第21話 破綻する世界
「.....その.....は、話って.....?」
「こんな場所に二人で呼び出すのも相当なもんだゾ」
「.....」
俺達がやって来たのは。
カップルがイチャついている主にカップルが集まる様なファッションな場所だった。
ってか、ショッピングモール内にこんな場所作るなよ。
俺は目を回して赤面で見つめる。
無我夢中で走っていて力尽きて止まったのは良いものの。
まさかこんな場所とは思わなかった。
俺は静かに頭を抱える。
「お前を愛している」
「私もよ」
そのイチャついて、キスする光景をキッと睨みながら俺は赤面の結菜を見る。
流石の蜜柑も赤面であった。
これはいかん.....悪い空気だ。
俺がサポートしなくては!
「.....つまり.....俺はお前らに話が有る」
「.....こ.....告白.....!?修兵、この場所は恥ずかしいよ.....」
「.....修兵。早くしてくれ。流石のオレっちも恥ずいゾ」
違うぞお前ら!
俺はクラクラしながら、頭を正常に戻し。
そしてようやっと話す。
その事を、だ。
「.....花梨のケーキの件な、捨てられたらしい。親に」
「.....!.....え.....」
「.....それ.....花梨は大丈夫なのカ?」
赤くなっているのを忘れた様に二人が驚いた様に俺を見て来る。
俺は静かに見つめる。
だが、周りがチュッチュッしているが為に.....集中が出来ん!
ぬおお!リア充は死に腐れ!
「と、取り敢えず場所移動しよ?修兵。恥ずかしい」
「.....そうだな」
取り敢えずここでまだ話すのは 如何なものかと思う。
そして俺達はその場所を後にした。
それから別の場所に向かう。
☆
「.....そういう事だ」
ショッピングモール内、休憩所。
俺はその場所で椅子に座りながら説明をする。
二人に飲み物を渡して、俺は缶コーヒーを飲む。
本当に.....どうしたものか。
「.....でもケーキは買えば良いから。ね?修兵」
「.....だナ」
だが、悲しげな顔をした。
でも問題は花梨ちゃん.....だよね、と。
顎に手を添える。
俺を蜜柑が真剣な顔で見つめて来た。
「.....花梨は大丈夫なのカ?」
「.....ああ。大丈夫だとは思う。.....だけど.....心配だか.....」
そう、言い掛けた時だ。
俺のスマホに電話が掛かって来た。
電話主は.....京で有る。
いかん、怒らせたのか?
「もしもし?」
『.....お兄ちゃん.....』
何か、違和感を感じた。
京が泣いていると言うか、困惑した様な。
俺は冷や汗を流しながら直ぐにどうした?と聞く。
すると、京が信じられない言葉を発した。
『花梨さんが.....連れて行かれた.....』
「.....ちょっと待て、何にだ?」
『.....お兄さんとか言う人.....花梨さん、嫌がっていたのに.....連れて行った.....最低.....』
「.....嘘だろ.....」
俺は青ざめて、直ぐに二人にその事を話した。
そして走って京の元に走って戻る。
京は指の爪を苛立つ様に咥えて立っていた。
俺はゼエゼエ言いながら、聞く。
「.....京.....花梨は.....どっちに連れて行かれた!?」
「あっち!」
東出口を指差す、京。
駄目だ、今連れて行かれたら.....会えなくなる!
絶対に駄目だ!花梨!!!
「修兵!今、花梨ちゃんを逃したら.....!」
「当たり前田のクラッカーだ!このまま逃したら.....絶対に会えなくなる!」
俺は動かない足を動かして、駆け出す。
蜜柑と結菜も思いっきり駆け出して行く。
そしてショッピングモールを出ると目の前に花梨が黒い車まで引き摺られている姿があった。
「痛い.....やめて!お兄様!」
「.....来い!貴様という奴は.....!」
マフィアの様な格好をしている、お兄様とか言う奴。
俺は直ぐに其奴らに駆け寄った。
すると、引き摺る手が止まってマフィアがこっちを見てきた。
鷹の様な鋭い目で。
「.....何だ君らは」
「花梨の友人だ!何をしているんだ!」
「.....花梨の友人?花梨には友人が居ない。まさか.....花梨.....」
「.....はい」
花梨の手に更に力を込める、ミシミシいっている。
痛いだろそれ!
俺は直ぐに離してやろうと更に近付こうとしたが。
目線を滅茶苦茶に鋭くして友人を勝手に作ったのか、それも気品の無い奴らと、か?
と威圧する、お兄様。
.....ちょっと待て、今なんつったかコラ!?
「.....気品が無いとか.....貴方、失礼ですね!撤回して下さい!」
結菜が言葉に眉を顰めて怒る。
すると、そのお兄様は怒っている結菜を睨み付け。
そして見据え話した。
「.....簡単に言えば貴様ら庶民が我々、貴族と関わる資格は元から無い。.....そして花梨。貴様は家の恥晒しだ。監禁する」
何だコイツ!滅茶苦茶に嫌な感じだ!
俺は怒って睨む。
背後から京もやって来た。
「.....お兄様.....この方達は.....友人では有りません」
「そんな!花梨ちゃん!」
「.....そう言っているが?貴様らは誤解しているのでは無いか?」
「花梨!」
俺達に冷たい目で、さよなら、と呟いて車に乗る花梨。
まさかの言葉だった。
俺は手を伸ばす。
が、その手が思いっきり手で止められた。
「.....汚い手で俺達に触るな」
「クソッ!花梨!かりーん!!!!!」
車に乗り込む、マフィア。
そしてそれなりのスピードで車を運転し、去って行く。
俺達はそれを呆然と眺める事しか出来なかった。
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