第5話 ユウナの家族
ここで私の家族を紹介しておきたい。
私の家庭は一般すぎるほど一般だ。過度に裕福でも貧乏でもない。
父は隣の国で兵士としてお仕事に励んでいてほとんど帰ってこない。けれど帰ってくるとこれでもかと構ってくるので仲は凄くいい。
母は村一番の猟師として有名でちょっと厳しい。私も母の後を継ぐために日々訓練を受けている。つらい。
今まだ教えて貰ってないが母は猟師以外にも仕事があるらしいがそれはもう少ししたら教えてくれるそうだ。楽しみだけどこれ以上訓練が厳しくならないことを祈るばかりだ。
ごく普通な家庭で幸せに暮らしていた。けれど幸せが永遠に続くことは無く終わりを迎えた。
私が10になるかならないかという頃父が死んだのだ。死体は隣の国から帰ってくることは無く訃報だけが知らされた。
悲しみに染まる家だったが母はそれをいとも簡単に乗り越えた。私は時間がかかった。けれど母は変わらず訓練を私に施した。
一時期母は父が嫌いなのかと疑ったが偶然母が父からの手紙を読んで泣いているところを見てその考えは改めた。
父が亡くなって母は私に猟師以外の仕事を教えてくれた。それはまあ、びっくりした。これについてはまた今度。
母の後継者として修行しカツカツの生活を送る。
ははっ。父の収入が無くなったせいで家の家計は火の車になったのさ!良くない!
そのおかげで私は村にある学校に通えなかった。ありがたかった。学校にはてんで興味が湧かなかったのだ。
母は通わせられなくてごめんと謝られたが私にとっては小躍りしたくなるほどの事だったが黙っていた。
母との暮らしも楽しかったのだがそれもすぐに終わった。私が12になった年に突然体を崩してそのまま快方に向かず死んだ。
さすがに二度目となれば心は強靭で泣かなかった。と言いたいけど泣いた。ありえないほど泣いた。父が死んだことも思い出して泣いた。一人ぼっちなんだと泣いた。
一日中泣いた私は翌日には母から教わったことを自分で練習した。そして13になった日。正式に母の仕事を引き継いだ。何人かにはもちろん反対されたが母の技術を持っているのが私だけになったので結局は認めてくれた。
私の家族の話はおしまい。私の家族は私だけになったのです。
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