第2話 選ばれたのは

 ゴルスタ王国から遠く離れた国、ベル公国。その中の小さな村ポポ村。魔物もほとんどおらず魔王に対して恐怖心があまりない平和な村で四人の子供達が遊んでいた。女の子が三人に男の子が一人。年は全員六つと幼い。


「ねぇ、あれなぁに?」


 金髪で三つ編みのカナリアが空を指す。


「すげー!きれー!」

「おひるなのにながれぼしがながれてる!」


 黒髪の男の子のバルトと真っ赤な短い髪の女の子のフィアーがカナリアの指す方を見る。カナリアの指した空には光を放つ物体が飛んでいた。

 もう一人の茶色い髪を一つに束ねた女の子、ユウナもその物体をゆっくりと見上げた。


 しばらく四人がそれを見ているとユウナがあることに気づいた。

 なんかだんだんおおきくなってきている……?


「ねえ、なんかこっちにきていない?」


 独り言のように呟いたユウナの言葉通り謎の物体はだんだん大きくなり四人に向かって落ちていた。


「やばくないこれ!」

「え、え、え、にげなきゃ……!」


 ユウナの言葉でそのことに気づいたカナリアとフィアーは声を出して慌てる。ユウナはゆっくりとその場から離れようとしていた。少し離れたところから皆を呼んだ方がいいと思ったのだ。


「あっちににげるぞ!」

「え?」


 バルトとがユウナの手を掴み走り出した。ユウナの考えたことが一瞬でおじゃんとなった。

 走り出したバルトとユウナの後についてカナリアとフィアーも走り出す。


「まだ、こっちに、きている、よぉ……!」


 息も絶え絶えなカナリアが後ろを振り向いて謎の物体を確認する。

 フィアーも振り向いて確認するとカナリアの手を握る。この中で一番体力がないカナリアを置いていかないためだろう。


 しばらく走り続けていく。バルトは一度も振り返らず走っている。手を掴まれているユウナは必然的に走らなければならず後ろの二人も謎の物体から逃れるため走る。

 ユウナは横に走ればいいのではと思っていた。しかし、一生懸命な三人には通じないなと諦め走っていた。


 体力的に余裕のあるユウナはそこで初めて後ろを振返った。


 するとユウナの眼前に謎の物体が差し迫っていた。

 カナリアとフィアーは突然前に現れた謎の物体に足を止めてしまう。


 ユウナもあまりの近さに驚く。


 ごちん!


 謎の物体はユウナの額へと勢いよく当たる。ユウナの額へと当たった瞬間謎の物体の光が消え美しい剣が現れた。

 それを確認できたのはカナリアとフィアーのみ。

 ユウナは謎の物体もとい謎の剣が当たった瞬間気絶し後ろへと倒れる。


「ユウナちゃーーーん!!!」


 カナリアとフィアーの叫び声が揃う。バルトはその声と背中にかかった突然の重さにに後ろを向く。


「ユウナーー!?」


 三人の叫びはユウナには聞こえなかった。

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