第7話 勇者の剣・2
「学校に行きましょう。ユウナの生活なら家で面倒を見るから。父も母もユウナちゃんならって喜んでいるから。」
真っ直ぐな瞳でユウナことを射抜く。その瞳はユウナには眩しすぎた。
ベル公国では七歳になった子は学校に通ってもいいことになっている。もちろんお金はかかるが微々たるもので全ての子供が通っている。10になったら通うつもりでいたが父の死亡により通えなくなってしまった。
「ありがとうカナリア。でもこれ以上お世話になるわけにいかないから。」
ユウナは週末カナリアから勉強を教わっている。最低限の教養は欲しくカナリアに頼んだのだ。カナリアは快く引き受けさらにカナリアの家へ行くたびご飯をご馳走になっている。
カナリアの家のご飯凄い美味しんだよね。よだれが出そう。
「そんな!気にしなくていいのに……。ユウナちゃんやっぱり学校に通いたくないの……?」
「うん。それに今私は狩りをやめる訳にはいかないから。」
「生活のため?それともあれのせい?」
「まーそうだね。お金ないし。」
明るい声で後半の質問には答えないユウナにカナリアは苦しそうな顔をする。
「なーに暗い顔してるの。別に私は不幸じゃないから。カナリアに村の皆がいる。ポポ村でこうして生きているだけで幸せなの。」
カナリアを元気づけるように頭を撫でる。
ほんとに幸せなんだよ。大切なものがたくさんって。それを守ることが出来るのって。村の人は父と母が亡くなった私にとても良くしてくれる。それの恩返しが出来るんだ。幸せすぎる。
そんな思いを込めてカナリアの柔らかな髪を優しく撫でていく。
カナリアはまだ悲しそうな顔をしていたがユウナの笑顔を見て次第に明るい顔になっていく。
それからユウナとカナリアは近況報告をし合い今度の勉強会をいつにするか決めた。ユウナは捕った獲物を捌きながらカナリアと談笑した。
「そろそろ帰らないと。晩ご飯の時間だわ。」
「送って行くよ。」
「ならそのまま家に来て一緒にご飯を食べましょう。もうシェフには四人分用意するように言ってるあるから。」
さすがにすでに準備してあるとあってはユウナも断れなかった。
なんだかんだ私カナリアに上手いように転がされている気がする……。
村の中心地に行くとユウナ達と同年代の子供達が学校から見知った人物が出てきた。
「カナリア!」
それは赤い髪のフィアーだった。
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