第20話 付き合ってほしい
今でも悩む。
果たして、この事を言うべきなのか。
ケーキを捨てられた事を京以外の皆んなに、だ。
俺はただひたすらに顎に手を添えて複雑に考える。
このまま言ってしまうのも良いかも知れないが俺意外に知られても良いのだろうか、その事を。
そんな感じでいると、京が俺を覗き込んできた。
「.....お兄ちゃん、また悩んでるの?なんかおかしい」
「.....!.....す、すまない。そんな事は無いぞ京」
「.....まさか.....また女の子.....じゃ無いよね.....?」
「.....いえ、あの、違います.....」
目が鋭くなり、真っ黒な目でハイライトが消える京。
お前の為のケーキだよ。
とツッコミを入れたかったが、俺はその言葉を飲み込む。
そして言葉を訂正して話した。
「まぁ、何というか.....今日が楽しいなって」
「.....え?」
「.....京。お前は気付いて無いかも知れないけど、有る意味お前がこんな感じで外出するのは.....かなり久々だぞ」
目をパチクリして、真っ赤に赤面する京。
結菜が、そうなの?と聞いてくる。
そうなのだ結菜。
「.....京はある意味、いつも独りだったんだ。それを.....お前らが変えた」
「.....当たり前の事で何もしてないけど.....」
「.....それは当たり前じゃ無い。結菜。お前の才能だと思う」
その様に、褒める。
すると結菜は、見開き、赤くなった。
そ、そう?と上目遣い。
「修兵も.....頑張ったから.....」
「俺は頑張っても無理だった。お前は凄いよ」
結菜が見開く。
必死に争っていた、2年前の.....3月1日。
新学期になろうとした前の時に京が言った言葉を忘れない。
死んだ目をした京が発した言葉だ。
『死にたい』
ただ、その一言を。
俺はこの時、何も京を守れてない。
そう感じてしまい。
落ち込み、軽いうつ病になった。
「.....結菜。花梨。蜜柑。お前らが全てを変えた」
「.....そんな事、言われると小っ恥ずかしいゾ」
「.....そうですね.....」
えへへ、と赤くなる三人。
この先の未来、何も起こらない事を.....祈りたい。
俺はその様に思う。
「.....え、えっと!つ、次は雑貨屋さんに行こうか!」
「.....ああ」
俺は結菜の言葉に答えて、複雑な顔付きをした。
そんな事が有っても現実は現実なのだ。
進んで行ってしまう。
それは、花梨の事である。
「.....」
俺はこっそりメッセージを送った。
花梨に向けて、だ。
この事を隠すのはマズイ気がする。
考えていたが、やはり.....。
(花梨。ケーキの件.....蜜柑と結菜と分かち合いたいと思う。良いか)
すると、花梨から返事が有った。
返事は困惑した感じで有る。
それはそうだろうな。
(.....ですが.....)
(.....大丈夫。お前が見ている以上に、コイツらは.....本当に優しいから)
(.....分かりました.....任せます)
俺はそれを見てから俺はその場で立ち止まる。
その様子を花梨以外のみんなが見る。
俺は真剣な顔で話をした。
「蜜柑、結菜。付き合って欲しい」
ビキィンと音がした。
まさかの事だったのだろう、ハァ!?と見てくる皆んな。
え?何か.....え?
京が、思考を停止している。
あれ?なんかおかしいぞ。
俺はクエスチョンマークを浮かべて京を再確認する。
ロボットが電池切れになった様な感じの京。
ナニコレ?
「...........お兄ちゃん?」
「.....!?」
「しゅ、修兵様?」
「.....あれ?」
ちょっと待ってくれ。
蜜柑もジト目で俺を見てくる。
結菜は赤くなってハワハワとしていた。
なんやこれ?
「.....修兵。二股は.....如何なものかと思うゾ」
「.....二股.....ハァ!!!!?」
何で二股!?は!?
俺は赤面して猛烈に困惑した。
一体どういう事だよ!?
そんなこんなしていると途轍もない冷めた視線を感じた。
「..........」
「.....ハッ!!!」
ハイライトを消した気配がした。
俺はゾッとしながら、直ぐに首を捻って背後を見る。
京が涙目の恐怖体制でこちらを見てきていた。
俺は苦笑いを浮かべる。
「.....み、京さん?」
「お兄ちゃんのバカ」
「.....泣かせたナ」
「.....だね」
いや、どうしろと。
俺はその様に顔を引き攣らせて思いながら、俯いた。
マジで女子って砂糖菓子の様だ.....
「.....ってそれは今は良いとして!とにかく話が有るんだよ!蜜柑!結菜!」
俺はその様に話して二人を見る。
蜜柑と結菜は驚く様な顔付きを見せる。
そんな蜜柑と結菜の手を無理矢理に握って俺は走り出す。
結菜が慌てた。
「ちょ!?」
「ラチがあかん!取り敢えず京の居ない場所に!」
ピコン
(お兄ちゃん。後で憶えていてね.....?)
京!お前の為だ!許してくれ!
その様に思いながら、二人の手を引いてショッピングモール内を駆ける。
そしてとある場所に辿り着いた。
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