DDF争奪編

Episode13 金の天帝エンペラー・ゴールド

最期の日―――AM12:00  ビル街・弯曲十字周辺


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[弯曲十字から半径1㎞以内の各勢力残存戦力]

 マッレウス・マレフィカルム――――――

  攻撃ヘリAH-64 アパッチ(カースアーツ使い2名搭乗) 8機

 新アトランティス軍――――――――

  セクンダー・グラン

  弯曲十字の洗脳兵――――――622名(補充可能)

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「112 113 114 115 116 117 118 119 120!!!」


ドババババババババ!!!!!!!!!!!!


マレフィカルムのカースアーツ使い達が数を数えながら

弯曲十字の洗脳兵をヘリの機関銃でゴミのように撃ち殺していく。


『くそ―――これではキリが無いな!!』

『セクンダーはアトランティス人!!

 お前もロンカロンカ様経由でシルバーの死骸写真を

 確認したろう!!神々しい褐色肌だ!!』

『洗脳兵は殺せ!!!もし奴がここから逃げ出せたとしても

 殺しただけ百賭様の敵対戦力を減らせる!!!』

『百賭様への信仰心があるなら殺しまくれ!!!!!』


「百賭様の命令通り攻撃を続けろ!!

 あの十字周辺には地下通路は存在しないから、

 外に出なければセクンダーはここから逃げ出せない!!

 袋のネズミだ!!」


ドババババババババ!!!!!!!!!!!!


「ハハハハハハハ!!!逃げ惑え愚民共!!!!」

『隊長<リーダー>ァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!』


『な、なんだ3番隊!!!何ごとだ!!」


「あ、あの………』


「ハッキリ言わんかい!!」


『我々の近くで作戦行動をしていた……4番隊と5番隊のヘリが――――

 その―――一瞬、目を離した隙に見失って!!』


「馬鹿な!!!ヘリはデカい乗り物だ!!!一瞬で見失う筈がないだろ!!!」


『だって、どこを探して……ウオッ――――――――――』


<<ガ――――――――――――――――――――>>


急に通信とだえる…………


「ウ、ウオッ……?な、どうした、応答せよ!!!

 俺をビビらせ――――」


瞬間―――――――ドンゴン!!!!!!!

前長1m程の深青のカジキのような怪物が回転しながら

隊長の乗るヘリに突撃する!!!

フロントガラスを突き破り、隊長の胸を貫きえぐる!!!


ちなみにカジキとは上顎がめっちゃ鋭くでかい魚の事である。


「ガッハ―――――!?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――AM12:01  新潟宝石博物館・3F


手すりの上に立つ百賭、その側には体が半壊したセクンダーの洗脳兵がいる。


「ヘリ部隊の無線が途絶えた…

 セクンダー、お前まだ何か隠しているな…」


『エンペラー・ゴールドだ………』


「何だと?」


『新・アトランティスの皇帝、エンペラー・ゴールド。

 今後僕を呼ぶときはゴルード様と呼べ………』


「フッ……面白い事を言う奴だ。

 ――――まぁ大体想像はつくぞ、

 操っている兵士の中に紛れ込ませたんだろ…?


 自分の協力者として雇ったカースアーツ使いを……」


セクンダーの洗脳兵がにやりと笑う。

そして百賭がそのセクンダーの洗脳兵の頭を踏み潰し破壊する。


彼女、近くにあったドアを突き破り、中に侵入する――――

そこは、百賭がシルバー達を岐阜におびき寄せるために

二つのDDF・ピースを安置していた部屋!!!


彼女、DDFを入れていた2つのガラスケースを確認する。

一つは前の状態と変わらずDDFが中に入っている状態であったが、

もう一つは何やら何か噛み千切られた穴が開いていて、

中には何も入っていなかった。


「――――硬化テクタイトのガラスケースに入れていたDDFが盗まれている。

 この穴、床に開いた巨大なアリの巣のような穴から察するに、

 犯人はシルバーの仲間の新入り怪盗が操っていた蟻のカースアーツだな。

 これほどまでの長距離遠隔操作が可能だったのか―――

 もう一方は、また別の材質のガラスケースだったから無事だったようだ…


 しかし警報すらならないとは……少々あの女を侮りすぎていたようだぜ。」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

真の敵ッ!!


_________             ______________

|| マレフィカルム  ||            ||  シルバー&睦月チーム  │

|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||             || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||

|| 「願い:すべての人間がこの百賭を    ||「願い:DDFを此の世から葬れ!」

||   崇めるようにしろ!」        ||    :         || 

||   :     ||   <ブッ殺す!!!>  ||  [シルバー]       || 

||   [百賭]  ←――――――――――――→||   [睦月]        || 

||    ↑<ロンカロンカを倒した要注意人物> ||   [神]         || 

<いつでも│   ||             ==↑===========

殺せる> │    ||   <弱点は知った!>↑   │

||    │    || <取るに足らないザコ>│   │

||    │    || ←───────  │ <目的は違えど今は協力しよう>

||    │    ||         │ │   │  

||    │    ||         │ │   │  

||    │    ||         │ │   │  

||    │    ||  <DDFを渡せ!>│ │   │  

||    │───────────────    │    

<レンガで││<レンガで殺す>    _↓_____↓______

|| 殺す> ││  ||        ||  ニーズエル&エクサタチーム  ||

||    ↓│  |||   <エクスの仇> ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||

|| [レンガウーマン]←─────────→ [ニーズエル]     || 

||  :     <レンガで殺す> ||    [エクサタ]       ||

||「願い:私以外全ての人間を   ||     :         ||

|| 永遠にレンガで殺し続けろ!!」|| 「願い:このニーズエルを  ||

||        |||         ||     人間にしろ!」   ||

========        ================

   ↑<殺す>

<殺す>│

___↓_______________     

||  新アトランティス帝国(人口1桁)  ||    

|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||    

||   [ゴールド]           ||    

||    :              ||   

|| 「願い:最強の魔術師クロイツェン・ ||

||     ママゴンネードの復活」   ||        

===================

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――AM12:05 ビル街。


地には無数の操られた人間達―――――――

天には巨大な弯曲十字―――――――――

その異様な情景の中で飛び交う、二つの影。

建物の上から上へジャンプしながら移動しているその影は………


ニーズエルとエクサタ!


ニーズエルはドラゴニックエンゲージの驚異的な身体能力……

エクサタは増呪酒で得た驚異的な身体能力と、センチビートの能力を"駆使"すれば、

ビルの屋上から別のビルの屋上まで跳躍する事など容易い。


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シルバー&睦月チームの第一目的

 ―――――――→睦月がマレフィカルムからこっそり奪ったDDFの回収

ニーズエル&エクサタチームの第一目的

 ―――――――→グレトジャンニに奪われたDDFを取り返す


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エクサタがジャンプし、着地する……

すると、エクサタのカースアーツ―『センチビート』の衝撃を

保存する能力が発動し、着地点がまばゆく黄色に輝きはじめる。

そして、その黄色に輝く着地点…エクサタの足元が爆発し―――

エクサタに向かって、衝撃波を放つ!

そしてエクサタはその衝撃波を利用し、大ジャンプを行う。


同時に、ニーズエルも地面を蹴って大ジャンプし、

エクサタと空中で並び跳ぶ。


「ダークウォーカーで状況を監視していた睦月ちゃんによれば…

 グレトジャンニはデパートに出た後、側で待機していた飛行中の

 アパッチ(攻撃ヘリ)に搭乗。

 そしてそのアパッチは、この方向―――岐阜宝石博物館のある方向に向かって…

 真っ直ぐ飛んで行ったとらしいね……」

 

「その方向に向かえば博物館、又はグレトジャンニの載ったヘリと……

 そのうち遭遇する可能性大……」


エクサタが言葉を話す。

そう、エクサタはニーズエルと二人きりの時だけ言葉を発する。


「ヘリが博物館の方にまっすぐ向かったというのならば―――

 博物館で全てのDDFを揃えようというのなら―――

 恐らく博物館には百賭がいるという推理が出来るな…

 取りあえず奴とグレトジャンニを合流させるのはまずい、

 間に合えばいいんだが…」


ニーズエルとエクサタがさらにジャンプし、並び跳ぶ……


「それにしても――――二人だけで戦うするなんて久しぶりだね。

 アルギュロスさんに出会って、ウィザーズに入る前は――

 ずっと二人っきりで世界を放浪してたなぁ…」


「……」


「ゴメン、いやな事思い出させちゃった…?」


「………

 ニーズの言葉で不快になる事など無い。」


更に着地、そして再度並び跳ぶ――――

するとニーズエルが何かを見つけ、驚き始める。


「エクサタ君!あれ!!」


ニーズエルが右下に向かって指を差す。

エクサタがその指の差す先に視線を合わせると、

そこには道路に墜落したヘリとそれに群がる操られた人間がいた。

そして――――

そばの鉄柱にはヘリの乗員の死体と思わしき"もの"が3つ綺麗に並んで

串刺しにされていた。


「ひどいな―――下にいる操られた人間達がやったのか?

 あれじゃグレトジャンニ達の死体かどうかわかんないな。」


ニーズエルとエクサタが窓を足場にしながらビルを下り、

その惨状を近くで確認する。

3つの死体は見る影も無い程顔と体がぐちゃぐちゃにされており、

 「እነዚህ ሰዎች ሞኞች ናቸው. እሱ የተሸነፈች አገር ናት.

(こいつらは馬鹿です。敗戦国の民です。)」と書かれた紙が胸に貼られていた。


「―――――ニーズ…」


中央の死体に向けて指を指すエクサタ。

その死体は右腕が欠損していた。


「グレトジャンニは逃走時…エクス殿のトランプで…腕を切断した……」


「なるほど、そしてあの死体も腕を切断されている。


 あとエクサタ君―――唐突な質問だけど…

 よくあの…現実舞台のフィクションの映像作品とかで

 ジジイの執事とかよく出てくるじゃん。

 あいつらってさ…なんか必ずと言っても良い程片目だけに丸眼鏡のグラス

 みたいなの付けてるよね…

 あれってなんだっけ…?」


「カタメガネ……」


「カタメガネって言うんだ…エクサタ君、あれを見て。」


ニーズエルが指を差す、そしてその方向の先には――――

血で濡れグラスが割れた片眼鏡があった。


「―――あれは…?」


「恐らく、グレトジャンニが付けていたカタメガネ。

 さっきあのデパートで見た時のものと色と大きさがほぼ一致してる。」


「……右腕欠損、死体…カタメガネ……」


「間違いない、グレトジャンニは、ここで死んだんだ。」


推 理 完 了 !

エクサタとニーズエルが、状況から全てを察する。


「……問題は、グレトジャンニを殺してDDFを持ち出したのは

 誰かということだ……。

 候補は二つ。レンガの女……そして弯曲十字を操る奴……」


「恐らく……こいつらをゾンビのように操っている奴だよ…

 レンガウーマンは性格上、鉄柱で死体を晒し上げにするなんてこと

 絶対にしないし、それにあのヘリの周り……大量のカラスの死体と

 羽根が落ちている。」


「カラス……」


「恐らく、ヘリを墜落させたのはあのグチャグチャのカラスたちだ。

 あの十字のカースアーツでカラスたちを操り、ヘリを墜落させたんだ。

 つまりあの十字のカースアーツで操れるのは人間だけじゃない!」


「問題は……DDFが何処にあるかわからない事―――

 この地上にいる無数の人間全てが……十字の敵の操り人形だとすると…

 誰が盗んだかの特定は難しい。」


エクサタとニーズエルが近くの建物(2階建て)の天井に飛び移る。

そして、エクサタがニーズエルの懐から携帯端末を取りだし、

誰かと通話を始める。


「もしもしシルバー、聞こえる?」


『ニーズか……DDFを見失ったのか?』


「うん……――グレトジャンニが十字架のカースアーツが操ってる

 奴らにやられたらしい……恐らくDDFもそいつらに―――」


『ニーズ、貴方のカースアーツだけど確か、かなり鼻が利いたよね?』


「うん、ドラゴニックエンゲージは感度さえも上昇させる……」


『実は私、グレトジャンニにDDFを持って行かれる際、

 液体にした硫黄をDDFにこぼし、石化させていたんだ―――

 そしてさっき、「神」を通じてDDFの移動ルートが変わったのを感知した時に

 その石化を解除した。

 これがどういう意味か、分かるか?』


神はシルバーの所持していたDDFの状況をある程度感知する事が出来る。

              (Episode5『在日アトランティス人』―――参照)


「まさか…」


ニーズエル目を見開く。


『硫黄は激臭がする。腐った卵のようなにおい…。

 ニーズエル、お前のその異様な嗅覚でその臭いを探しだし、追え!

 匂いを辿った先にDDFを奪った奴は、必ずいる!』


「―――わかった!」


『私たちの方なら心配するな、依然順調だ。

 睦月によればまだDDFを盗まれたことに百賭達は気づいていないようだからな。


 ――――深追いしないでね、ニーズ。

 もし何かヤバいと感じたら、私たちが行くまで待機してね。』


ピ!!

そして通話終わる…………


「硫黄の匂い――――腐った卵のようなにおいだったな……」


ニーズエルが翼を広げ、洗脳された人間たちによる攻撃が

当たらないよう、道路の上を飛行……

そしてクンカクンカと臭いをかぐ仕草を行う。

暫く立つと不快な顔をしてとある方向を向く。


「思ったより臭い―――硫黄ってこんな臭いだったのか……

 能力で嗅覚が上昇しているせいで、余計に臭いな。

 あーもう……!!


 -――ふぅ、でもこれで方向が分かった―――

 やっぱりシルバーは頭がキレるよ…」


ニーズエルが上昇し、脚をエクサタの方に向かって振る。

どうやら臭いは今まで向かってきた方向から左に向かった先に続いているようだ。


「こっちだよ!ついてきて!」


エクサタもセンチビートの能力を駆使しながら建物の壁を渡り、

移動する。


しかし…


「――――………何か音が聞こえる……」


「………ニーズ…?」


「エクサタ君は聞こえない?後ろからだよ。」


「……」


――ドンゴン(極小)……――ドンゴン(極小)……――ドンゴン(極小)

――ドンゴン(小)………――ドンゴン(小)………――ドンゴン(小)

――ドンゴン(中)………――ドンゴン(中)………――ドンゴン(中)


「何かが何かにぶつかるような音だ―――

 ちょっと何か嫌な予感がしてきた……」


「――――まさか。」


二人が背後に振り返ると――――


ドンゴゴゴン!!!!!


ビルの影で見えないが、ヘリの墜落現場周辺で血が飛び散っている。

操られた人間達の頭が何かで潰されているようだ。


「まさか、あの破壊力!!!」


ヘリの影から一人の女が顔を出す!!!

身長230㎝の巨大なその影―――――


「――――――――ッ!?」

「レンッ―――――!!!」


レンガ・ウーマンの登場だァァァーーーー!!

レンガ・ウーマンが辺りを歩く人々をレンガで殴殺、鏖殺している!!!


「叫ばないで、奴はまだ私達に気づいていない―――」


エクサタとニーズエルが二手に分かれる。


ニーズエルは近くに会ったコンビニのの屋上――――

バリィイン!!!

エクサタはその対面にあるビルの2階窓ガラスを割って中へ!!


瞬間!!

ガラスの割れる音に反応したレンガ・ウーマンが

エクサタが入ったビルを凝視する!!


「建物内の人間には洗脳がいきわたっていないようだから――――

 今窓からあのビルに入った奴はカースアーツ使いね。

 となるとDDFを持っている可能性大だわ。」


レンガウーマンの両手に新しいレンガが出現する。しかし―――――


『ミンナ上を見ろォォーーーーーーーーーーーーー!!!

 上に飛んでるアレをオオオオオオオオオオオ!!!!』


20人ほどの洗脳兵がレンガウーマンに飛びかかる!!


「邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔!!!!」


だが飛びかかる前に、全員レンガで頭を破壊され死んだ。

辺りにはまだ人が残っているが、レンガウーマンはそれを無視し、

エクサタの割った窓2Fに向かってジャンプする。そしてヤバい中にIN………


「アイツ、周りの人間を無視して、エクサタ君の所に!

 カースアーツ使いを優先的に狙っているの…?

 エクサタ君は大丈夫……?」


暫くするとビルの3Fの窓が開く

……エクサタだ、エクサタがビルから脱出したのだ。

そして地面を一度叩き、衝撃を保存した光を出現させそれを爆発させて

ニーズエルのいる場所にまで跳躍を行う。


「なんとか撒けたんだね……

 エクスさんの仇とはいえ、

 今DDFを持ってないあの女と戦うメリットは少ない。

 今はアイツとの戦いはなるべく避け、先に進みたいけど…。」


ニーズエルがくんくんと臭いをかぐ。


(―――さっきから匂いの先を辿って移動しているけど、

 あの弯曲十字の真下に、徐々に近づいているような……

 まさか、ね…)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――AM12:10 宝石博物館屋上


百賭が屋上で髪をなびかせ佇む……


「――………グレトジャンニが作戦に失敗したとなっては

 これ以上ここにとどまる必要もあるまい。

 と言うワケでそろそろこの場所から動きたいところなのだが………」


屋上の端から、セクンダーの洗脳兵たちが這い上がってくる。


「フン、屋上まで這い上がってくるか…

 熱心な事だ……」


ンキュップィイィィィ―――――ッッン!!!!

ドンゴン!!!

ンキュップィイィィィ―――――ッッン!!!!

ドンゴン!!!

ンキュップィイィィィ―――――ッッン!!!!

ドンゴン!!!


博物館の壁に大量の車が突撃している。


「成程、車の階段を作って、登れるようにしていたのか。」


『フフフ――――』


百賭の周りを洗脳兵が囲む。その数、50人ほど。


「ゴールド(セクンダー)の奴を直接殺しに行きたいところだが……。」


百賭がカモンカモンのポーズをとる……


しかし瞬間――――

ザクッ!!!!!!!!!!!!!!!


「―――――――!!!」


百賭何背中から何かで斬りつけられる!!!!!

カマキリだ!!!黄色に輝くカマキリの細腕だッ!!!!


「オホオホオホオホオホ」


『トパーズ・ダイヤ、急所は外してしまったネェ……』

「―――やはり洗脳兵の中に潜ませていたか…。」


百賭はそのまま背中を斬ったカマキリアームを掴もうとしたが、

瞬時カマキリが腕を抜いたので掴めなかった。


そのまま背後を向くが、その方向には洗脳された人間しかいない。


「今のはセクンダーの協力者か。正体は虫に変身できる自己強化特化型カースアーツ。」


『協力者とは悪い言い方だな…彼(カマキリ)は腹心だよ。

 このボク、新・アトランティスの皇帝の腹心にして最大の切り札!!!

 新アトランティス四天刃<フォース・ソード>が一人、

 トパーズ・ダイヤ!!(カマキリ)』


「…四天刃、聞くに残り三人の手下か。

 (だがあの無線から察するにそのうちの1人、いや2人は弯曲十字真下で

 ゴールドの護衛をしている………)」


『さぁ……どうする探偵王!?君ならこの周辺の50人ほどの洗脳兵士を

 片づけるのはたやすいけど―――――

 その中に三羅偵並みの凄腕のカースアーツ使いが紛れ込んでいるとしたら、

 本体を見破る事も出来ず死ぬんじゃあないかあ!?』


「………」


百賭目をつぶる……


『クックック、さぁ、今度こそ終わりだ!!!

 全隊ィィ―――――!!!!』


ゴールドの合図と同時に屋上にいる洗脳兵全員がクラウチングスタートの

体制になる。空には操られた鳥たちが集結する!!!


「――――――――

 ゴールド、かつて貴様は自分の持つ弯曲十字の能力が、

 この俺に対する"皮肉"だと言ったな。

 全ての人間に崇められようとしているこの俺に対する皮肉だとな…


 フン!ハッキリ言ってやろう。それはうぬの思い上がりだ。

 良いか、本当に他人の正義を認め、その正義の為に生きる人間というのは、

 あまりにも強く、輝かしく、美しく、そして深い…

 貴様の操るゾンビのような兵士など、足元にも及ばん…


 私は正義の為に"意志"で命を捧げられる『正義の騎士』こそが、

 精神の完成系だと思っている。

 魂の彫刻芸術…『全ての人間はああなるべきなのだ』。

 嗚呼、ならば我が目的は民の為――万人を其れに導く

 絶対正義を作り上げ、提示する―――!

 全ての人間を最高の形にするためだけに……


 故に、オレはうぬの能力が許せんッ!貴様の能力は、ゴミだッ!

 人をゴミにしているだけだ………

 だから………」


『ハー――ハッハッハ!!!ゴミになるのはどちらの方かな!?

 攻撃開始ィィィ――――――!!!!』


地上からは全ての洗脳兵が一斉に走り出し百賭に襲い掛かる!!!

その中にはカマキリのカースアーツ使いが紛れている!!

上空からは鳥たちが急降下してくる!!!!

百賭にもう逃げ場はない!!!!


しかし百賭は一切の恐怖を見せない…………


「死ぬがいい!!


 そして冥府で謳え!我がカースアーツの能力の真価は、

 まさしく人を正しく導く力を兼ね備えていると――――!


 ディテクティブ………マスターッッ!!!!」


百賭の上方に円盤が出現する!!!!!!

瞬間!!!!辺り一帯の景色が銀色に変化する!!!!!


氷だ!!!辺り一帯が凍結している!!!!!

鳥も、洗脳兵も―――――


ただ、一人百賭を除いてはッッ―――――――!!!


『な―――――――――――』


「これが、ディテクティブ・マスター………。」


[File54――――――――自らの周りに能力で冷気を放出する東結金次郎。]

アイアム・ワースト・オーバーで辺り一帯を銀世界にしている記録――――

百賭がその時間を記録したファイルを再生した。


「しかし残念だ、これでは口が凍ってしまって我が能力の

 食レポを聞く事も出来ない。」

 

百賭の後ろには、記録された時間で生きていた東結金次郎が立っている。


『が―――ガがあばばば――――』


洗脳兵たちが、セクンダーの命令で何かを喋ろうとしているようだが、

あまりの冷気に口を開ける事もままならないようだ。

そして、全員が同じ状態になっている中、一人だけ違う動き、

違う表情をしている男がいる。


「サ―――サム―――つめッ……」


その男は、190㎝程の長身だが、腕と足がごく細い。

黒目が無く、髪と耳が隠れる黄色の帽子、そして黄色いスーツを着用していた。


百賭けが、洗脳兵をかき分け、その男に近づいていく。


「洗脳兵達は苦しみの表情を見せてくれないのだが、

 一人だけ、妙に寒がっている奴がいるな……

 バレバレだ――――…」


その男こそ、ゴールドの腹心、

四天刃が一人、トパーズ・ダイヤ……


「『ポーン・オブ・ヘルインセクト』ッッ!!!」


トパーズ・ダイヤの頭部がカブトムシ、腕がカマキリの腕、

脚がバッタの後ろ足の形状にトランス(変身)していくッ!!

全身黄色だ!!そして力を持って、氷の呪縛を破り逃れるッ!!


「探偵王!!

 新アトランティス四天刃"斬将"の名にかけ、

 その首――――斬り落としてやらあーーーーーーーーー!!!」

((まっ……ま…てっ!!!ダイヤ!!それはマズイ!!!))


「既にディテクティブ・マスターは記録した時は再生し始めている。

 貴様の立っているその場所、その位置は――――――」


トパーズ・ダイヤの首元に、斧が出現する。


「ア――――――――――――」


シュンバ!!!!!!

そして斧はそのままトパーズ・ダイヤの首を切断する。


ガランガラン!!!


カブトムシの頭部が人間の形に戻り、地面を転がる。


「File32―――円盤前方で斧を全力で振る大男の、攻撃範囲内だ。」


((―――――ナッ………

 斧、剣、ナイフ、いずれにも言える事だけど…武器を振るのには構えがいる。

 しかし御前の時を記録し、再生する能力は………

 構えが終わり、武器を振っている途中―――

 武器を振るスピードが最大限の時から時間を再生できる為―――

 一切の予備動作が無い。隙も無い。

 

 この能力、強い……!!

 学習したぞ―――トパーズではこいつの相手は役不足だったな。))


「さて、そろそろ東結のヴィジョンの時間再生が解除される頃だな――――

 と言う事は、こいつらの一時的な凍結も解除される。」


洗脳兵たちの凍結が解除されていく……

そして洗脳兵たちが再度百賭に向かって動き出す……


「どうした、洗脳兵にさっきのような勢いがないぞ?

 フフ――――どうやらこの迷いのある動きからして他の四天刃とやらは

 まだここに来ていないようだな。」


『どうやらこのボクを怒らせたいようだね……

 どうなっても知らないよ?』


「愚問だな、人殺しで後悔を得たことなど……ない!」


百賭けがディテクティブ・マスター発動の構えをとる。


「百賭ああああああああああああ!!!!!」


「――――!!!この声!?」


百賭の背後から声が響く―――――その声の発生源、

先ほど首を切り落とされた、トパーズ・ダイヤの頭部だ!!!

そして百賭がその頭部に気を引きつけられた瞬間――――


「切り離された頭だけで喋っている………

 そしてまてよ………ならこいつのボディは何処………」


百賭けの背後に――――――――――トパーズダイヤの体部分が出現する。

奴の腕はカマキリ、奴の脚はバッタだ。


「―――――この気配……」


そして背後から腕の鎌を振り下ろす!!!!!

しかし百賭バク転!!間一髪で攻撃を回避する!!!!


「…………ほう……」


「避けられたかッ………」


『ダイヤ…もしやと思っていたがまだ生きていたか。』

ゴールドの洗脳兵の一人がトパーズ・ダイヤの頭を持ち上げる。


「ゴールド様……ここは一旦お退きください。

 私達は奴らの罠にはまり我々は兵を失いすぎしました…

 今は兵を温存するときです…」


『キミはどうするんだい…?』


「ハハハッ…俺の命はもう長く持ちません……

 奴と死合い、出来るだけの時を稼ぎます。


 この全身全霊すべてを、新アトランティス建国の礎に!!」


『流石だ――――それでこそ僕の忠臣だよ!!』


ゴールドの洗脳兵たちが屋上から退きはじめる………

屋上に立つのは、百賭と頭の無いトパーズの二人のみ。


「――――………虫の中には、体をバラバラにしてやっても、

 直ぐには死なないような種もいると聞いたことがある。

 例えばゴキブリなんかは、体と頭の二つに脳があるので

 首と胴を切り離しただけでは死なないとか…。」


「ケッ、ゴキブリっつーと汚らしい存在とは思ってたんだがよ………

 アイツらの生命力にはマジに敬意を払っているよ。」


百賭が表情を緩ませフッっと笑う。

そしてトパーズ・ダイヤに向かい拍手をする。


「――――死にながらにして生きている………美しい人間だ。

 あのゴールドの尖兵にしておくのは惜しい逸材だ――――」


トパーズ・ダイヤが鎌を百賭に向ける。


「百賭、さっきお前…この俺の前であのお方の事をクズだといったな…

 ゆるさねーぜ…


 あの人は俺を育て、俺と一緒にずっと生きていた………

 だから、否定されたからには、燃えなくちゃならねえ!

 立ち向かわなくちゃいけねえ!!!」


「『正義の騎士』だ………

 お前は間違いなく………正義の騎士………

 もっと見せてくれ――――お前の美しさを!!!!」


「改めて名乗ろう!!俺は"斬将"トパーズ・ダイヤ!!!!!

 ゴールド様に仕える新アトランティス四天刃のひとりだ!!

 オラぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 いくぜェーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


瞬間、彼の頭部が彼の体の足に踏みつぶされ、スイカのように爆裂する!!!


(百賭――――――――テメーのいる位置を知るのに……

 目も耳も鼻もいらねェ……

 気配だけだ!!気配だけでてめえの位置を捉えてやる!!!)


トパーズ・ダイヤ百賭けに飛びかかり鎌を振り下ろす。


「視覚も聴覚も恐怖も捨て、スピードを上げてきたか!

 いいぞ!!来いよ!!もっとお前の正義を見せてみろ!!!

 『ディテクティブ・マスター』!!!」


百賭けの眼前にグレトジャンニ現れ、前方にマイティーウォールを貼る!!!


その後、百賭が後ろ走りして屋上から地上に飛び降りる!!!!

トパーズ・ダイヤもそれを追いかけ、地上に落下。


そして――――――すぐそばにいた百賭を斬りつけ体を縦に真っ二つにする。


(手ごたえあり――――――

 ―――!?)


真っ二つになった百賭の体が溶け、霧のように消える―――――

そう、彼が鎌で切刻んだ百賭はデティクティブマスターが

再生した過去の百賭だった。


瞬間、横方向から銃撃されるトパーズ・ダイヤ!!!!


トパーズ・ダイヤが銃撃者の方向を見ると、

そこにはアサルトライフルAK-69を構えたリクルートスーツの男数人と

百賭が立っていた……


「最初は十数秒程度の時間の記録しか記録できん力だったが………

 我が絶対正義の志が強まるたびにドンドン時間は伸びていき―――

 今では55秒程記録できる。」


ドガガガガガガガガガ!!!!

銃撃はさらに強まり、トパーズ・ダイヤの体を圧倒的に破壊していく。

しかしトパーズ・ダイヤは怯まない――――!!!

腕が砕けようと、脚が潰れようと、

百賭に向かって一歩一歩と踏みしめ距離を狭めていく!!!


「そしてまだまだ成長は止まらない――――

 今年中には記録時間1分を超越するつもりでいる。」


2.5m――――1.8m――――1.1m――――0.5m――――――――!!!

鎌の攻撃が届く距離だ!!腕を振り下ろせば百賭を殺せる!!

だが百賭は笑っている。

胸に両手を添え、静かに笑っている。


トパーズ・ダイヤが、腕を振り上げる…………―――


(終わりだ―――――!!)

「すでに記録している。」


瞬時、百賭の周りに立っていたリクルートスーツの男たちが

霧のように消える。


そして――――――――ドッス!!!!

鈍い音が走ったと同時にトパーズ・ダイヤの体が海老剃りになった!

そして、胸に穴が開き、血が流れ始める。


気が付くと、腕を振り上げた彼の背後には、彼と瓜二つの外見をした

虫の化物が立っていた。


そしてその虫の化物のカマキリの腕のような形状をした右腕は、

彼の胸を真っ直ぐ貫いていた。


(な―――――俺の腕が、俺の体を――――)


何が起こったのか、何故こうなったのか、トパーズ・ダイヤは考える。


そして、一つの答えにたどり着いた、

先の屋上での戦いでの自分の攻撃の動きを記録され、

自分の背後から再生されたのだ――――――――と。


胸部の脳を失ったトパーズ・ダイヤが………

人間の体に戻りながら、仰向けになって痙攣し、やがて動きを止める…。

そして百賭がボロボロのダイヤに近寄り、その身体を抱き寄せ――――涙ぐむ。


「その正義こそ生の証――――……

 そしてこの百賭の強敵<とも>としての証――――………

 おまえはまさしく、私の尊敬できる男だった………


 だがお前の亡きがらを地に埋めてやることは出来ない。

 時間が無いからな……だが」


 抱き寄せたダイヤをゆっくりと地面におろし、百賭が立ち上がる。


 百賭がスカートとパンツを脱ぐ…そして股間を出し、トパーズの死体に尿をかけた。だが、その尿は尿にしてはあまりにも黄金、格式があった。


「俺はこの世で最も神に近い存在。だから俺の尿は神の尿。

 この世で最も価値のある聖水だ。

 -――――天国の餞別にこれ以上のものはあるまい。


  l⊃. l .__  ..__  ..__  .__   |  __        |  

  |__) | ヒ'_ `⊃ `⊃ ヒ'_ C|  Cし l'^! .C|  


 (二ヽ           |  _l_      l⊃.    __     .__   │

 、_) レl/ .(_) l'´ C|  ..レ .(_)  |__) l'´ Cし l/ ヒ'_  υ

 

  ( 勇 気 あ る も の に 祝 福 と 聖 剣 を )  」


新アトランティス帝国『四天刃』

斬将トパーズ・ダイヤ―――――――――――――死亡。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――AM12:20  ビル街・弯曲十字周辺


ニーズエルとエクサタが、DDFを持つ者を追いかけている………


「さっき戦闘ヘリが洗脳された人たちを虐殺してた場所まで来たな……」


しかしそこでは何も飛んでない…―――地には洗脳兵が徘徊してる……


「戦いは終わったの?――――――………」

「――――」


エクサタが上を指さす。そこには………


ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ


フロントガラスが割れた、1機のアパッチが…

高度20mを高速移動している。


「1機だけ――――なんであんな高い所に……

 それに、なんかぎこちない動きをしてるね……」

「――――」


ドドドドドドドド!!!!

アパッチが下に向かって銃を乱射する――――しかしその瞬間。


ゾォォンッ!!!

アパッチの前部分が、"一瞬"にして綺麗に消滅する。


「なっ――――」

「!?」


ヘリの後ろ部分が、地上に墜落し洗脳兵を巻き込んで爆発する。


「………な、何が起こったの!?ウソでしょ―――――」

「――――!!!―――!!」


エクサタがニーズエルの肩を叩き、

下を差す――――そこには、別のヘリが墜落していた。

フロント部分がグチャグチャになり、肉塊が飛び散っているという光景があった。


「さ、さっきのヘリとはまた違う壊れ方をしてる――――

 しかも、あの破壊形状はレンガウーマンのものでも

 操られたカラスに破壊されたものじゃあない!!

 な、何者の仕業なの!?」


「………わからない。ただ、言えるのは

 ヘリを墜落させたのは我々の知らぬ未知なるカースアーツ使い……

 したがって我々の味方と言う可能性はかなり低いだろう。

 弯曲十字の仲間と言う考えるのが自然。」


「――――………ならここは、敵の居城……!!

 お、思ったより悪い展開になってきた――――!!

 敵の親玉を叩こうとDDFを持ってる奴を泳がせてたのは不味かったか……」


ニーズエルが頭を痛める。


「いつもこうだ、私は運が悪いんだ……とりあえず……

 十字の奴の仲間が来る前にカースアーツを手に入れないと。

 幸か不幸か、操られた人間達はヘリにほとんど殺されたようだ。

 目に見えるだけでも、生きてるのは50人ほど……」


ニーズエルが飛び立とうとする。しかし………

エクサタが左手で抱いてそれを制止する――――


「えっ……」


ニーズエルが顔を赤く染める。


「―――ニーズ……―――

 もう少し思考しよう……もう少し……」


「か、考える時間なんかないよ…時が進むにつれ自体は悪化してるんだから――

 レンガウーマンもきっと近づいてきてるし……」


「――――……」


しかしエクサタは抱きつくのを止めない……

ニーズエルは腕が無いからそれを振りほどけない……


「こ、こんなことしてる場合じゃ……」


「駄目だ、死んでほしくない……

 もしもの事があれば、俺は……存在意義を失う―――」


「……エクサタ君―――」


「交通事故で両親が死に、引き取り先のどこかの実験場で

 不死身の人体改造をされてたあの地獄のような日々――――

 あの日々から俺を救いだしてくれたのはキミだった……


 人間じゃなくても、貴方は俺にとっての太陽だったんだ……


 だから、最悪、DDFを諦める形になっても、

 キミには生きていてほしい……


 例え君が化物とだれに罵られようと――――

 例え君が自分を化物だと悲観しようと――――

 生きている限り、俺は―――俺だけはずっと貴方を見守れる………

 だから―――死なないでくれ……」


エクサタがさらに抱きしめる力を強める。


「エクサタ君――――そうじゃ、無いんだ……」


「……?」


「エクサタ君もさっきこのあたりの景色をビルの上から見てたでしょ?


 洗脳されて奴隷のように扱われる罪のない人々と

 それをゴミのように殺していくヘリコプター―――


 あの光景さ、私にとって……すごい、ショックだったんだ……


 たった5つの宝石を手に入れるという目的の為だけに、

 何の関係も無い人間たちが利用され、踏みつけられる―――

 それが、絶望したくなるぐらいに残酷極まりない光景だと、

 はっきりと思ったの…………許せないと―――思った……」


「――――――………

 貴方もかつて、そのカースアーツの狂気に苦しめられ、

 自らの家族をすべて殺した……」


「『自分を人間に戻して』願いが揺らぐくらいにはショックを受けてるよ――

 これだけの人間が犠牲になったのにそんな自分勝手な願いを叶えるのが、

 ホントに正しい事なのかな?って――――


 願いを叶えればDDFは再度世界に散らばり、

 また関係のない人たちを巻き込んだ争いが始まる。

 百賭が動いたことによってDDFの伝説の信ぴょう性が上がるから、

 次はもっと大きな戦いになる―――………より多くの人が犠牲になる……


 だから、DDFはこの世から抹消すべきって言ってたシルバーの言葉が、

 今更になって私の心に染みてるんだ… 


 ―――それでも人間になりたいという願いは完全には

 諦めきれないんだけどね……」


「………」


「だって……!自己強化特化型カースアーツに呪われた人間は

 長くて30しか生きられないんだよ……私はまだ22だけど……

 もうあと1、2年の寿命だと思う……

 ココで願いを叶えないと―――私、すぐ死んじゃうんだよ…

 ここで退いても私に未来はないんだ……!!

 シルバーの願いに賛同するにしてもどっちにしても、

 あのDDFは絶対に手に入れないといけない……!!!

 分かってよ、エクサタ君……!」


ニーズエル、翼でエクサタを押しのける―――


「ニーズ!!」


そして飛び立とうとするが―――――


「あっ―――――」

「ニーズ…?」


「エ、エクサタ君、あれを見て、

 あの人を――――――」

「ッ-―――!あ、あれは――――!!」


ニーズエル達が正面方向にあるビルの4fあたりの窓に張り付いてる

人影を凝視する――――

そいつは、銀の髪に銀の瞳……褐色の肌を持つ怪盗……

アトランティス――――シーフ・シルバー!!!!


「シ、シルバーだ!!!シルバーは既にここに来ていたんだ!!!」


「何――――シルバー殿達は先ほどまで睦月殿が隠したカースアーツの位置、

 我々とは真反対の方向に向かっていったはず――――

 もう仕事を終えたという事か……」


「流石はシルバーだよ……睦月の姿は見えないな、どこか隠れているのかな?」


二人がビルに張り付くシルバーを見ていると、

シルバーも二人の存在に気付いたようでこちらに合図を送る。


「シルバーが私たちに気付いた……」


シルバーが右手をDDFの形にし(△)

左手で、例の、DDFをズボンの後ろポケットに入れた洗脳奴隷の方を指さす。

そしてグッドマークをしながらエクサタ達の方を指さす。


「私たちにDDFの入手を任せたって意味?」


その後シルバーが左手で前半分が消滅したヘリと、

右手でフロント部分がぐちゃぐちゃになったヘリの方を指差す。

その後、自分の方を指さしながらエクサタ達にグッドマークを送る。


「ヘリを破壊した敵を、自分が倒すって意味か――――」


「シルバー殿が敵を引きつけ、その隙に我々があの男からDDFを奪い取る…」


「恐らく、そうだね……」


シルバーがニヤッと笑うと、ジャンプして、地上まで落下する。


「な――――――ちょっと待って!!もう始める気なの!!」


「……シルバー殿がいればなんとかなりそうな気はするが―――」


シルバーの指令通り、二人がジャンプして地上に降り、

DDFを持った男を目指して走る!!!!

さぁ、DDFゲット作戦の始まりだ!!!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


最期の日―――AM12:23  岐阜県岐阜市:位置不明


『世界に存在するカースミラーは――――7つ。

 そのうち4つがマッレウス・マレフィカルムの各先進国支部に……

 1つが怪盗コミュニティ・ウィザーズに……

 1つが第二次世界大戦の亡霊たちに行きわたった……

 そして、残り最後の一つ―――その最後の一つのカースミラーは、

 この新アトランティスの王ゴッフォーン一族に―――


 ボクも、ボクの愛しい四天刃たちも……

 このボクの持つカースミラーでカースアーツと契約している……』


二人の男女がそれぞれ細い鉄柱の上に立っている。

その二人の近くに洗脳されたオウムが近づいてくる。


『ククク……こんな時の為にオウムをちゃんと飼っておいてよかった!

 来たぞ、怪盗の仲間二人が茶番を終えついにこの僕たちの城に

 乗り込んできた!!

 馬鹿な奴ら―――――!!』


「ジュア!!!ジュアジュアジュアジジジュア」

「ジジジュアジュアジュアジュアジュアジュア」


『新アトランティス語じゃなくて日本の言葉で話すんだ………』


「仰せの通りに…」


『フフ-――――――

 行け!"ルビー・ハート"ッ!!!

 行け!そして"アクアマリン・クラブ"ッ!!!

 お前たちの凶悪すぎる能力を持って――――

 奴ら邪魔者を新アトランティス建国の為の生贄としろ!!!』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

同時刻  ビル街・弯曲十字周辺


「よしっ!追いついた!!!」


ニーズエルがDDFの所持者のいる位置まで滑空!!

そして――――――進行方向に炎のブレスを吐いて、炎の壁を作る。

これ以上先へと進ませないために!!


「フゥ……これでこの先には行けないはず……

 エクサタ君、今だよ!!!」


衝撃を保存した複数のエネルギーの塊が、

地を這いながらDDFを持つ男の近くまで移動する………

エクサタのセンチビートだ。


しかしその瞬間、男はポケットからDDFを取りだし

ニーズエルの作った炎の壁の中に身を投げ出す!!


「ば、バカな、骨まで燃え尽きるぞ!!!」


そして炎の中で男は右手に持ったDDFを頭の上に掲げ、

胸を大きく張って、大きく振りかぶりブン投げる!!

炎の中の男が足元から崩れ出す。


「し―――――――しまった!!」


投げられたDDFをニーズエルが跳んで追いかける!!


ドッゴ!!!!

同時に右前方にいる洗脳された人間が、爆発する!!!

そしてその人間の中から――――――――――

高速で何か深青い"何か"がニーズエル目掛け回転しながら飛びだしてきた!!!!

カジキ型のカースアーツだ!!!!


「き、来たな、新手のカースアーツ使い―――!!!

 でも………!!!」


グサッ!!!カジキの槍のような上あごの先っぽ数センチが

ニーズエルの体に突き刺さるッ!!!


(このスピード!!!避けられない―――――

 でも、ドラゴニックエンゲージの防御力の高さ

 ゆえに完全には突き刺さらなかったっぽい……)


ギュルルルルル!!!!!!!

魚が再度横に回転しグリグリとニーズエルの体内に侵入しようとしてくる……


ニーズエルが脚でそれを制止しようとするが、

あまりの回転スピードに弾かれてしまうッ!!!!


「つ、掴むことが出来ない!!

 まるでライフルから放たれる回転する弾のように!!」


ニーズエルが地面にあおむけになって落下する!!!

炎のブレスを吐くが、回転の風圧によって弾き飛ばされるッ!!


「がアァァ!!!やめっ……はいってッ…来るなッ………」


死―――――――――――――――――いや…………


ニーズエルの体のカジキに刺されている部分が黄色い光を帯びる………

そして、衝撃波を放ち、回転しているカジキを吹き飛ばした!!!


地に落ちたカジキマグロが、蒸発する………


「き、消えた…―――――そして、エクサタ…君…!!」

ニーズエルの背後にエクサタがいた……

「ニーズ、大丈夫か?」


「――――う、うん……

 でも………」


「さっきの回転する魚のカースアーツは――――

 ヘリのフロントガラスと中に乗ってた人間をグチャグチャにしてた奴だね……

 発動者はどこにいる…?」

「……人間を操るカースアーツ……仲間をサポートするには

 最高の能力か………」

「くそ―――それにしてもシルバーはどうしたの……

 なにかあったのかな――――」


エクサタ達の前方50m先で、洗脳兵の一人がDDFを拾って走り出す。

他の洗脳兵一人も、護衛として走ってそれについて行く!


「あ、アイツ――――!!!

 くっ……走るよ!!!!」


ニーズエル達の周りを10人ほどの洗脳兵が囲みだす………


「あ、あまりやりあいたくないな………」


洗脳兵が襲いかかる!!!

しかし襲い掛かられる前にニーズエルがけりで全員地に叩き落す……


「骨とか折れちゃったかもしれないけど――――

 殺してはいないから……」


ニーズエルとエクサタがDDFを持つ人間に向かって走り出す!!!

しかしその瞬間―――――右側にいた洗脳兵たちが次々と爆発していく!!

ドッゴ!!!!ドッゴ!!!!ドッゴ!!!!


「こ、この爆発の型――――!!

 さっきの回転する魚のカースアーツを吐きだした人間と同じだ!!

 なんて奴……あのカースアーツ、人間の体内から人間の体内へと渡りながら

 移動してるんだ!!!」


走る二人の右方向の人間が水風船が破裂させるような音を立てて爆発する!!

そして、その中から回転する魚が飛び出し、

その鋭い顎をニーズエルの首に突き刺した……!!!


「――――――――!!!!!

 センチ……ビートッ!!!!!!!」


エクサタがニーズエルの体に仕込ませた衝撃のエネルギーを

魚に放ち吹き飛ばすッ!!

そして再度二人が走り出す!!


「――――ハァッ……!!ハァッ……!!」

「ニーズ……貴方はオレが護る――――

 俺達の体の表面には、私のセンチビートで作りだした、

 衝撃の塊が、十数個仕込まれている。

 敵が何処から来ようが…絶対に防御可能。」


「あ、ありがと……


 エクサタ君、さっきの魚……睦月ちゃんやエクサタ君と同じ、

 "使役獣召喚型"のカースアーツだ。


 使役獣召喚型は使役獣の召喚に条件があれど、

 どれだけ攻撃の射程範囲が長くても、

 使役獣の召喚できる位置は必ず契約者のすぐ近くだと決まっている。

 睦月ちゃんだと自分や自分の掴んだもの影、

 エクサタ君なら自分が衝撃を与えた個所だね――――


 そして召喚型には使役獣を召喚できる数が決まっている。

 睦月ちゃんなら1000ぐらい、エクサタ君なら30ぐらいは出せるのかな……

 

 恐らくこの敵があの魚を召喚できる数は、"1"。

 2匹以上出せるのなら、とっくに私達はやられてるはずだからね………


 そして1体しか召喚できないのにかかわらず、攻撃のインターバルの早さ……

 この敵は私達よりそんなに遠くは離れてはいないと思うんだけど……」


「――――ニーズエル……

 今の俺達の目的は、敵を倒す事では無く敵からDDFを奪う事と言うのを

 忘れてはいけない………」


「ッ……そうだったね……」


二人がDDF所有者とその護衛の洗脳兵の所まで走って追いつく!!


「よし!!追いついた!!!

 そして魚のカースアーツはまだここには来ていない!!

 終わった!!!」


ニーズエルがDDF所有者のDDFを持つ左手まで手を伸ばす!!!!


だがしかし―――――!!!!


「『ナイト・オブ・ヘルフィッシュ』。」

「え―――――――」


DDF所有者の横にいた洗脳兵が、両手を△を作りだし、

ニーズエルの顔に向けている。

瞬間―――――――――両手で作りだした三角の中から

先ほどの魚がニーズエルの顔めがけて射出される――――!!!


魚はニーズエルの右目に命中!!


「ギャアアアアアアア!!!!」

「セ――――――センチビート…………!!!」


ニーズエルの顔が黄色に光り、中から出た衝撃波が魚を弾き飛ばす。


「―――――成程、衝撃波を放つ光のカースアーツの契約者はお前だったか……

 なら片づけるのは、お前からだ。」

「新手のカースアーツ使い……!」

「フン……」


その洗脳兵に紛れていた水色髪ショートポニテの男、

そいつはイケメンだった………まぎれも無い、身長174cmのイケメン男………

両目を黒い半透明のマスクで覆い、青い貴族服を見に纏っている………

そして褐色肌だ……


「お前らが怪盗か。」

「――――――――!!」


エクサタが攻撃しようとしたが、

その瞬間、男が両手で作りだした三角の中から魚が射出される!!!


魚はエクサタの右足を引きちぎり、ミンチにする。


「グゥゥ―――!!」


エクサタが自分の体の表面を走る黄色い光の塊を爆発させ、

その男に向かって衝撃波を放つ……


しかし男はDDF所有者の体を引っ張り衝撃波の盾にする……

DDF所有者は死んだ。


「………!!」

「フン、人は何故、逃げるべき場面で逃げようとしないのか……


 我が名は"貫将"アクアマリン・クラブ。

 ゴールド様にお仕える四天刃が一本。」


DDF所有者の体が爆裂し、中から、魚が出現!!

そしてエクサタの胸を貫く!!!


「お前たちは罪を犯している………

 新アトランティス人としてこの世に生を受けなかった罪………

 それが許せない……己が身の破滅で償うがいい!!」


魚が回転し……エクサタの胸がミンチになり抉られるッ-―――!!!

そして爆発する!!


「ガッ……あっ……!!!」


アクアマリン・クラブが近くに落ちていた死体が握っていたDDFを奪い取り、

その場を去る。


「アアアッ………ああッ……!!!」

「――――!!!―――!!」


ニーズエルは右目を潰された、

エクサタは心臓に傷を付けられた。

不死身の肉体を持っているので、死んではいないが、

出血多量でまともには動けない…


「貴様らはもう助からない。何をしようと無駄だ……

 出来るだけ苦しんで死ね。」


アクアマリンが内ポケットから携帯端末を取り出す。


「ルビー………俺だ、アクアマリン・クラブだ。


 例の黒霧四揮だが――――

 私のナイト・オブ・ヘルフィッシュで脳を刺しても

 心臓を破壊しても死ななかった……奴は不死身の体を持っている。


 だからこそお前に任せる。

 俺は今から奴らから奪ったDDFを直接ゴールド様の元まで届けねばならんからな…

 お前の能力は無敵だ………あの女の体を細胞一つの残らず消滅させることが

 できる………

 今奴は何処にいるって?


 近くだ………奴は私たちがヘリを墜落させた音を聞きつけて、

 真っ直ぐと此方に向かってきている!!


 迎え撃て!!お前が迎え撃つのだ!!」


ピ!!!!


「さて………急がねば……」


しかしその瞬間―――――――――――――


ダン!!!!!!!


アクアマリンの後頭部が何かで撃ち抜かれる!!


「な―――――――――

 ば、バカな――――竜女は両腕が無い。軍服の男はさっき殺した……

 そして、この二人以外にカースアーツ使いがこの周辺に来ているという

 連絡も無かった!!だ、誰が撃った――――!?」


アクアマリンが倒れゆっくりと背後を見る……


「な――――――!!」


そこには、死にそうな目で右手に銃を握ったエクサタといた………

右目が潰されながらも立っているニーズエルがいた。


「バ――――バカな!!心臓を破壊したんだぞ!!!

 なぜ動ける!!」


「ハァ……ハァ……」

(不死身の体が幸いしたが―――

 心臓を破壊されたので、意識を辛うじて保っていられるレベルだ……)

「エクサタ君、後は、私に任せて……」


エクサタ、その場に倒れる………

そしてニーズエルとアクアマリンが対峙る……


「――――まだ、生きている……軍服の男は不死身か、成程……」


「頭を撃たれて立ってるお前も十分不死身だよ。

 そしてその褐色肌……貴方在日アトランティス人だね…

 シルバーと同じで、超常的な身体能力を持っている。」


アクアマリンがニーズエルの右側に周りこむ!!!


「貴様は右目が破壊されて右側の物体を視認する事が出来ない。

 だからお前は今、この俺のいる位置を正確に特定する事が出来ない……


 そして―――」


アクアマリンとニーズエルの間に洗脳兵が入り込む!!!


「肉の盾だ―――。一般人を巻き込みたくない貴様に

 この俺を攻撃する事は出来ないだろう!

 だが俺は遠慮なく貴様に攻撃する事が出来る…

 どうだ?貴様にはもう一片の勝機も存在しない!


 さぁどうする、『ナイト・オブ・ヘルフィッシュ』!」


「お前の位置なら分かっているよ……

 シルバーがDDFにつけた硫黄の匂いが……この私に位置を教えてくれた……」


ドンゴン!!

ニーズエルがアクアマリンと自分の間にいる洗脳兵に向かって

タックルを行う!!!

そしてそのまま洗脳兵をアクアマリンに向かって吹き飛ばす!!


洗脳兵とアクアマリンが密着する。


「グ………小癪な真似を……

 私のカースアーツは――――すでに召喚されている!!死ねえ!!!!」

「エクサタ君の代わりに私が名前を叫んでやる………

 『百足<センチビート>』ッ!!」


洗脳兵とアクアマリンの密着部分が黄色く光りはじめる―――――

そして爆発し放たれる衝撃波。それはアクアマリンの心臓を貫いた――――


「ガアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!」


アクアマリンうつ伏せに倒れる。


「エクサタ君が私の体に纏わせていた衝撃の保存エネルギーを、

 タックルを行うときにその洗脳されてる人に、転移させ――――

 そしてお前の急所を確実に貫ける位置で爆発させた……」


「バ――――馬鹿な……エクサタは……気絶したではないか……」


「目を瞑って―――倒れたふりをしただけだよ……

 勿論、気絶寸前なのは変わりないけど……」


「この俺を騙したというのか………クソ……!!!

 悪知恵の働く女だ……」


「残念だけど――――全部エクサタ君の策よ。

 考えるのが苦手なんでね………(元探偵だけど…)」


「フ………フフッ……天晴だ―――!!

 だが俺もただでは地獄には堕ちん………」


アクアマリンが最後の力を振り絞りDDFを投げようとする!!


「エンペラー・ゴールド様ばんざーーーーーーーーーーい!!!!!

 新アトランティスに栄光あれーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」


ボオオっ!!!

その瞬間、ニーズエルが火炎のブレスを吐いて、

アクアマリンの体を焼き尽くした。


「お前たちの肉は、一口たりとも、腹に入れたくも無い………」


そして彼女はアクアマリンの持っていたDDFをそおっと足で掴み拾い上げる。


新アトランティス帝国『四天刃』

貫将アクアマリン・クラブ―――――――――――――死亡。


ニーズエルが、DDFをコートのポケットの中にしまう。


そして、エクサタの脚を拾い上げ、エクサタの近くに置く。

すると、エクサタの体と合体していく……


そしてニーズエルがエクサタを背負う……


「強敵……運故に勝てた闘い。

 破壊されたのが……心臓では無く、頭だったのなら、

 俺は死に、きっと全員敗北していた。」

「エクサタ君の脚が治ったらどうする?私取りあえず………

 さっきビルに張り付いていた、シルバーに会いたいんだけど…」


「―――さっき、あの男が誰かと通話していた時、

 黒霧四揮が来ているという声が聞こえた。

 その情報が正しいのだとすると……

 これ以上ここにいるのは不味い…」

「レンガ・ウーマン……」


二人が周りを確認する…………

すると―――200m先、

レンガ・ウーマンが自分たちが移動していたルートを辿り

此方にまっすぐ走ってくのが見えた……


「か、隠れるよ……」


150m――――――――――100m―――――――――70m――――――――

しかし………その瞬間、レンガウーマンの膝から上が、一瞬にして消滅する。


「えっ………」


レンガウーマンの膝から下に一人の女が近づく。

その女、赤紫色のショートヘア、赤紫色のフード、赤紫色の目、

赤紫色のローブ、赤紫色のニーソ、赤紫色の靴、褐色の肌と言う外見。

常にジト目をしている。身長155㎝。バストは豊満とも平坦とも言い難い。


女はレンガウーマンの両足の膝から下を両方の手で持ち上げる。

すると、瞬きする暇も無く一瞬で、持っていたそれが消えてなくなった。


「エクサタ君……、脚、大丈夫……」

「完治はしてない。だが走れる。」


「あの赤紫女の能力………何かヤバい……逃げるよッ!!!」


エクサタとニーズエルが女に背を向け走り出す!!!

しかし―――――女が叫び、二人に向かって走り出す!!


「『ルーク・オブ・ヘルシャドウ』!!!!!」


しかし構わず二人は走り続ける!!!


「ヘリコプターは前方向だけ綺麗に消滅した。

 レンガ・ウーマンは膝から上だけ消滅した。

 恐らく敵は、何らかの上に存在する物質を全て消し飛ばす能力。」

「アレがそうって事………?」


ニーズエルが指を指したその先……そこには、赤紫女の立っている位置から

縦100mほど、横幅30m程の巨大な真紅の影があった。


その影、自分の上に存在する物質全てを消滅させながら二人を追跡する。

…車はタイヤの地面に接触している部分の上だけを残し消滅する。

人は膝から下以外すべて消滅する。


「せ、洗脳兵も構わず消滅させてるわ!!!

 でも………私たちの方がずっと足が速い!!

 そしてこのカースアーツの攻撃リーチは大体150mといったところ……!!」


赤紫女が右手を上げる。すると、影の右手も伸び、ニーズエル達に一瞬で迫る。

そして影は、ニーズエルの背中から生えている翼と尻尾の真下に到達する。


「ぐわあああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


ニーズエルの尻尾と翼半分が消滅する。


「ま、まずい………今の攻撃で更にニーズの走る速度が落ちた…

 追いつかれる……………」


瞬間、エクサタが走ってる途中に足が地面に触れる衝撃を利用して

センチビートを発動!!!

黄色い光が地面を走り、前方にあった車のボンネットの下に入り込む!!!

そして爆発し、ボンネットを吹き飛ばす!!!


「な、何をするつもりなの?」

「一か八か――――ニーズ、この下に!!」


ニーズがボンネットを拾い上げる。そしてその上面を赤紫女に向け、

その下に二人が隠れる。


そしてその上を赤紫女の真紅の影が通り過ぎる―――――――

ニーズエルとエクサタは、こうして一命を取り留めた。


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[図解]

       影影            →赤紫女がいる方向

       □□影影

         □□影影

          ◎」□□影影 

        「/    □□影影

影影影影影影影 /> _| ̄|○ □□影影影影影影影

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          


※頭が◎の棒人間=エクサタ

※頭が○の棒人間=ニーズエル

※□=エクサタが持ち上げているボンネット

※影=赤紫女のカース・アーツ。影の上方にあるものは全て消滅する。

--------------------------------------------------------------------------


「何とか助かった……けど、でも――――

 エクサタ君、この後どうする気?

 な、なにか策があるんだよね?」


「わからん。」


「わっ…わからんって!!!」


タン………タン………

女近づいてくる……………


「この足音、ボンネットの前まで来たぞ………」


そして……


「私はゴールド様にお仕える四天刃がおひとり、

 "削将"ルビー・ハート。

 名前が長いから、みんなは私の事をルビーって呼びますわ。」


ガラッ!!!!!


ルビーが能力を解除し、ボンネットをどける――――

瞬間――――30発のセンチビートの衝撃波とニーズエルのブレスが

ルビーに向かって放たれる。

しかしルビーが再度能力を発動、影の上に入った時点で一瞬で消去されてしまう。


「なっ――――!!」


「ふふ……貴方たちの攻撃なんてききませんよ?

 『ルーク・オブ・ヘルシャドウ』、

 かの有名な異端の魔女"ジャンヌ・ダルク"の最期の魂……

 彼女の絶望の精神エネルギーを媒体とした強力なカース・アーツです。

 能力は影の上に立つ全てを此の世から消滅させる事、ただそれだけ……。

 ですがそれ故に最強。

 空気も、飛ぶ鳥でさえも、上空1万mを飛ぶ飛行機でさえも

 この影の上に存在することはありえません。」


「――――!!」


「フフ………二人とも、美しい顔と目……

 首から上をちぎってこの私のコレクションにしたいぐらいですわ。

 フフフ………私がママになってあげる。

 貴方たちは首から下を全て消滅させ、首だけにして殺します……。」


オオンッ!!

影の左腕が伸び、エクサタの右腕を消滅させる。

右腕を失ったエクサタがのた打ち回る!!


「グッアッ……!!!!!」

「エ、エクサタ君ッ!!!」


「かわいい…

 これ一歩この私の理想の子供に近づきましたわ

 …さぁ……次は両腕の無いあなたの番です。」


ニーズエルが左目でルビーハートを睨む。


オオンッ!!

影の左腕が伸び、ニーズエルの左肩を消滅させる。


「がああああああッ!!!」


「睨むなんていけない子………私はもうあなたのお母さんです。

 新アトランティスではお母さんを睨んだ子供は肉体を削られちゃうんですよ?」


「ひ、ひいッ……」

「ぐ………」


ニーズエルとエクサタが涙ぐんで…怯える………


「さぁ、次は脚です。」


瞬間、ルビーが背後から胸を何かに貫かれ!前に倒れる!!!


「………!?」


「セ、センチビート………すでにお前の背後に回り込ませていたッ…!!」

(影とは一方向にしか伸びないもの……

 お前の影が俺たちのいる方にかかるというのなら……

 お前の背後はがら空きだ!!)


「エ、エクサタ君!!」


「ニーズ!!まだ奴は倒せていない……逃げるぞ………!!!」


エクサタとニーズエルが横に向かって走り出す………

しかしルビーハート直ぐに発ちあがる………


「この程度……貴方達を産む陣痛だと思えば、なんてことありませんわ。」


貫通した体内の穴からは、何か機械ようなものが露出している。


「き、機械……!!」

「『ルーク・オブ・ヘルシャドウ』ッ!!!」


真紅の影がエクサタとニーズエルに迫る!!


「こんなに早く復活するなんて……!!」


「逃げられないわ……『ルーク・オブ・ヘルシャドウ』のスピードは、

 全カースアーツの中でもトップクラス………」


真紅の影とエクサタとニーズエルの距離、1m!!!

もう追いつかれるかと言ったその矢先、

ニーズエルがポケットから左足で何かを取りだし、ルビーに見せつける!!


「そ、それは………!!」


DDFだ!

そして真紅の影の動きが止まる。


「アンタはあの時、

 絶対的にこの私達に勝てるはずだったのに直ぐには殺せなかった……

 さて、どういう理由があったのか……?慢心?相手をいたぶる趣味の為?

 違うわ……アンタは、自分の能力で

 この宝石を消滅させてしまう事を恐れていた!!!」


「気づかれてしまわれましたわね。

 DDFは如何なる力をもってしても砕けない無敵の硬度を持つ最硬の宝石……

 しかし、私の能力で消滅するかどうかと言うのは、

 一度も試したことはありませんでした。

 ゴールド様も万が一の事を考えて試させてくれませんでしたからね……

 フフフ………」


二人が近くのビルに侵入する


「しかし、貴方達を子供にしたいという言葉、本当ですわ。

 ニーズさん、ビルに入る直前……右足を、頂戴いたしました。」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――AM12:39  岐阜県岐阜市:弯曲十字周辺、どこかのビル内。1F


ビル内の人間の大半は洗脳されたようで、人の気配が全くしない。


「うあああああーーーーーー!!

 脚が――――右足がーーーーー!!!」

「ニ、ニーズ!!あッ……うあああああああ!!」


右足を消滅させられたニーズエルがのた打ち回っている。

そして左足で掴んでいたDDFも落とした。


「マズイ――――――!!来る……!!!

 ニーズ……掴まれ!!」


エクサタがDDFを拾い上げ、ニーズエルを背負って走り出す。

そして間もなく、ルビーハートが部屋に侵入する。


「室内なら、わたくしの『ルーク・オブ・ヘルシャドウ』も

 更に能力を発揮できる……」


しかしエクサタとニーズエルはいなかった………


「かくれんぼですね、でも居場所は分かりますわ……

 だって、貴方たちの血が飛び散ってるんですもの。

 入って左の廊下に逃げ込みましたわね。

 そして天井にはエクサタさんの光のトラップが……」


ルビー・ハートが左側を向き、大の字のポーズをとる。

そして能力を発動――――――――

廊下全てが赤い影に包まれ、天井が消えうせる。

このビルは13階までの高さがあったが……13Fの天井まで綺麗に消滅した……


「そこの曲がり角の先、気配を感じますわ。」


ルビー・ハートが廊下の曲がり角付近まで歩く、しかし――――


カランッ………カランッ!!!


ルビー・ハートの後ろに、何かが落ちてきた。


「えっ………」


------------------------------------------------------------------------

曲がり角の先


ニーズエルが………泣いている……


「エクサタ君………貴方は………貴方はなんてことを………!!」


「ルビーと戦っている時に"あの女が復活している"姿を見た時から

 こうするしかないと思っていた………二人とも生き残るには

 ………こうするしか―――!」


「足も目も使い物にならなくなって……エクサタ君もボロボロにされたのに……

 私達……いったい何のために戦ってきたのッ………!!!」


------------------------------------------------------------------------


ルビー・ハートの後ろに落ちてきたのは、DDFだった。

事前にルビー・ハートが廊下の天井を消すと予想していた

エクサタが天井に突っ込んでいたのだ……。


「ディ―――――D・D――――――――――――!!!

 天井にあったんですのね……

 よ、よかった、私の能力で消滅しなくて……」

「ええ、本当です~~~~」

「えっ―――――――――――――――――」


2m30㎝の巨影がルビーの眼前に立ちはだかり、

DDFを拾い上げる。


「ク………クロギリシキ!!!

 なんでいきてるんですの!!!!」

「四揮?あの娘は私が殺しちゃったわ、

 私はレンガ・ウーマン――――――

 …………さぁ、レンガはいかが?」


ルビー・ハートとレンガ・ウーマンが対峙る………


「………フフフ………何も変わりませんわ…復活しようと何をしようと、

 貴方が私の能力で消滅するというのはすでに実証済み………

 わざわざ私の前に出てこなければ、

 二度目の敗北を味わう事は無かったというのに………


 アーーーーハッハッハ!!!!

 サノバビッチですわ!!!!あなたとってもサノバビッチですわ!!!!!!」


「『イリーゼ・フィアー』……」

「『ルーク・オブ・ヘルシャドウ』!!!」


ルビー・ハートの真紅の影が、レンガ・ウーマンの真下を通過する――――

しかし………


「な、なんで消滅しないんですの……

 なんで体の原型が残ってるんですの……!!!!!!!!」


そう、レンガ・ウーマンは成長する……二度も同じ攻撃は食らわない……

完全には消滅できなかった………


「あらあら………」


ガシッ!!!

レンガ・ウーマンが左手でルビー・ハートの首を掴み持ち上げる……

そしてレンガを振り上げる――――


「ど―――――――どうしてこの私が!?!?!?!?!?!?

 い、いや…………いやですわあああああああああああああああああああ!!!

 離しなさいクズ!!離して!待って!!おやめ下さいませ!!

 許してくださいませ!!な、なんでもしますわあああああああああああ!!」


「レンガをどうぞ………」


ドンゴン!!!!

ルビー・ハートの頭が爆散する!!!

しかし体が機械の為、それでも死ななかった………

ドンゴン!!!!

何度もレンガを振り下ろされそのボディまで徹底的に破壊される。


新アトランティス帝国『四天刃』

削将ルビー・ハート―――――――――――――死亡。


「あと4つ………」


そしてレンガ・ウーマンがその場を立ち去る……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――AM12:50  岐阜県岐阜市:弯曲十字周辺、どこかのビル内。1F

ニーズエルとエクサタが隠れている部屋。


ニーズエルは足と目の応急処置を済ませ、目がうつろになっている……

体への負担を減らすため、能力は解除している。

エクサタはそのニーズエルの右に座っている………


(ああするしかなかった………DDFでルビー・ハートの足を止めなければ……

 奴が曲がり角の先に来て、我々までレンガ・ウーマンの餌食になっていた……)


「エクサタ君さ………私さ―――これからどうなるのかな……」


「ニーズ……」


「両腕だけならよかった………まだ戦えたから……

 でも目も足もやられてロクにも歩けないような状態で私は―――

 どうすればいいの……?」


「――――」


エクサタが4秒間目を閉じて……眉間にしわを寄せ、目を開けた。


「脱出だ。この岐阜から脱出するんだ……

 もう戦えないなら仕方がない……逃げるしかない……

 かえってシルバー殿達に気を使わせてしまう事になる…」


エクサタが涙を流す。


「ここからもし逃げだせなたら、ずっと一緒にいよう。

 怪盗もやめて争いのない静かな所で、二人一緒に最後まで幸せに暮らそう。


 そして君の寿命が終わったなら、その時は…俺も一緒に死んでやる……」


「――――うん、それも………いいかもね。」


「…………」


「エクサタ君……あの……」


「何……だ……?」


「―――こんなボロボロになってから告白するのもアレなんだけど、

 私さ、エクサタ君の事………大好きだよ。」


「嗚呼、俺も初めて会った時から貴方の事が………ずっと大好きだった……」


二人が愛を告白しキスをする……

絶望の中に希望を見出すために………

絶望の中で互いの傷を舐めあうように………


「――――シルバーに……連絡しなきゃ……

 エクサタ君、ポケットにある携帯端末取ってくれる……?」


「シルバー殿か……そういえば彼女、どうなったのだろうか……

 自分がヘリを落としたカースアーツ使いというサインを

 我々に送っておきながら、その後一向に姿を見せないし、

 弯曲十字の使い手の仲間は二人共我々を襲ってきた……」


「―――――!!ま、まさか……やられた―――とか……」


「ッ………」


「あ、安否を確かめなきゃ、エクサタ、私の左ポッケから、

 携帯取り出して―――!!」


しかしその瞬間――――――――――

コンコン!!!


何者かがドアをノックする……


「えっ?」


「ニーズエル、エクサタ、いるんだろ?入るぞ。」


ドアが開かれる、そして部屋に入ってくるその姿……

銀髪銀目、褐色、血まみれのその姿――――


「シ、シルバー!!」


「その傷……二人共、ずいぶんと酷い目にあったんだな……」


しかしエクサタはここで考え込む……

(生きていた……重傷だが……

 ならばシルバー殿は、何処で何をしていた……?

 誰に重傷を負わされた?)

「…………」


シルバーが二人に近づく。


「シルバー殿、申しにくいのだが、

 今まで一体どこで何をしていたのだ?

 早急に詳しい説明が欲しいのだが……」


「――――そうだね、二人共……

 もうちょっと近くよってもらっていいかな?

 大声では話せない、話題だからさ……」


「………」


二人がシルバーに近づく。


「じゃあいうよ……突然だけど二人はさ――――こういう言葉って知ってる?」


シルバーが息を吸う。




「『常識とは、プライドを殺す剣<つるぎ>だよ』。」




瞬間――――――――――――――ッ!!!!


「えっ―――――――――――――――」


ドボァァァァァァァ!!!!!

シルバーの右手の手刀でニーズエルの腹が貫かれる………


「ニー………うっ!?」


ドグチャァアアアアアアッッッ!!!!

シルバーの左手の手刀でエクサタの腹が貫かれる………


二人があおむけになって倒れる。


「つまり………こういう事さ……どうやらDDFは持っていないようだね。

 "ボク"に取りついた"邪神"も全く反応していない。


 となると、持っていったのは……あの"クロギリシキ"かぁ」


「な――――なんだと………

 お前、シルバー殿では――――無いな!!!」


偽シルバーが自分の頭を掴み、銀髪のカツラを外す。

中からは、神聖な金髪のショートヘアが展開される。


「銀髪じゃない……」


「あの怪物ロンカロンカがシルバーを殺した時に撮った写真は、

 画像データとして依頼人であるこのボクに対しても転送された。

 故に新アトランティス人の僕が彼女、シルバーの変装をすることは

 とてもとてもたやすい事であったよ。」


偽シルバーが自分の目に両手を添え、コンタクトレンズを外す。

中からは、神聖な金色の瞳が姿を見せる。


「アッ………あああ!!!」


「まぁ何の因縁か知らないけど……彼女とボクは顔が良く似てたからね。

 手を込んだ変装をする必要もあまり無かったかもね。


 まるで伝説のアトランティス人の双子、

 ゴッフォーン様とオルゴーラのように私とシルバーは似ている………

 でも僕の方が彼女より圧倒的に上さ。外見以外は比較にもならない。」


偽シルバーが二人に背を見せ、ドアに手を掛ける。


「奴隷どもを使ってこのビルに大量の時限爆弾を仕掛けさせてもらったよ。

 あと3分でここは崩れて君たちは死ぬと思う。


 だからさ教えてあげるよ。


 僕は新アトランティスの天帝にして

 ママゴンネード様復活を目論みDDFを集めている――セクンダー・グラン。

 またの名を……『エンペラー・ゴールド』――あはっ♪」


ニッコリ


ゴールドが部屋から脱出する………

そして部屋には腹を貫かれて地べたに這いつくばる、ニーズエルとエクサタだけが

残された………



「う―――あああああぁぁぁぁぁ…………

 あああああああああああぁぁぁあああああああああああああああああ………

 ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」



――――――――――――――――――――――――――――――――つづく。




―――――――――――――岐阜市でのDDF争奪戦


探偵協会           DDFピース所持数―――――1

レンガ・ウーマン       DDFピース所持数―――――1

ゴールド           DDFピース所持数―――――2

シルバー&睦月チーム    DDFピース所持数―――――1

ニーズエル&エクサタチーム DDFピース所持数―――――0











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