第4話 隠さなくなった、ヤンデレ

そのまま夕飯も片付けも話す機会は無く。

朝、翌日になった。


俺は少しだけ複雑な思いを抱きながら、起き上がる。

そうだよな、馬鹿な真似だったと思う。

本格的に俺は、だ。


「.....」


ベッドからゆっくりと涙を拭って起き上がる。

そして反省しながら歩くと。


部屋のドアがキィと開いて、そして誰かが入って来る。

その人物に俺は酷く見開く。


「.....京?!」


「.....お兄ちゃん。.....朝だけど.....えっと、その.....」


ツインテ、エプロン姿でモジモジする、京。

俺は驚愕していたのだが、ハッとして思い出して。

その場で頭を思いっきりに下げた。


「「ごめんな(さい)!!」」


顔を見合わせてお互いにビックリする。

何故か、謝りの声が重なったのだ。

京も目をパチクリして俺も目をパチクリする。

何.....?


「.....どういう事だ京。.....俺が謝るべきなのに」


「.....だって。あんなノートを書いていたの.....私だから。.....お兄ちゃんを勝手に使って書いたの.....私だからね!.....私が.....悪いからね!」


そうは言ってもな。

俺は複雑な思いで拳を握って言う。


「.....でもな、俺もお前の部屋に勝手に入った。それは事実だから」


「.....そうだけど、でもお兄ちゃん。私のノート見てくれて有難うって言いたかったから」


その言葉に俺は予想外で少し戸惑った。

そして.....その言葉は一体、どういう事だ?

と聞こうとした時、京が先にニコッと笑んだ。


「ごめん、貴方に先にお話が有るんだけど」


俺はクエスチョンマークを浮かべて呆然としていると。

次の京の行動に真っ青になった。


京の手には2冊の週刊プ●イボーイが握られていてそして京は火の点いたライターを持っていた。

だんだんと目に輝きが無くなって.....ヒェェ!?

これが京!!!!?信じられない!


「お兄ちゃん。私、凄い悲しいんだけど.....どういう事かな.....?」


「.....す、すいません.....」


「ああ、謝る必要は無いよ?これが何かって話してって言っているの」


「す、すいませんでした!!!」


やっぱりコイツはそれなりにヤンデレも有るんだな!

俺はその様に思いながら、土下座をした。

当然だが、破棄処分となる。


くぅ.....愛しの可愛子ちゃん.....さらばだ。

好きなAV女優が出てたのだが。

俺のオカズが.....。


でも、それは良いとして。

さっきの事を聞きそびれたな。


俺は後で聞こうと思い、考える。

京はライターを仕舞いつつ、ハイライトをニコッと戻した。



「修兵。まぁ分かっていると思うけど、後で話が有るからね?」


母親にも週刊プレイ●ーイの事をチクった京。

祐介さんは苦笑しながら見ていた。

因みに信じられない事に。

俺の幼馴染もジト目で俺を見てきていた、ってまさか。


「オレっちは悲しいぞ修兵。京ちゃんから聞いたケド」


「.....いや、お前にも伝わってんのかよ.....」


無いとか言いながらも俺に恨みが有るんだな京。

ってかどうやって伝わらせたんだよ。

俺はその様に考えながら歩く。

蜜柑は八重歯を見せながら俺に首を振って溜息を吐いた。


「まぁお前も健全な高校生だから仕方が無いんだろうケド。悲しいゾ」


「.....うん、あ、はい」


俺はそれなりの仕打ちを受けながら歩いて行く。

すると、背後から京がやって来た。

いつも通りのムスッとしながら、だ。

俺は冷や汗をかく。


「.....あ、オッス!京ちゃん」


「はい」


「.....お前、手加減しろよ.....」


「何が?お兄ちゃんの為だよね?ね?お兄ちゃん.....?」


一瞬でハイライトが消えた。

いや隠す気もう無いのね?

こんなヤンデレとか前代未聞ですたい。

瞳孔開いているしよ、ハァ.....。


「よし、取り敢えず、急ぐぞお前ら。時間が無いし」


「あ、逃げタナ」


「逃げましたね」


そそくさと去る、俺。

そして校門まで駆け足で行く。

このまま居たらマジで胃痛が酷くなると判断した。

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