第18話

 町長のカレンさんに、視察に来た人をビックリさせてくれと頼まれた翌日。

 休みを経て元気いっぱいになったアイナちゃんと、午前中にマッチを売りさばく。


 そして暇になった午後で、日本からどんな商品を持ってくるか考えていた。

 なんせ俺の商品チョイスにこの町の未来がかかっている、と言っても過言ではない状況だ。そりゃ悩んじゃうよね。


「うーむ」


 カレンさんはマッチだけで十分みたいなことを言っていたけれど、俺としては視察に来た人の心にグッとくる物を、もう一つぐらいは用意しておきたい。

 しかし、冒険者どころかこの世界の住人ですらない俺には、何を用意すればいいのかいまいち想像がつかなかったのだ。

 こうなっては仕方がない。


「よし。決めたぞ」


 俺はある決心をした。


「ん? シロウお兄ちゃんなにをきめたの?」


 お昼ご飯(俺が用意した)を食べ終えたアイナちゃんが訊いてくる。


「よくぞ訊いてくれたアイナちゃん。実は昨日カレンさんが店にきてね――――……」


 俺はアイナちゃんに昨日の顛末を話した。


「ふーん。じゃあ、その……ぼーけんしゃギルドのひと? にマッチをみせるの?」

「そそ。そうなの。視察の人にマッチを見せてくれー、って頼まれたんだ。でも俺としてはさ、マッチの他にも冒険の役に立つアイテムを用意しておきたいんだよね」

「あ、わかった。それでどんなアイテムを持ってくるかきめたんだ。そうでしょシロウお兄ちゃん?」

「ブブー。外れでーす。正解は……」

「正解は?」


 小首を傾げて訊いてくるアイナちゃんに、俺は自分の考えを伝える。

 アイナちゃんは、


「えええ~~~~~~~~っ!?」


 と叫んじゃうぐらい、すっごくビックリしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る