第5話 ヤンデレを治したい

「.....ハァ.....」


「どうした?プレイ男」


「いや、ちょっと」


俺のクラスの休み時間。

ってか付けられたあだ名にしてはタチが悪い!

俺はその様に思いながら、蜜柑を睨む。

すると蜜柑はアハハと冗談交じりに笑って男座りで椅子に腰掛けた。


「.....でもそんなに胸とかが好きなノカ?」


「そ、そうだな.....」


「.....?」


俺の視線を追って下を見る、蜜柑。

丁度、紐パンが見えるのだ。

それを見て赤面で俺を思いっきりビンタしてきた。

イテェ!!!


「この変態ヤロウ!ボケカス死ね!」


「イッテェ!?それ見せる為にやっていたんじゃねーの!?」


「バカか!チガウわアホ!」


ポカポカと一生懸命に殴ってくる、蜜柑。

俺はそれを必死におっと!と避けながら、思い出して蜜柑に向いた。

そして腕を受け止めて話す。


「蜜柑。あのな。義妹の問題、解決したから」


「.....え?あ?.....そうなノカ?」


「.....そうだ。有難うな」


見開く蜜柑。

俺はそんな蜜柑に柔和に接する。

しかし、蜜柑はジト目だった。


「.....それと紐パンを見た事は関係ないゾ?話を逸らすなヨ」


「..........まぁ確かに」


「うふふ。じゃあ京ちゃんを読んでくるからナ」


勘弁して下さい。

俺はその場に思いっきりに頭を下げる。

そして謝った。

うふふふと怪しげな笑みと共に王女様の格好をしている蜜柑を見ながらそうしているとチャイムが鳴った。


「チッ。時間か.....」


「いや、マフィアかお前は」


「後で覚えてろヨ。この借りはきっちり返して貰うからナ」


「.....お、おう」


俺は苦笑いを浮かべながら、ツーンとした表情の蜜柑を見送った。

それから次の授業の準備をと思い、現文の教科書を取り出す。

そんな現文の教科書にピンクの何か紙が挟まっている事に気が付いた。

俺は?を浮かべながら、取り出す。


「.....うん?.....これ.....」


(お兄ちゃん。.....その、人生相談が有るんだけど)


多分、勇気を振り絞って挟んだのだろう。

俺はその便箋を、アイツめと呟きながら見てそして少しだけ嬉しく授業を受けた。

放課後、家に帰るのが少し気楽になった。



夕焼けが眩しい放課後になった。

俺は蜜柑と手を振って別れ、自宅に帰宅すると。

目の前に京が先に帰っていた様で立っていた。


待っていたと言わんばかりな感じだ。

俺を恥ずかしがりながらモジモジと髪を揺らしながら見てくる。

少しだけ小っ恥ずかしさを感じながら京を見た。


「それで、人生相談ってのは何だ?」


「.....えっと.....その.....」


京はなかなか切り出そうとしない。

俺は柔和に見ながら、その時を待つ。

すると、京は、え、えっと!

と切り出した。


「.....アンタなんかに頼っても仕方が無いんだけど.....その.....ヤンデレとツンデレ、どっちかをどうにかしたい.....って感じかな!!!」


大声で言わんでも分かるから。

俺はその言葉に少しだけ口角を上げた。

そして玄関を上がりながら言う。


「.....そうか」


「.....ヤンデレって異常だと思う。ツンデレもだけどね。お兄ちゃんを.....奪われたく無いけど、とにかく!おかしいから」


自らヤンデレをその様に話すヤンデレってのもなかなか無いぞ。

その様に俺は思いながら、恥ずかしがる京を見る。

そして溜息を吐いて京の頭に手を添えた。

京は顔を赤くしながら、俺を見る。


「.....まぁ、じゃあ、一緒に治していこうな。京」


「うん!.....あ、お兄ちゃん!」


「何だ?」


俺は幸せな感じで振り返る。

すると、目の前にドサドサドサと何かが落ちた。

俺は唖然として、目を細め。

そして唖然とした。


こ、これは床下に隠していたのだが!?

それも鍵は2重シリンダー式!

何故バレたのだ!?


「部屋から出て来たよ!.....うーん、やっぱりお兄ちゃんの内臓を抉った方が良いのかな?」


「ごめんなさい!まだ有るとは知らなんだ!燃やして、廃棄処分すっから!な!?」


その手に火の点いたライターを持って真黒な目で俺を見据える、京。

いやなんか!絶対に治らないと思いだした!


マジでこのヤンデレ怖いんですけど!

胃も痛いしよ!

ツンデレでヤンデレってどういう組み合わせだよ!?

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