第12話 蜜柑、京、結菜
目の前では、結菜、京、蜜柑が同じベンチに座りながら話して居る。
俺はその光景を信じられなく見ていた。
何故かって言われたら。
それは京が友達になってと言われ、なったから。
つまり、それだけ何かが成長したという事だ。
俺はそれを感慨深く見る。
「.....じゃあ、京ちゃん。友達になった事だから、先ずは一緒に買い物とか、水族館とか行かない?」
「.....か、買い物ですか。一人で十分.....」
「おお、それはいい考えだナ。オレっちも賛成だゾ」
そんな会話続きだが。
無理矢理にでも俺の義妹に友が出来た事にいつの間にか視界が歪んでいた。
余りにも.....痛みが酷すぎたから。
中学時代は、だ。
「.....修兵!?わわ!何で泣いているの!?」
「.....すまん、涙が止まらない」
「.....お兄ちゃん.....」
涙を拭っても拭っても出る。
この全てに辿り着くまで3年も掛かった。
感慨深くなるのも当たり前だと思う。
マジで疲れてんのかな、俺。
「.....結菜」
「.....な、何!?大丈夫?」
「.....お前には感謝しか無い。京を.....有難うな。.....俺達、中学時代がイジメとかあって地獄だったんだ」
この言葉に驚愕の顔付きをしてそして俯いた。
結菜も愕然と衝撃を受けた様だ。
「.....そんな顔するな。結菜」
「.....そんな事になっていたの.....?私が居ない時に.....?」
「.....結菜.....」
結菜は俯き震えていた。
怒りなのか、俺達に対する申し訳無さか。
それは分からないが。
「.....ご、ごめんね、えっと、大丈夫だよ」
「.....マジにお前も、蜜柑にも。感謝だな」
「.....オレっちは助けれなかったから.....どうなんだろうナ」
「.....いや、感謝だよマジで。これからも宜しくな」
俺は涙を拭って鼻を啜った。
取り敢えずはこれが第一歩だと思う。
なぁ、父さんと思いながら。
俺は皆んなに向いた。
「えっと、じゃあ、そろそろ戻ろうか。ご飯食べないと」
「あ、その点だけど、お弁当作って来たゾ。修兵」
「「!?」」
え?俺は目をパチクリした。
俺は驚愕しながら、蜜柑を見る。
蜜柑は何故か顔を赤くしながら、何かを取り出す。
そしてハイ、と静かに渡して来た。
にひひ、と八重歯を見せながら、だ。
俺は静かにその弁当を.....言われるままに受け取る。
ん?コイツがそんなモノ作ってくるのは初めてじゃ.....キャラ弁で可愛いけど。
(.....)
(.....まさかの刺客.....)
乙女達がそんな感じになっていた。
俺は慌てながら、蜜柑を見る。
すると、蜜柑は更にとんでもない言葉を続けた。
「.....オレっちも混ぜてほしいな。お前達の恋バトル.....」
「.....そ、それはどういう意味だ.....?」
「.....うーん。まぁ内緒だゾ」
髪の毛を弄りつつ八重歯を見せながら横を赤くなりながら見る、蜜柑。
さり気なくとんでもない感じだ。
俺は察して、え?と言った。
って言うかそれしか言えない。
(.....)
(.....)
何?テレパシーでも有るの?君ら。
暗殺されるかも知れないわ俺。
青ざめながら、蜜柑を見た。
胃痛が.....。
「.....まぁ万が一、増えても私だけだよね?お兄ちゃん.....?」
「.....当たり前だ。お前だけだ」
「えー。じゃあ私は無視?修兵」
「.....」
宮古の言葉に、結菜の言葉に顔を引き攣らせる。
いや、マジでどうしろって言うんだ。
モテ期?俺。
いや、普通に生活したいんだけど。
俺はその様に思いながら、蜜柑を見る。
「蜜柑。その気持ちはまさか.....」
「さて、なんの事かナ?」
笑顔で俺に、はにかんだ、蜜柑。
凄まじいバトルが始まろうとしている。
俺はその様に思いながら、弁当を見つめる。
「.....なんてこった.....だな」
「で、誰を選ぶの?」
それはちょっと、すいませんでした、と俺は京に謝る。
すると、結菜と蜜柑の二人が俺を見てきた。
そして指を振る。
「.....修兵。敵は本能寺だけじゃ無いよ」
「.....そうだゾ。修兵」
「.....そ、そうですね.....」
美少女達はその様に話し、俺をジッと見据える。
詰め寄って来やがった。
なんか面倒臭くなってきたぞ!
俺はそのままその場から逃走する。
胃痛が凄いし!
「逃げるな〜!」
俺は一生懸命に屋上から駆け下りる。
俺達はきっと、今の時間が一番好きだとその様に思った。
楽しいから。
そうだろ?京。
俺はその様に思いながら逃走を続け、そして教室に戻る。
駆け込む感じで、だ。
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