第17話 物理攻撃力70000の無力さ
完全に死んでる。
ニャターシャは俺がこの世界に来て初めて出会った人だ。
俺の中ではニャターシャはヒロインで、これからも共に冒険をしていくものだと思っていた。
ついさっきまで生きていたのに。信じられない。
涙すら出てこない。
現実から目を背けてはいけない。
一体なにが起こったのか。
転移なんかではない。
何かの攻撃を受けこの帝国は跡形もなく滅びたんだ。
さっきまでここに帝国があったなんて誰が信じるだろうか。
一体何の攻撃を受けたんだ。天災だろうか。
辺りを見渡すが特に何も見当たらない。
「!?」
いた。何者かが遠くの空に浮いている。
暗くて姿がよく見えないが邪悪な気配を感じる。
アイツが一人でこれをやったのだろうか。いや、アイツしかいない。
そうと確信した瞬間、俺は強い憎悪を抱いた。
許すことなどできない。
前の世界では毎日いじめられて友達など一人もいなかった。
だがこの世界に来て初めて自分を慕ってくれる友達が一人できた。
でもアイツはそれを奪った。絶対に許すことなどできない。
今ここで殺してやる。
俺は全力で地面を蹴り、そいつに向かって飛びかかり、右腕に怒りをのせて渾身のパンチを食らわせた。
俺の拳は完全に敵の顔面をとらえた。
のだが、
「なっ!?」
全く効いていない。
何者なんだこいつ。
敵は人間の姿をしていた。だが白目が真っ黒で、瞳は真っ赤だった。
背中からは大きな黒い翼が生えている。
全身から真っ黒なオーラを放っているような圧倒的な威圧感。
近くにいると精神が押しつぶされそうになる。
「やっと見つけたぞ。」
敵が口を開いた。
「我の攻撃、ケイアスシャドウを耐えるとは。 面白いやつだ。」
こんなことをしておいて面白いだと?ふざけてやがる。
「お前何者だ。」
敵が答える。
「名乗るにはまだ早い。 だが良いことを教えてやる。 次の標的は北帝国だ。 3日後にまた会おう。」
そう言った瞬間、敵はとんでもない衝撃波を放ち俺は吹き飛ばされた。
「おい待て!!!!!」
追いかけようとしたが、もうすでに敵の姿は消えていた。
アイツが一体何者なのか。目的は何なのか。全く分からなかったが、一つだけ確かなことがある。
それは強すぎるということだ。
今の俺の物理攻撃力は7万だ。なのにアイツは俺の全力の攻撃を顔面に受けながらも無傷だった。びくともしなかった。
分からないことだらけだ。
そういえばアイツは言っていた。次の標的は北帝国だと。
正直北帝国の人間がどうなろうと興味はない。だがアイツはニャターシャを殺した。
絶対に許さない。
3日後、北帝国で必ず殺してやる...!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます