第8話 久しぶりの再会→停電

取り敢えず、必死に京の腕を掴み俺は京を止める。

そして京を俺の後ろに待機させて、俺はゆっくりと玄関を開ける。

目の前に誰か居た。


そこには雪のように白い髪の毛の長髪の女の子が立っていた。

この4月にかなり似つかわしく無い髪の毛だが。

何故か何処と無く清楚な感じを醸し出して赤面せざるを得なかった。


それ以外にも結菜はかなりの美少女に成長している。

顔立ちも相当に整って、黒子の一つも無い、白いキャンバスの肌にそして大きな瞳。

細い眉毛に更に、柔らかそうなピンク色の唇に、虜にしそうな満面の笑み。


結菜はスタイル抜群で、胸も膨らみ、完全に大人に近づく女の子になっていた。

つまり、何というか。

非の打ち所が無さ過ぎて.....という感じだ。


京に負けず劣らずの美人で有る。

何だこの美少女は?

俺の彼女だったとかマジで信じられん。


「.....え、エヘヘ。.....修兵、ひ、久しぶりだね.....!」


結菜は上目遣いでモジモジしながら、俺に赤面で挨拶した。

俺は上下を見て見開く。

どう表現したら良いのだ?この美しさ。

俺は困惑して、背後のオーラで更に困惑した。


「.....アハハ。お兄ちゃんすっごい嬉しそう!」


「.....京.....え?み.....京さん?」


火の点いたライターを持ちながら縄を用意する、京。

あかん!

これは止めないといけない!

俺はその様に思って、直ぐに京に寄ろうとしたその時だ。


「.....妹ちゃん.....ってどういう事!?修兵って妹ちゃんって居たっけ?」


「.....あ、ああ。この子は義妹の京だ。再婚したんだよ親が。お前が幼稚園時代に引っ越してな」


俺は必死に止める。

京を止める。

マジでヤバイ!目がマジだ!

俺はその京を止めながら、結菜を見る。


「.....え、そうなの!?あ、えっとじゃあ先ずは挨拶しないと。京ちゃん」


「.....はい.....は!?」


突然の事だった。

物怖じしないで玄関から突撃する様に京の手を握る結菜。

ライターとかチカチカさせているのに、全く怖気付かない。

何だこれは!?


思っていると、ライターを物怖じずに結菜は思いっきり取り上げる。

力任せにである。

ちょ、え?嘘だろ。

あの京が負けたのか!?


「えっと、何やってるの?危ないよ?ライターだよね。何で持っているの?」


「.....それは.....別に」


「.....駄目だよ。めっ」


結菜は全く恐れずに同時に縄も取り上げた。

ハイライトが消えて、あまりに危険な状態のヤンデレ姫から、だ。

何故だ。何でそんなに.....立ち向かえる?

俺は唖然とした。


と言うか、取り上げられた京も唖然としている。

何だこの怪物?的な目で見ている。

マジに何が起こった?


「.....えっと、落ち着いて。.....ね?京ちゃん」


「.....は、はい.....」


ヤンデレが信じられない事に負けた。

俺はその様にあの苦労は何だったのだろうか、と思いながら。

ヤンデレが徐々に治っていく、京と。

ライターと縄を預けて来たニコッとしている結菜を見る。



「えっと、改めて。久しぶり!覚えてる?私の事」


「.....長谷部結菜、だろ。久しいから少し忘れてた」


「えー。ひどーい!私が貴方を好きだったのに忘れるなんて!」


リビングにて椅子に座って話す、俺と結菜。

京は敵視の目を止めないが、若干恐れている様に見えた。

そんな姿を物珍しく見ながら、結菜に向く。


「.....修兵が居るって聞いて、居ても立っても居られなくて来ちゃった。ごめんね。迷惑じゃ無かった?えっと、時間は午後8時までと思って」


ニコッと可愛らしく笑む、結菜。

少しだけ恥ずかしく思いながらも首を横に振る。

そして結菜に和かに向いた。


「.....大丈夫だ。うちの家は結構緩いから」


「.....そうなんだ。じゃああまり迷惑が掛からない程度に帰るね」


「.....」


俺をムッとした目で見てくる、京。

怖いんですけどと、俺はその様に冷や汗をかきながら思った時だ。

結菜が京を見つめていた。

京はビクッとしながら結菜を見つめる。


「.....な、何ですか」


「.....いや、可愛いね京ちゃん。私の義妹になってくれない?」


「.....死んでもお断りです」


「アハハ。だよね。じゃあ.....お友達は?」


その言葉に京は見開いた。

俺も見開く。

そして京は俯いてから赤くなり返事をした。


「.....検討します」


あのヤンデレツンデレ姫が珍しくそう答えた。

俺は恐れで答えたのかと思ったが。

違うか、と思った。

結菜は静かにメアドの準備をする。


「ほら、修兵も」


「.....そうだな」


昔はこんな真似は出来なかった。

メッセージアプリも無かった時代だったし。

文通という手段は有ったかもだけど。


俺はその様に複雑に考えながら、メアドとメッセージアプリのアドレスを入手して懐かしみながら柔和に画面を見る。

そうしていると直ぐに、よし、と言って結菜がその場から立ち上がった。

ニコッと笑みながらだ。


「.....お暇するね。.....修兵。京ちゃん。会えて嬉しかった。また今度」


「.....え?もうか.....」


と言いかけた瞬間、突然、停電した。

どっかの発電所にでも雷が落ちた様で。

しかも外からザーザー雨の音が聞こえる。


いや、ま、まさか。

さっきまでどうも無かったじゃねーかよ。


「.....あらら、大雨で雷.....?じゃあ止んだら帰ろうかな」


「.....そうだな.....しかしそこら中の停電だぞ?帰れるのか」


「うん、まぁ大丈夫だと思うよ」


しかしこれから2時間経っても。

祐介さんと母さんが帰宅しても停電、雷、土砂降りは収まらず。

その為、結菜はこの家に泊まる事になりその日は午後9時になった。

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