の最期。

 フェイトだけでなく、その場に居合わせた者たちすべてがその痛ましい話に胸を打たれた。

 そして、ようやくたどり着いたドドスの耳に聞こえる言葉。

「私は彼のその願いを、死にたいというその想いを止めることができなかった。それ以来、ずっと後悔に苛まれてきました。それでもひとつの憐れな少女の魂を救う事ができたのです。この土地に来て初めての人助けでした」

「俺はあなたに心から感謝している」

 思わずドドスは言った。

 一斉にドドスに向けられる視線。

 一瞬ひるむ彼だったが、それでもこれだけは言わねばと思ったのか言葉を続けた。

「俺は確かにろくでもない人間だ。同胞である多くの人間たちをこの手にかけてきた。だから、それなりに惨めな最期しかないだろうと今は思っている。だが、俺はあなたと魂神にテティの魂をこの身に取り込む手助けをしてもらった。あれから自分の魂は俺一人だけのものじゃなくなったのだ」

 今まで誰にも聞かせたことのなかった自分の思いをどうしても聞いてもらいたいと、なぜかドドスは思った。

「俺は馬鹿だから神になどなっても馬鹿な事しかできん。たとえテティが俺とひとつになったとしても俺は俺の生き方しかできないが、それでも少しは彼女に誇れる生き方はしたいと思っている。そんな俺でも本当に神として存在してもいいのか? 教えてくれ、月の御子」

「あなたは…」

 ティナが何か言おうとしたその時「そうか!」と太陽の御子であるミーナが叫んだ。

「月の御子ティナよ。ドドスは神格化が始まっているのか」

「はい、太陽の御子。確かに彼は神となる存在です」

 ティナは振り返って黄金の髪を持つ少女に答えた。

 それでも見る人が見ればわかるほどに、話の腰を折られたことに対して、ティナの表情が少々強張っているように見えた。

「ぬあんですってー!」

 すると、シモラーシャが大いに不満そうな声を上げた。

「こんな奴が神ですってぇ?」

「…こんな奴、確かにそれはそうでしょうけどお…何だか傷つく言葉ですねえ…」

 そう呟いたのはマリーだった。

 別に自分のことを言われたわけではなかったが、何となく脛に傷持つ彼であったから、ドドスにはまったく同情はせずとも、何となく自分のことを言われたような気持ちになったようだ。

「………」

 その言葉を耳ざとく聞きつけたのはジュークである。

 彼は深い微笑を浮かべた。

 それから彼と同じ銀の髪を持つ少女に目を向ける。

 その眼差しは愛情に満ち溢れていた。

「なんだ、女、不服か」

「あたしの名前はシモラーシャよ。そうよ、大いに不服だわ。こいつが今までに何やったか知ってるの? 罪もない人間たちを大量に殺してきたのよ。邪神に仕えてしたい放題をしたのよ。許されることじゃないわ。そんな奴が神になんかなれっこないわよ!」

 シモラーシャは怒りで顔を赤くさせて言い放った。

 そんな彼女に対して太陽の御子はいたって冷静だ。

「ふむ…お前が言う通り、ドドスが極悪非道なことをしてきたとしても、それでもこやつが神になるという事実は変わらん。それに、今はとても反省しているようではないか。過去は確かに消せぬが、これからの奴の生き方を肯定してやってもいいとは思わぬか。それに…」

 ミーナは歩き始めた。そして、ドドスに近づいていった。

「私はこの男がそんなに非道な人間だとは思わぬ。ドドスはただ運が悪かっただけなのだ。彼をまったく理解しようとせぬ他人にも多少は責任があると思うぞ」

「とは言うが…」

 そのミーナの言葉を受けて、黙って聞いていた一人であるジュリーが口を開いた。

「運が悪くなくても極悪な行いをする人間もいる。そして、運が悪くてもまっすぐに清く正しく生きていく者だっていないわけではない。運が悪かったら何をしても良いのだということにはならないと思うのだが。彼女の…シモラーシャと言ったな…その彼女の気持ちもわからないではない。本当にこの男が心を入れ替えてちゃんとした生き方をしていくかどうかは誰にもこうだとは言えないのではないか」

 それをハラハラとした気持ちで見つめるのはオリオンだった。

 ミーナは今までにそんなふうに己の言い分を否定されたことがなかった。とはいえ、オリオン自身は彼女の唯我独尊的な言動を諭してきたものだったが、その都度、彼女には痛い目に遭わされてきた。自分はそれでいいと思ってはいるが、他人はそのせいで彼女を誤解してしまい、ますます彼女は孤立していってしまう。それを彼は何より心配していた。

「……私は…」

 ミーナは己の感情を爆発させないようどうやら抑えているらしかった。

「…私は信じている、この男を。私の目に狂いはないと。もし、もしもドドスがあの女の言うように昔のような極悪非道な人間に戻ってしまったとしたら、私は自らの命を差し出してもいい」

「な…!」

 その言葉に驚いて目を見開くドドス。

 どうしてそこまで自分を信じてもらえるのか。とても信じられないといったように。そして、あまりの嬉しさに死にそうにもなった。

(俺は…俺は…)

 ドドスは思う。

 自分は恐らくこの金髪の少女の為にこれから生きていくのだろうな、と。

(忘れない、絶対に、俺は。この人にもらったこの気持ちを死ぬまで絶対に忘れないぞ)

 ドドスは知った。自分にとっての幸せとは何かを。

 自分はこの少女神のためにこれからは生きていくのだ、と。



         2011年12月10日記

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