第16話 ニャターシャの死

 「解除!」




 俺は即座にリミットを解除した。


 このままでは危険な気がした。


 制限されていたステータスは元に戻った。


 Lv.7 各ステータス7万


 俺のステータスは間違いなく今、この世界で最強のはずだ。だがそれでもなお鳥肌が止まらない。




「一体なにが。」




 ........................................................。




 それは一瞬の出来事だった。




 邪悪な力が波のように凄まじいスピードで押し寄せてくるのを感じた俺はとっさにニャターシャに覆い被さった。


 冷静さを失っていた俺にできることはそれくらいだった。


 防御魔法をひとつでも習得しておくべきだった。




 ......。


 吹き荒れる風、轟然たる雷鳴が絶え間なく鳴り響く。


 禍々しい空から激しい雨が槍のように俺の背中を襲う。


 少しヒリヒリする。


 俺は全裸になっていたことに気づいた。




 なにが起こったんだ。状況が全く理解できない。


 周りを見渡してみる。


 建物も人もなにひとつ見当たらない。


 どこか別の場所にでも転移したのだろうか?


 さっきまで一緒にいたナールとオーナーは別の場所に転移したのか?


 訳がわからない。 




 「ニャターシャ、怪我はないか?」




 ニャターシャの服は無事なようだ。俺が被さっていたからか。


 だが返答がない。 




 「おい? ニャターシャ?」




 目を覚まさない。




 「おい! おい!! ......!?」




 「......。」




 その姿はあまりにも衝撃的で声が出なかった。




 「......? え? し、死んでる......のか?」




 ニャターシャは両腕両足のほとんどを失っていた。

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