新たなる女子刺客

第7話 長谷部結菜

「.....うーむ.....」


部屋の中を隈無く模索する。

監視カメラが付いているらしいが。

俺は思いながら、部屋の中で恐怖感を抱いていた。


幾ら隠れヤンデレとは言え、監視カメラ。

それは非常に困ると思わないか?

どうしたら良いのだろうか。


「.....まぁ下手な真似をしなければ大丈夫か.....?」


その様に考えながら俺は部屋の中を見渡すのを止めた。

マジに分からんな。

何処に仕掛けられているのか。


「.....しかし.....」


何で京は俺の事をそんなに監視したいのか。

ヤンデレになったのか。

何というか今日の事も考えて、やはり一つしか思い付かない。


「やっぱり俺の事を.....」


首を赤面で思いっきり振る俺。

いやいや、まさかな、と思った。

あんな美少女に好かれる意味が分からない。

昔、確かに可愛い子に告白して付き合った経験は有るが。


でもあの状態だ。

やっぱり俺を好いている様な気がして。

マジに好かれる理由が分からないが赤くなってしまう。


「.....」


時刻は現在、19時になろうとしている。

俺はそれを確認して横になったベッドから起き上がってからトイレに向かう為に階段を降りようと歩き出す。

取り敢えず、小便。


ガチャッ


「「.....あ」」


ドアを開けた瞬間、赤くなっている京と遭遇した。

俺は思いっきりに美少女の顔を見て赤面する。

そして俺達はモジモジした。

俺は言葉を何とか吐き出そうとする。


「.....あ、あの、お前さ.....」


「.....な、何よ」


「.....俺が好きという事だよな?」


この言葉に、ッ、と顔をバッと上げて額まで赤面する、京。

俺はその姿を見て、そして真っ赤になった。

は、恥ずかしいんだけど。

やっぱり好きなのか。


「.....えっと.....うん.....そう」


俺はボッと赤面する。

その全ての回線が繋がっていく。


それでヤンデレなんだな。

取り敢えず、成る程.....と思った瞬間。

俺の携帯にリリリと電話が掛かって来た。


「..........」


「.....す、すまん」


愛の告白の最中なので、俺を思いっきりジト目で見てくる、京。

今、鳴らすなよ。

という感じの責めてくる目だ。

頬を膨らませて、プイッと横を向いてしまう。


俺は苦笑いを浮かべ、冷や汗を流しながら直ぐに出てみる。

画面も見らず、だ。

しまったと思ったが次の時には声が出てしまっていた。


「.....もしもし?」


『も、もしもし!?』


「..........は?」


可愛らしい女子の声だった。

咄嗟にスマホの画面を見てみる。


誰だコイツ?出会い系のサクラか?

俺はその様に思いながら詐欺かと思って画面を確認する。

完全に非通知だった。

出てしまったものは仕方が無いか.....って。


「..........」


ヤバい、京、めっちゃ眉を顰めてイライラしてる!

ハイライトがまるで消しゴムで消す様に消えていってる!

胃が痛いわ!


俺は直ぐに非通知のその電話を切ろうとした。

すると、ま、待って、と声がして。

俺の行動を読んだ様な感じで声掛けしてきた。


『お、覚えてる?幼稚園時代の.....幼馴染だよ.....?.....えっと、蜜柑ちゃんと一緒だった.....長谷部結菜.....貴方と付き合っていた.....』


「.....長谷部.....結菜.....」


幼稚園?長谷部結菜?.....あ.....それって.....。

俺はハッとして、画面を見る。

幼稚園時代に恋人.....ハァ!!!!!

俺はゾクッとした。


「...........お兄ちゃん.....誰かな.....?」


気が付くと目の前の京はいつの間にか仁王立ちで俺を見ていた。

ハイライトが完全に消えている。

俺は冷や汗をダラダラ流す。

て、手汗が半端じゃ無いんだが。


「.....す、済まないけど、今忙しいん.....」


『あのね!その君の家の前に来ているんだけど!久しぶりでとっても嬉しくて!夕方に蜜柑ちゃんに会って!ぐ、偶然だけど、えっと、引っ越して来て南区.....近所に住んでいるんだよ!私!』


嬉しいからって声を大きく出さないでほしい。

って、近所!?そして南区!?家の前ダァ!?

俺は驚愕して、囁く様にひそひそ声で話す。

だが京は既に折り畳みナイフを取り出していた。


「邪魔者は消すのみだね」


京のハイライトは完全に消滅した。

太陽が月に隠された様に。

全く光が無い、両目で● ●な目をして.....そしてどっかから縄を出して、ゆらりと歩き出した.....ヒエェ!

ヤバい!結菜が殺される!

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