第3話 絶交だよお兄ちゃん

その日、授業が終わって放課後になった。

偶然にも京は生徒会委員の為この場所に今は居ない。

それをチャンスと思い、急いで帰って来た。


俺は捜索の結果、京の部屋の本棚で見つけたその極秘お兄ちゃんノートを見る。

今、ただひたすらに胃痛がする。

こんな事は早く終わらせたい気分だ。


「.....」


今一度と思いながら極秘お兄ちゃんノートを開く。

一ページ目を震えながら、だ。

俺は冷や汗を吹き出しながら、耳を研ぎ澄まし義妹が帰って来て無いか確認しつつ。

その全てを南無三!と思いながら見た。


宮間京。

つまり義妹はマジでヤンデレなのか否なのか。

全ては今日で判明する。

俺は青ざめつつ、読みだした。


「.....ゴクッ.....」


確認をすると。

その場所にはこう書かれていた。

絵と共に、だ。


(.....あ、そうだ。ツンデレの性格もどうにかしたいな。お兄ちゃんの顔が真面目に見れないし。まあ、でもきっとお兄ちゃんは私だけを見てくれる。問題は無いだろうけど、念の為ってね。でも本当に殺したい気分。お兄ちゃんの周りの女。邪魔だなぁ。ウジ虫ども。殺したいなぁ。どうしたら良いんだろう?硫酸で社会的に殺すとか?アハハハハハハハハ!!!)


「.....なんてこった.....」


何なんだ、マジで京は.....ヤンデレなのか?

このノートの中だけなのか!?

どうなんだ.....一体!

俺は頭を抱えながら、青ざめてよろめいた。


「.....でも何だろう.....コイツ、ヤンデレをどうにかしたいのか?そう書かれている部分もあ.....」


「お兄ちゃん.....?」


「.....ッ!!!!?」


声にゾッとして直ぐに俺は背後を見る。

そこに、何故か京がニコッとして立っていた。


嘘だ、何が起こっている!

コイツの階段の足音は聞こえなかったぞ!!!

俺は青ざめたまま、直ぐに極秘お兄ちゃん日記を閉める。


「.....な、何でだ.....お前!生徒会は!」


「.....念の為に忍び足で戻って来たらやっぱり。お兄ちゃん.....最低だね.....?」


「.....あ、はは.....」


寿命が縮む。

そんな事を思いながら。

俺はヤンデレ&ツンデレの姫を冷や汗を流しながら見た。

化け物だ.....!



かなり痛い。

いや、京に包丁とかで刺されました、とかでは無い。

その視線が痛すぎる。


京のその落胆した様な悲しそうな視線が、だ。

俺は冷や汗をただ流し続ける。

すると、悲しげな顔で京は俺を見てきた。


「.....お兄ちゃん。最低。私の部屋に絶対に入らないでって.....あれ程.....言ったわよね.....!」


「.....す、すまん.....京。どうしてもお前の事を.....!」


「.....そうは言っても最低!!!お兄ちゃんはバカなの!!!!?」


絶叫する、京。

そ、そうだよな.....やっぱり最低だと思う。

俺はその場でショックのあまりよろめいて、そのまま日記を落とした。


やはり日記を勝手に見るのは.....馬鹿な真似だったとそう思う。

胃痛よりも何か大切なものが有った筈なのにと、思っていると、こっちに京が歩いて来た。

そして複雑な面持ちで話してくる。


「.....私の性格を知ったの?答えてよ.....」


「.....すまん.....見てしまった.....ごめんな.....」


「.....お兄ちゃんの馬鹿。.....絶交。.....嫌い」


震えながら涙目でバッサリと切り捨てる様にその様に宣言された。

それは、俺への久々の反発で。

俺は歯を食いしばるしかなかった。


そしてそのまま俺は蹴飛ばされる様に部屋から追い出され、自責の念と後悔の念に襲われた。

何で恐怖に負けて.....こんな事をしてしまったんだ、と。

心の底から落ち込んだ。


「.....すまん.....」


もう何も言えなかった。

それだけ話して、俺は歯を食い縛ってガクッと肩を落として。

自室、つまり自分の部屋トボトボと戻った。

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