第5話
政務中のエイシュン。
若い宰相ハクが今日は部屋にいる。
「陛下、無駄に色気を振りまかないで下さいよ」
「これが振りまかずにはいられるか。溜まって死んでしまいそうだ」
「じゃあ、今晩、女子でも」
「いや。いらん」
「はぁっ?」
「もう少しで手に入ると思うからこそ、焦らされるのが良いのだ」
「変態ですか…」
「相手が処女なのだから仕方がないだろう?はぁ」
熱い吐息を吐く。
「この部屋殺風景すぎません?」
「う~ん、部屋をいじったりしてもなぁ…雰囲気に酔うような感じはしない。男勝りな格好をしてるからなぁ」
「いったいどんな趣味の娘なんですか」
「欲情と言うものを教えてやったが、まだ好きのひとつもない」
「陛下の身体だけが目当てなんですね」
「無礼ぞそなた」
といいつつ、毎晩裸で抱き合っているだけなので確かになとも思ってしまう。
「失礼します」
城下町に行ってきたお土産を持ってシャオメイがやってきた。
「第二王子、これはこれは」とハク。
「シャオ」ぶわっと色気が増したエイシュンにゾクッとするハク。
「あの、これ今日買ってきて…」
「そうか、シャオ一緒に夕食をとろう」
お土産を受け取ると、その流れで指を絡みとって離さない。
「今日はそなたが好きな物を用意させる」と紳士に微笑む。
ハクは、なるほど男勝りというのではなく男装をしているんだなと合点がいった。
「第二王子、湯浴みをしてお待ちくださいね」とハク。
「あ、はいありがとうございます宰相」
進められるまま来たが、何故か浴室にはエイシュンもいる。
壁に背を預けている彼を横目に身体を洗う。
「桃の葉のかおりがするな」
「そうですね」
「好きか?」
「好きですわりと」
「俺は?」
「…わりとゴニョゴニョ」
「ん?」
「うるさい」
「無礼ぞ」
顔を赤らめてそっぽを向く彼女に嫌な感じはしない。
浴室から出ると服がなかった。
あるのはヒラヒラとした女性の服と肌着。
「服着ないと風邪をひくぞ」
「…では」
久しぶりに袖に手を通してみる。
肌触りのいい滑らかな感触。
「陛下、先に行っていますね」
「あぁ、脱がせたくなるな」
と、彼女の帯に手を添える。
「ダメっっ!」
シャオメイは思いっきり突き飛ばして離れた。
その顔は怒りに満ちていた。
なぜ怒っているのかわからずうろたえるエイシュン。
「シャ…」
「ダメったらだめっ!」
「…はい…」
顔を赤らめて先に彼女は出ていった。
彼女と入れ違いにハクが様子を見にきた。
「陛下、どうかされました?」
「あぁ…俺は泣きそうだよハク」
「?」
状況が読み込めないハクなのだった。
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