心と体に効く言葉

第71話 やってみよう

『リハビリがてら……』

退院してきたものの起き上がるとフラフラするので、トイレ以外は寝たきり状態でした。

退院した日の夕食は、頭痛とふわふわと胃のムカムカで食べられませんでした。

何度も目が覚めるのですが、なんだかボーッとしてるし頭が痛いし胃がムカムカするし、お茶で口と喉を潤して、トイレに行くだけでハァハァ言っていました。

退院翌日は長女がたまたま仕事が休みだったので、３食お粥（かゆ）を作ってくれたのですが、どうやっても何回作っても水分がなくなるようで汁気（しるけ）のないお粥（かゆ）でした。でも細かく刻んだほうれん草とモチモチのごはんで美味しかったです。

お昼ごはんのあと、ふわふわが軽くなっていたので座る練習をしました。

疲れたら寝て、しばらく休んでは座ってを２回ほど繰り返してギブアップ。相変わらずの頭痛がつらい。

この頭痛とふわふわと胃の不快感はいつ終わるんだろうと、退院してきてもやっぱり焦（あせ）ります。

めまいを起こしたときのことを覚えていると、脳にインプットされてめまいを起こしやすくなると娘が言うので、なるべく思い出さないようにしました。

そんなことよりも早く治して普通の生活がしたい！こんなに寝たきりで体が動かなくなったらどうしよう、と不安になる。

光も音も強く感じられて、倒れてからずっと部屋の電気はつけずに、顔にタオルをのせて寝てるし、毎日聴いてた音楽も聴きたくないし、本当はじっと動かずにただ眠っていたい。

でも仕事にいつから行けるのか連絡しないといけないし、お風呂にも入りたいし……。

頭の中でいろいろな思いがぐるぐるまわって、全然ゆっくり休めない。

とりあえず仕事の方は、１週間後まで応援を手配してくれたのですが、その後どうするのかを日曜日(３日後)にまた連絡することになり、やっぱり気が休まらない。

思いきって少し長めにお休みをいただいておけばゆっくり休めたのに。

でもこのコロナ禍で旦那さんも残業カットだから、早く復帰しなくてはという思いもある。

ああ、気が休まらない～。

夕食(汁なし梅干しお粥)のあとも少し起きる練習をしました。

お昼よりも起きていられるようになりましたが、やっぱりえらくて早々に寝てしまいました。この頭痛はいつ治るのか……。

翌日は旦那さんがお休みを取ってくれました。

朝食のお粥（かゆ）(しらすと卵入りで水分豊富！)を食べたあと、ふわふわ感がずいぶん軽くなってきていて、

「リハビリがてらお風呂に入ってきたら」

と旦那さんが言うので、勇気を出してお風呂に入ることにしました。

やっぱりお風呂に入るとサッパリしますね！なんだか体が軽くなった気がしました。

でも疲れてしまったので、そのあとはお昼まで爆睡。

気がついたら昼食のうどん(プリンつき)が運ばれてきていました。

うどんは半熟卵がのっていてすごくおいしかった！プリンは食べられるかな～と考えていたら

「リハビリだと思って食べてみなよ」

と言うので、旦那さんと半分こして食べました。

うちの旦那さんは普通の会社員ですが、料理上手なので本当に助かります。毎週土日と祝日も旦那さんがごはんを作ってくれます。いつも手早く作ってくれて、おいしくて、本当に私は幸せ者です。

昼食のあとはまた旦那さんが

「リハビリがてら少し起きてたら？」

と言うので、リビングでおしゃべり。午後の方が体が楽でした。２時間ほどリビングにいて、また寝室に戻って夕食まで一休み。

どれだけでも眠れます。

睡眠の間隔が短くて何度も目が覚めるのですが、気がつくと眠っていて、目が覚めてはまた眠っているということをずっと繰り返していました。

夕食はお鍋の汁でうどんと雑炊でした。

少ししか食べられないのが残念なほど美味しかったです。

夕食のあとは『リハビリがてら』部屋の電気をつけたままにして、顔にタオルをのせてウトウト。

夕方に少し起きていただけで結構疲れました。でも明日はもっと回復しているはず！

頭痛やフワフワ感や胃の不快感も一日毎（いちにちごと）に少しずつ良くなっていくので、このままのんびりと回復していくといいなーと思っていたのに、気がつけば旦那さんの『リハビリがてら……』のことばに洗脳され消極的な気持ちが積極的な気持ちに変わり、ちょっと楽しくなってきました。

まだ続きます。