第14話 パンダのぬいぐるみ

現時点でそれなりに京の事について判明している事。

それは簡単に言えば京がツンデレのヤンデレという事だ。

ツンデレでヤンデレってどういう属性なのかさっぱり分からないんだが。


今週の日曜日になって、俺達はそれぞれ集合して歩いていた。

ってか野次馬な。

凄まじい数の野次馬がこの場所に居る。


京はパーカーにショートパンツに黒髪のポニテにキャップ。

そして蜜柑は腰に服を巻いた、ミニスカのカジュアル?スタイル。

更に結菜は少し長いスカートにシャツ、ジャンパーを羽織っているという感じ。


何だコイツら。

俺を好き(蜜柑は分からないが)と分かってしまってからコイツらを見る目が変わってしまったんだが。

とにかく恥ずかしいなクソッタレ。


「.....お兄ちゃん.....どうかな.....?」


「.....良いんじゃないか、それなりに.....似合ってる」


「.....有難う.....でもお兄ちゃん、他の女の子を見過ぎ。殺すよ?」


み、み、見てねぇし!

俺はその様に動揺して赤面しながら、訴える。

すると結菜がニコッとした。

そして俺の腕をクイクイッと掴んでくる。


「.....私の事も見てほしいな?修兵」


「うーん。そこまで言うならオレっちも見てくれヨ」


迫り来る、美少女達。

俺は困惑して眉を顰めた。

くぅ!美少女どもめ!俺は誘惑されん!と俺は横を見る。

野次馬が猿のように集まっていて俺を敵視していた。


「.....でもあの、修兵も似合ってるよ。格好良い」


「.....小っ恥ずかしいからやめい」


「.....ふふっ。.....自慢のお兄ちゃんですから.....ね.....お兄ちゃん.....?」


あは、あはは。

殺す様な目付きをするなってばよ。

俺は苦笑しながら、顔を引き攣らせた。


いや、もう勘弁してくれ?

胃が痛い。


「.....修兵.....」


「.....な、何だ蜜柑。」


「.....女性に誘惑され過ぎダ」


ジト目の蜜柑。

そうですね、取り敢えずは逃げます。

俺はその様に思い、その場から逃走した。


「待ってよ!?」


「待って!お兄ちゃん!」



「うわー!やっぱり色々あるねぇ!」


この辺りにショッピング街が土地の改修と共に出来たのは近頃。

若い人向けの場所として、だ。

その中を嬉しそうにはしゃぐ結菜を苦笑いで見ながらショッピング街を歩いていた。

すると、ゲームセンターとすれ違って京の動きが止まる。


「.....」


「.....どうした?み.....」


京の視線の前にはパンダのぬいぐるみが有る。

俺は直ぐに財布を見た。

1000円札が15枚入っている。

まあ.....貯金箱の全財産だ。


「.....よし、取るか?」


「.....は、ハァ!?べ、別に欲しく無いし.....」


「所詮は犠牲も付き物だからな。だったらハナっから犠牲になった方が良いんだ」


我ながら言っている事が意味不明。

まぁ良いやと両替して、即座に100と書かれた部分に6枚入れる。


挑戦が7回出来るからだ。

そしてクレーンを動かして.....。

で、5分経った。


「.....もうちょいかな」


「.....お兄ちゃん.....」


「よし!取れた!」


1600円も注ぎ込んだが、妹にやる良い物が取れた。

俺はそれを京に渡す。

おどおどしながら、京はパンダを見て受け取り。

そして胸の中で赤くなりながら、俯いて両手でギュッとした。


「.....お兄ちゃんのバカ.....ありがと.....」


「.....」


「お二人さん。私も居るよ?忘れないで」


その言葉を受けて、ハッとして俺は振り返る。

プクッとやら、ムスッとの二人の少女がその場所に居た。

俺は直ぐにその場で頭を下げる。


「すまん.....」


「まぁ良いけど。今回の買い物の目的は京ちゃんを楽しませる事だから」


「そうだナ」


その言葉に見開く、京。

俺に顔を向けてくる。

そうしていると結菜が俺の腕に自分の腕を絡めて来た。

まさかの事に俺は動揺する。


「「な!!!?」」


俺にニコッと結菜は笑む。

俺は赤面で驚愕しながら慌てる。

するとその間に京が割り込んできた。


「結菜さん何やっているんですか!」


「ん〜?愛情表現かな。あはは」


愛情表現かな、あはは、じゃ無いんだが。

俺はマジで汗を流して驚愕しながら、ゲーセンから出た。


そして歩いていると、背後から何らかの視線を感じたが.....気のせいだろうとあまりに気にしなかったのがバカだった。

後に大変な事になってしまって。

俺達は危険な目に遭った。

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