第15話 邪悪の幕開け
「い、いやなんでもない。」
早まるな俺。 夕食の後に時間はたっぷりある。 そこで考えればいい。
「そうですか。 それより、夕食楽しみですね!!」
「そうだな。 確かに楽しみだ。」
食事まで時間もあるし一息つこうと思い、俺はベッドに座った。
その時俺は目を疑った......。
目の前の鏡には、輝かしい金髪にキラキラしたオーラを放つキリッとした目元、スッキリした鼻筋、シュッとしたフェイスラインのとんでもない美青年がうつっていた。
「だ、誰だよ......鏡にうつって......お、俺なのか!?」
俺はてっきり前の世界の地味な顔のままなのだと思っていた。
だがそこに映っていたのは前の俺とは似ても似つかない全くの別人だった。
普通にイケメンってレベルじゃないぞこれは。王子様レベルだぞこれ......。
「もしかして......。」
自意識過剰なのだろうか、いや......。
この帝国に来た時からすれ違う人やフロントの女性にジロジロと見られていたのは決して俺が不潔だとか貧乏くさいとかではなく、むしろその真逆。
「俺がイケメンすぎるからだったんだーーーーーーーーー!!!」
体の底から力が湧いてくる感覚。
これがイケメンになるってことか......!
ニャターシャは状況が理解できずはしゃぐ俺を見ながらかたまっていた。
「なあ、俺ってカッコいいか?」
「え!? そっそれはもちろんその......。」
ニャターシャは頬を赤らめてモジモジしていた。
「まあ答えなくてもいい。 その反応を見ればよく分かる!」
間違いない。俺は真の美青年に転生したのだ。
「さあそろそろ食事に行くぞ!」
「もうですか? まだ少し早いんじゃないですか?」
「細かいことはいいんだ! さっさと行くぞ!」
俺はすっかりテンションが上がりきっていた。部屋でじっと食事を待ってなんていられない。
俺たちは部屋を出てオーナーの部屋に向かった。
コンコン......。
ノックをするとオーナーのベリクが出てきた。
「おお〜早かったなお前たち! そんなに腹が減ってたのか? まあ入ってくれ!」
オーナーの部屋は、雰囲気は俺たちの部屋とあまり変わりはなかったが広さがケタ違いだった。
こんな広いリビングみたことがない。
これが大富豪ってやつか......。
でも今の俺ならいつかはこれくらいの金持ちになれる気がする。今の俺は自信に満ち溢れている。
テーブルにはもうナールが座っていた。先に二人で話をしていたんだろうか。
何か邪魔してしまって申し訳ない気持ちになったがまあしょうがない。
俺たちも席に着いた。
その瞬間......。
全身に寒気が走った。
何かの気配を遠くに感じる。
敵か?敵って言っても一体なにが、嫌な予感がする......。
何か強大な力......邪悪な何かが迫ってくるような。
「なんだこの気配は。」
ナールも気がついたようだ。
その力はどんどん大きくなっていく。
俺の全身に鳥肌がたつほどに。
ナールが恐怖のあまり震えるほどに。
ニャターシャがひどく震えながら泣き出すほどに。
..................................!?
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