第6話 結論から言って

「話を戻すんだけど、やっぱりマズイと思うの。この性格ってね」


「そうだな、俺の命も危ないからな」


「真面目に聞いて!お兄ちゃん」


いや、聞いてるよ、と俺は冷や汗を流しながら苦笑して返事をする。

頬をプクッと膨らませる、京。

その姿も可愛らしいのだが.....恐怖だな、マジに。

さっきの件も有るし。


リビングのソファで俺は京と共に座り、人生相談を受けていた。

でも話を聞いていると、やっぱりコイツは俺の事を好いているんだと思う。

俺は直接、話してみる。


「.....俺の事を好いているんだよな?」


「は、ハァ!?そんな訳無いから!」


絶対に違うから!と。

おー。出た、ツンデレ。

目をグルグル回しながらブンブン手を振って否定する、京。

ツンデレヤンデレ姫って本当に聞いた事が無いな。


「.....私、女友達が出来ないんだ。お兄ちゃんに近寄って来るかもって思ったら.....無茶苦茶に敵視しちゃって.....だからお友達が欲しいなって」


「.....そうなのか.....」


俺は少しだけ複雑に思いながら、淹れてから数分経った紅茶を飲む。

ぬるいと思いながら、静かに京を見る。

京は俯いて、震えて、悲しげな感じだった。

俺はその光景を見つつ、前を見る。


「.....女だったら誰にでも冷たく接する事になっちゃう。.....ごめんね.....これはきっとお兄ちゃんに迷惑を掛けているんじゃ無いかって.....絶対に.....ごめんね.....!」


涙をポトポト落としながら、反省の言葉を述べる京。

その姿を見ながら、京の頭に手を乗せ。

そして肩を寄せた。


「.....ヤンデレを治そうと思ってくれた事が本当に嬉しい。その意気が有るなら大丈夫だ」


「.....そう.....なのかな」


ただひたすらに戦って。

今に至った。

全ては今からだと思う。

そうだ、きっと。


「.....京。俺はお前が変わるなら協力する。絶対に変われる。お前なら」


「.....うん。でもその.....エッチな本は禁止だから」


「.....そうですね」


だが何故か。

だんだんと黒いオーラを纏っていく、京。

な、何だ?何でこうなる?

俺は冷や汗を浮かべた。


「.....それにお部屋でAV観ているよね?私の監視を逃れながらだと思うけど。気に入った AV女をパソコンに登録したり.....してるよね?」


そこまでバレてんのかよ!

俺は先ほどに続き、ブワッと冷や汗をかいた。

ってか、何で知っているのだ!


映像観ないと満足出来ない事も有るから.....と思ったのだが。

部屋にコイツ、居なかったよな?

ネット回線もルーターも俺の部屋、じゃあそんな事にならない筈だ!

ゆらりと揺れ、スックと立ち上がって俺を見据える、京。


黒い眼差しが俺を射抜く。

冗談抜きで胃が。

胃が爆発しそうだ。


「.....お兄ちゃん。私、音とか映像とかネット回線とか全部監視しているからね?私以外の女の子で発情するのは.....如何かと思う.....から.....」


「あのその、すいませんでした」


そんな事をしているとは思いませんでした。

滅茶苦茶に怖いんだけど、と俺はその様に思いながら土下座する。

でも。


そんな中で京の人生相談を受けて色々と分かった。

京は俺が女がらみになると、性格がぶっ壊れてしまう。

だけど、それを変わろうとしている。

そういう事が、だ。


俺は和かに思いながら、納得した。

って言うか思ったけど鍵のシリンダーナンバーがバレたのもそれか。

俺は盛大に溜息を吐きながら見えない未来を見据えた。

紅茶を飲む。



でも本当に結論から言って今現在、するべき事が分かった。

というか、するべきでは無く、頑張らなくてはいけない事が、だ。

夕方の中、食器を片しながら横に立っている京を見る。

京は考え事をしている様に見えた。


「.....」


「.....大丈夫か?」


「.....大丈夫だから。お兄ちゃん」


因みに食器を片すのは日常だ。

うちの母親と祐介さんが仕事でそれなりに遅いからだ。

夕焼けを見ながら、俺は少しだけ柔和になって京を見る。

洗濯は出来たかなとも思いながら。


「.....でも京。有難うな。相談してくれて」


「べ、別にお兄ちゃんに相談したかったからじゃ無いから!必ずしもお兄ちゃんじゃ無くても良かったんだから!」


またツンデレが出た。

俺はその様子を口角を上げて見ながら、皿を置いた。

スポンジで次の皿を洗う。


「.....お前は出会った頃から.....いい子だ。きっと.....ヤンデレも抑えれるよ」


「.....う、嬉しく無いから!」


まさに赤くなっている様に見える。

俺はその京の頭を思いっきりグシャグシャに撫でてそして笑みを浮かべた。

努力の全ては実になる。

絶対に実る筈だ。


「.....うふふ、えへへ.....」


全く、本当に可愛いなコイツ。

一人っ子の俺に義妹が出来るなんて夢にも思って無かったあの頃が懐かしい。

こんなかわいい義妹に出会えて本当に幸せだ。

俺はその様に思いつつ京を再び柔和に見る。


「絶対に負けるなよ」


「うん。頑張る.....」


そして食器を片してから洗濯物を直した。

それから部屋に一時的に俺は戻る。

時刻は18時34分になり。

取り敢えずカメラは如何なものかと思うので、探す事にした。

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