第3話停学中にデート

市民病院の待合室でのデートは、楽しかった。最初は、土曜日の午後だけにしていたが、あまりに楽しくて、月曜日の午後も、授業をサボって、市民病院に行くようになった。

6月のある月曜、二人で校門を出て行くところを、ブル賢に見つかった。ブル賢は、あとをつけた。市民病院の待合室で捕まった。学校へ、連れ戻されて、二人揃って談話室に入れられた。神妙にしていると、校内放送が流れた。ただいまより、緊急職員会議を開きますので、教職員のみなさまは、至急会議室にお集りください。えらいことになった。5時間目と6時間目は、全校自習になった。

そのうち、小夜子の父親と、和巳の母親が、やって来た。


校長室へ、4人で連れて行かれた。


「無期停学。反省したら、学校へ来なさい」


えらいことになった。


二人で話し合った。火・水と謹慎して、木曜日から登校する事にした。

「さあ、どこへ行こうか」

「行こうかって、家で謹慎だろう」


「何、言ってんのよ、2連休よ、思いっきり楽しまなくちゃあ」

「見付かったらどうするんだよ」

「何マイナス思考してるのよ、だいじょうぶに決まってるでしょう」


「ボーリングに行きましょ」

小夜子が、のっけからストライクを出した。

和巳はガーターだった。


「何、ビビッてるのよ、和巳ってホント気が小さいんだから」

小夜子は、次もストライクだった。

「次、ストライク取ったら、何とか言うんだよね。ストライク3本続けるの」


小夜子は3本続けた。

「すごい精神力だね。無期停学中にターキーを出すなんて」


「次は、映画を観に行こうか」

「もう帰ろうよ、家でおとなしく謹慎していようよ」


「だめよ、せっかくの2連休なんだから」

「ある愛の歌。観たかったんだ」

「しょうがないなあ」


「次は、カラオケね」

「見つかったら、退学だぞ」

「怖がりだなあ、見つかるわけないわよ」


「私は、マジで恋する5秒前とセカンドラブと青いスタシオン」

「知らないぞ」


「明日は、USJへ行こうか」

翌日は、USJでハリーポッターとジュラシックパークを観た。


「あーっ。よく遊んだ。楽しかったね」

「俺は、ヒヤヒヤだったよ」


木曜日から登校した。

小夜子と和巳が教室に入って行くと、クラスのみんなは静かに迎えてくれた。みんなは、尊敬のまなざしをしていた。二人は、クラスの英雄となった。


二人は、待ち合わせ場所を、市民会館のロビーに変えた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る