第4話

敵国は伏兵の奇襲が失敗に終わったためあっさり降伏したので、早々に属国に下った。


帰還してからも彼女は男装を続けていた。


シャオメイの部屋には、彼は来ないが代わりに薬師が毎日湿布を届けにきた。


もうあれから2週間か。


きっと属国になった国の取り決めを話し合っているんだろう。


いやいや、何故エイシュンが自分の部屋にくるのが当たり前だと思うのだと顔を横に振る。


来たらきたで会わす顔もない。


きっと思い出して黙ってしまう。


それに男だと偽っていた事に腹を立てているのかもしれない。


身体を隅々まで調べられ、自分の何かが行けなかったのかもしれない。



頭が彼でいっぱいになるのを何度も追い出し、気分転換に庭へと赴いた矢先、彼と出くわした。


「シャオ、丁度そなたの所に行く所だったんだ」


「…」


ダラダラと顔に汗をかき、その場でひれ伏す。


「お前達はもう良い、下がれ」


「はっ」


兵士を皆持ち場に下がらせた所で、シャオメイに近づく。


「シャオ?」


顎をくいっと自分に向けさせると、焦ったシャオメイの顔が見えた。


「顔が真っ赤だぞ、それにこんなに汗をかいて風邪か?」とくすりと笑う。


「では部屋に戻ります!」


ばっと身体を起こし、その場から逃げようとしたが彼もついてきた。


「なぜっ!?」


「なぜってそなたの看病をしてやる」


「結構です」


「無礼ぞ」と部屋の中へと入ってきた。


彼女は帽子をとり、結った髪を解くと額の汗を布でふいた。


化粧もねっとりとして気持ちが悪いので念入りにふいた。


冷水に顔を冷やし、心を落ち着かせると彼の前に座った。


「失礼いたしました。来るとは露ほども思っておらず狼狽えました」


「肌を重ねたのに、露ほども思って居なかっただと?」


ずいっと彼が迫ってきたので、慌てて訂正する。


「政務が忙しいのかと思って」


「あぁ、さっき終わった」


そのまま頬と耳に口付けをする。


「だが、まだそなたが終わっていない 」


寝台にゆっくりと寝かされると布団をかけられた。


「簡単な遠征であったはずが怖い思いをさせたな。すまなかった」


「陛下がすぐ来てくれたからそんなには怖くなかったです。崖に落ちた時も来てくれたし」


頭を撫でられて眠気がやってくる。


「陛下眠くなって…」


そのまますぅと眠ってしまう。


夕方目が覚めると、同じ寝台に彼も寝ていた。


彼に包み込まれると心がきゅっとはなるが落ち着く。


整った顔を眺めているとあの日の事を思い出す。


ゆっくりと口付けをするがなぜか上手くできない。


暫くすると応えるように彼の唇が動いた。


太股から尻の膨らみをぎゅっと掴まれる。


「!」


「寝込みを襲うとは無礼ぞ」


彼女を下にすると何度も唇を奪う。


するすると服を脱がし、脇下から大きく胸を揉む。


身体が動くほど上下に揉むと、シャオメイが身を捩らせた。


「ん?」


可愛く震える彼女の耳元に囁く。


「そなたの部屋はかなり離れているから声を出してもわからぬぞ」


背中いっぱいにキスを落としてから彼女を抱きしめた。


「なぜっこんな事をするのですっっ」


「寝込みを襲ったそなたが言うか?」


「くっ」


気がついたら触れてしまっていた。


「そなたに欲情して何が悪い」


後ろから抱きしめて背中に顔を埋める。


「脱いでっっずるい」


「ん」


肌と肌が触れ、どきんと胸が跳ねる。


がっちりとした胸や肩を触ると安心する。


生きていると実感する。


この人肌に溺れてしまいそうでシャオメイは恐ろしくなった。

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