第4話 選ばれたのは・3

「そうなんだゆうしゃのけんなんだ!」


 そこでユウナが目覚めてからバルトが声を出す。


 めんどくさいのが反応したなー。


「バルトくんいたんだ。」

「ユウナひどい!」


 しょうがないじゃないか。みえなかったんだから。

 ゆうしゃのけんかー。私たちにおちてきたってことはこのなかのだれかがゆうしゃってことかな?それなら――


「バルトくん良かったねゆうしゃじゃん。」


 ユウナは笑顔をバルトへ向ける。


「え!おれゆうしゃなの!」


 嬉しそうに喜ぶバルトを見てほくそ笑む。


「だってそうでしょ?ゆうしゃは男のひとでしょ?」

「えー!あたしもゆうしゃになりたかったー!」


 フィアーが駄々をこねるように叫ぶ。


「ならフィアーちゃんはゆうしゃのなかまだよ!」


 フィアーの機嫌をなおすためユウナはすぐさまフォローをする。


「ゆうしゃのなかまってことはまおうをたおせるのね!」

「うん。そうだよ。」

「やったー!!」


 万歳をして無邪気に喜ぶフィアーを見てユウナは小さく息を吐いた。


 とりあえずこれで私がゆうしゃになることはない!カナリアちゃんはゆうしゃとかすきじゃないっていってたからもうあんしんあんしん!


「ゆうしゃバルトさんじょう!まおうよかくごしろー!」


 勇者の剣を手に取ったバルトは剣を高く掲げ村へと走っていった。


「バルトくんまってー!あたしもまおうたおすのー!」


 フィアーが慌ててバルトの後を追っていく。

 二人が消えユウナとユウナに抱きついたままのカナリアが残った。


「ねえユウナちゃん。おしつけたよね?」


 カナリアがユウナから離れて問いかける。


 さすがカナリアちゃん。


「うん。ゆうしゃなんてめんどくさいし、それにえらばれるとしたらバルトでしょ。」


 バルトは村の子供の中で一番魔法が上手く扱えさらに運動神経が良い。ユウナは本心からバルトが勇者に選ばれたと思っている。


「それも、そっか。ユウナちゃんかえろう。」

「そうだね。かえろっか。ふたりとも行っちゃったし。」


 残された二人はのんびりと村へと帰っていた。



 二人が村へと帰る頃には既にバルトが勇者だと村が大騒ぎしていた。ユウナとカナリアはそれを脇目にそれぞれの家へと帰った。

 それから四人が仲良く遊ぶことは徐々に減っていった。

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