第2話 幼馴染、山下蜜柑

(来年になった東京オリンピックについてどう思われますか?佐藤さん.....)


「ご馳走様でした」


俺はご飯をかき込んでからその様に話して制服をビシッと着こなして立ち上がる。

そしてチラッと京を見るが、ご飯をモソモソ食べているだけで俺の半年前にした事を気にもしてない様な感じだ。

ただ、俺の視線に赤くなってはいるが。


取り敢えず、半年間バレてない。

俺はそれを考えホッとしながら、冷や汗を拭って歩く。

そして台所まで食器を持って行き片してから。


「.....じゃ、行って来ます」


と話した。

この言葉に顔を上げる、家族。

因みに義妹を待たないのは義妹が食べる速度が遅いからで有る。

ある意味、ちょっと安心なんだが。


「ああ、気を付けてな。修兵くん。京はいつも通りだから」


俺の母さんの再婚相手、富樫祐介(とがしゆうすけ)さんがニコッとして話した。

黒髪の小さなポニテ、無精髭が似合っている、眼鏡。

身長170センチも有る、柔和な感じの顔付き。

彼は38歳と若い。


未だに再婚の事に慣れない感じで有る為。

祐介さんには俺は冷たい気がする。

頭を下げ、そのままリビングのドアまで歩いて行く。

母親の宮間和子(みやまかずこ)が俺を行ってらっしゃいと見送ってくれた。


黒髪に少しの白髪、誰にでも優しい気持ち、そして顔立ちは俺に似ている。

そして、京に俺に対しての優しい感情。

俺と京が中学校でイジメを受けていた時も祐介さんと共に立ち向かってくれた一人。

感謝しか無い。


俺は手を挙げて、和かに答える。

その際に、一瞬だけ視線を感じたが振り返っても何も無かった。

俺は?を浮かべながら、リビングから静かに出る。


何の視線だ、京の視線か.....?

滅茶苦茶に胃が痛いのだが。



義妹は恐らくブラコンかヤンデレかどちらか。

だけど、俺には一切その本性を見せない。


少しだけ本性が確かに出る事は有るが。

それ以外はヤンデレの様なもの、ブラコンなどは確認出来ない。

ツンデレは有るが。


義妹は一体、何を考えて行きているのだろうか。

俺は複雑な思いを抱きながら歩く。

そして空の雲を見ていると。


「なーにやってんのカナ?」


「.....おお、蜜柑」


同級生の幼馴染、山下蜜柑(やましたみかん)16歳。

その名の通りオレンジ色のアルビノの長い髪をしている女の子。

顔立ちも眉毛も細くて、目も大きく、それなりに整っており。

八重歯が特徴で、笑顔が絶えない俺の大切な一人だ。


その蜜柑の姿を見ながら、俺は笑みを浮かべる。

そしてハイタッチした。

蜜柑は早速と俺に向いて話してくる。

覗き込む様な感じだ。


「.....義妹ちゃんの事を考えていたノカ?」


「.....ああ、そうだな」


因みにコイツには既に義妹がそんな日記を綴っていたという事を伝えて有る。

だが、それは一種の恋愛の感情の迷いだと。

茶化した感じになってしまったが。

俺は俯きながら顎に手を添える。


「でもな、なかなか.....不安が取れないわ」


「まぁお前もキンタマ付いているシナ」


「いや、お前.....女子がそんな事言うなよ.....」


「かっかっか」


うーむ、コイツは何時も通りだな。

俺は本気で心配してのに。

少しだけ複雑な気持ちを抱きながら、見る。

まぁ.....そうかもと考える事も有るけど!


「ほらほら!早く行こうゼ」


「分かったから押すなっての!」


俺はその様に慌てて言いながら。

胸を押し付けてくる様な蜜柑に赤くなりながら慌てる。

そして学校に登校する為に歩いていると。

後ろから京が。


「お、京ちゃんじゃ無いカ」


「.....おはようございます」


「.....」


キッと俺を静かに睨む、京。

相変わらずのかなりの敵視だな。

俺はその様に思いながら顔を引き攣らせる。

京は静かに俺を見据えてきた。


「.....別に聞きたくも無いけど.....何やってたの」


「.....別に。触れ合っていただけだ」


「.....ふーん。まぁ良いけど!良いけど!」


京のそのかなり凍て付く視線に。

あははと冷や汗をかきながら胃痛を感じつつ。

乾いた笑みを浮かべる、俺。


「.....お、時間が時間だゾ。急がないと」


「.....あ、ああ」


「.....」


慌てながら俺は歩く。

凍て付く死神の視線を掻い潜りながら、だ。

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