第13話 お礼を言いに来た

俺達と蜜柑の中学時代は本当に大変だった。

どれぐらい大変だったかというと、簡単に言えば地獄絵図だったのだ。


京がイジメの対象者だった為、京の兄貴の俺はクラス全員から誹謗中傷のイジメを受けてしまい。

そして、蜜柑も被害を受けた。

京の幼馴染だとしてイジメを受けたのだ。


そんな感じで大変すぎた。

更に言えば、クラスで勝手に出来た●インのグループでは省かれるとか。

裏垢では悪口を書き込まれたりした。


そんな事が有りながらも俺は全てに立ち向かった。

だが、敗北してしまい、京を守り切れず。

京の胸の辺りにはイジメで受けた十字の傷が有る。

この事を蜜柑は激しく後悔している。


思えば全てにおいてヤンデレ化したのはこれも原因の様な気がする。

その為、俺達は敢えて遠くの高校に行った。

登校に15分も掛かる様な近場じゃない高校に、だ。


近場の高校だと同級生に会って再びイジメになり兼ねないと判断した。

母親も祐介さんもそれには大賛成だった。

そんな今のクラスでも俺たちは少しばかり浮いている。

だけど、昔とは違って居心地は断然に良い。


だからとてもとても有難かった。

俺と蜜柑と京はそんなクラスメイトに感謝しながら日常を過ごしていた。

そんな中で結菜にまた出会って。

それと同時に京に結菜という友が出来た。


ヤンデレで、俺以外に全てを受け付けない様な京に、だ。

どれだけ嬉しかった事か。

どれだけ京にとって嬉しい事だっただろうか。


この全てがお前らに分かるだろうか。

これを手に入れるのにどれだけ苦労したかを。

京にはもう傷を負って欲しくない。


だから俺は動く。

死んでも、だ。



「♪」


「.....嬉しそうだな?京」


「べ、別に嬉しく無いから」


「.....嘘吐くなよ?」


う、嘘じゃないったら。

その様に言う、京。


そんな俺達は放課後に自宅にて、俺達は手伝いをしていた。

洗濯をしたり干したり。

そして食事の準備、買い物と色々した。

衝撃の日だったな、今日は。


でも今日は家事はいつもよりかは京は苦では無い様だった。

多分今週の日曜日に遊びに行こうと結菜に誘われたからだろう。

俺も楽しみで有るが、京はその倍だろうな。

感じている事が。


「.....ふふっ」


「.....」


聞こえない様にしている様だがその喜びははっきり伝わってくる。

嬉しさに顔を歪めているのも、だ。


俺はその光景を見ながら、洗っている皿を見た。

どんだけ苦労したのだろうか、俺達は。

良い加減に報われても良いよな、と思いながら。

京をもう一度見て口角を上げた。


「.....京。大切にしろよ。友人は」


「は、ハァ!?別に結菜さんは友達じゃ無いもん!」


「.....おう。俺は結菜の事は一言も言ってないぞ?」


「〜〜〜〜〜!!!」


俺はニタニタ、ニヤニヤする。

すると、も、もう!お兄ちゃんのバカ!

と言って、京はプンスカと去って行った。

俺はその姿を見ながら、少し言い過ぎたか?と思いつつ。


皿を置いて、そして片付ける。

ふきんを消毒して.....と。

でも、本当に良かったと思いながら。



「.....」


リズムの良い音楽を聴きながらリズムを取りつつ勉強する。

夕食を食べて、そして自室に籠る形だ。

ま、勉強は勉強だからしないといけない。

面倒だが。


「基礎学力テストまであと何日だっけか.....」


4月のテストだ。

それに対しての備えであるが.....と思いながらカレンダーを見る。

すると、横から予想外の言葉が。


「お兄ちゃん。4月16日だよ」


「そうか。4月16.....えぇ!?」


俺は直ぐにイヤホンを外して横を見る。

何故か桃のシャンプーの香る京が髪を耳に掛けながらニコッとして立っていた。

ってか、いつの間に!?


「おま!?」


「だってお兄ちゃんに声を掛けても返事が無かったんだもん」


「.....いや、まぁそうだが.....」


俺は頬を掻く。

もし俺が極秘にテクニシャンをしていたらどうする気だったんだ?

いや、まぁその場合はイヤホンを片耳だけにするけど。

その様に考え、頬を僅かに赤くしながら居ると。


京がムッとしてそしてジト目になる。

周りをクンカクンカと嗅ぎ回る。


「.....お兄ちゃん。何か良からぬ事を考えてない?監視カメラ付いているからね」


「だ、大丈夫。俺はいつだって紳士だから」


「.....ムゥ、エッチ.....」


「.....」


顔に出るのか?俺はその様に青くなりながら思いつつ、京を見る。

京はタオルで髪を拭きながらベッドに腰掛けた。

そして俺をニコッと見てくる。


「.....お兄ちゃん。今日は有難うって言いに来.....たんだけど」


「.....なんだそりゃ」


「.....ちゅ、中学時代の事も有るし!」


「.....そうだな」


お互いに見つめ合う。

あの時は京は死にたがっていたからな。

蜜柑も、だ。

俺もこの世の全てにサヨナラを言いたかったぐらいだった。


だけど、俺達は生き残っちまい今に至るけど。

本当に.....あっという間だな、学生生活ってモンは。

どれだけ嫌でも終わっちまう。


「お兄ちゃんはヒーロー。やっぱり」


「.....兄として.....って言うか.....まぁ俺は負けたから」


首を振る、京。

イヤホンを刺したア●ポッドを置きながら、見つつ苦笑いを浮かべる俺。

全身から良い香りがして赤くなった。

かなり良い女の子の香りだ。


「.....お兄ちゃん」


「.....な、何だ」


「お兄ちゃんはお兄ちゃんのままで居てね」


「.....?.....あ、ああ」


俺に対してニコッと笑顔を見せる、京。

それはまさに美少女そのもので。

俺は赤面して横を見る。


本棚が目につい.....あれは!

京が?を浮かべた様に横を見る。


「.....ちょ!見るな!!!」


「..........お兄ちゃん.....エッチな表紙のラノベは買ったら.....ダメって.....あれ程.....言ったよね..........?」


「違う!それはクラスメイトに貸してもらったのだ!胸元は強調されては居るが、ラノベでは無い!貸してもらったんだ!信じて?」


「.....」


物凄いジト目ですね。

しかも何だか背後が漆黒に染まっていく.....感じです。


俺は頭を下げて、土下座したが。

京はポケット?付近から何かを取り出した。

そしてそれでラノベを切り裂き出す。


ビリッ.....ビリリッ.....。


「.....あの?京さん.....?敢えて言うならその登山用ナイフは.....」


「ん?あ、これ?お兄ちゃんの内臓を抉る為に注文したんだけど、便利だね。色々と..........」


目から光が消えた。

ラノベが紙くずになっていく中。

俺は青ざめながら、胃痛を感じていた。


「.....」


「.....ね?お兄ちゃん.....私の事、好き?」


ラノベを紙くずにしながら、俺を静かに見てくる。

そしてナイフをユラユラさせた。

見開いて、瞳孔を開いている。


「.....そ、そうですね」


「.....じゃあ、要らないよね?こんなの」


俯いて、そ、そうですね。

あまりの恐怖にそうとしか答えようが無かった。

そして紙くずを見る。


※登山用ナイフ.....基本的に持ち歩いても問題は無い。鞄にそれらしき物を一緒に入れているなら、だ。

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