Episode11 狂気は時を越える

      -12年前、ロシアの中心・モスクワ-


ザザ――――――――――――――――――――――――――――――――


雨が、降る。


雨が二つの死体を打ちつける。


一つは女性、白く美しい肌をしており、髪は金髪。

もう一つは、男性だ。

銀髪、銀の瞳、褐色肌と言う神聖さのある外見をしていた。


一人の少女がそこに来る。銀髪で赤い目をした少女――――

少女は、二人の死体に近づき、

褐色の男性が"右手"に握っていた何かをそおっと自分の手の中に移した。


それはロケットであった。そしてそのロケットの中には、家族写真。

死体となる前の二人とその娘が、幸せそうにしている、家族写真。


「――――………あ。」

少女が、涙を流した。しかし涙は、すぐに雨と同化した。


「正義―――これが私の正義なのか……こんなものが……」


「こっ…これは!?」

ふと気が付くと、少女の前に、一人のシルクハットをかぶった男がいた。


「――――エクスさん。」

「お前、お前まさか………」

エクス――――12年前、まだ20代だったころの怪盗エクス・クロス。


「…………」

少女が立ち上がり、エクスに背中を向ける。

「待てッ!待ってくれッ!」

エクスの声など聞こえていないとばかりに、少女はそのまま歩き始めた。


エクスが銃を抜く、そして、少女の足元の地面に、弾丸を数発発射した。

「どこへ行くんだ!私は何も聞いていない!!

 ここで何があったか!?ここで君が何をしたか!!」

「これまで、一度も思った事は無かった。疑おうとも思わなかった。

 でも―――今初めて疑問に思ったんだ………」

「え――――何と言った?」


彼女の呟きは小さく弱く、エクスには届いてはいなかった。


「本当の正義……『絶対正義』は、何処にあるんだろう…」


そのまま、少女は霧のようにその場から姿を消す。

そして、やがてパトカーのサイレンが近づく音が鳴り響き、

エクスもその場から姿を消す。


後日少女は、その二人を殺した英雄として崇め称えられた。

       少女の名は―――――夜調牙百賭<やちょうがびゃっか>。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆

そして―――――――――――現代


サーチ・アンド・レンガデストロイ事件勃発!?!?!?!??!?!??!?

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――

AM6時に岐阜県岐阜市内に突如として活動を始めたウルトラシリアルキラー♀。

動機不明、また、正体も不明。細身の体系でありながら、身長は2mを越えている。

髪は地面に付くかつかないほどの藍色のロングストレートで、

黒いコートを着ている。凶器は両手に持つレンガ。


通りすがる人間は女子供であろうと容赦なくレンガを叩きこみ頭部を爆裂される。

また、積極的に人のいる場所に向かい、

無差別にレンガで大量虐殺したりするらしい。


「殺人鬼は無差別に人を襲っていることから―――我々やマレフィカルムとは

 無関係……そうは思ってはいたんだが…

 この日、この犠牲者の数。」

「…」


BLLLLLLLLLLLLLLLLLL!!

岐阜県の道路を青いTBOX(車)が走っている。

運転席に睦月、その隣にエクサタ、後部座席にシルバーが座っている。


「とにかく、普通の人間でないって事は確かだと思う。」


「マレフィカルムの探偵か…それとも我々にもマレフィカルムにも属さず、

 DDFを狙う第三勢力の登場か…」


T-BOXがどっかのガレージに停車し3人が降車する。

そしてその3人の眼前に広がるは――――廃れたデパート(2F)の入り口。


「工事中だったらしいが、殺人鬼の出現と共に現場の人間は避難したらしいよ。

 つまりここには―――誰もいない。

 我々はしばらく、この場所で待機し、敵の動向を伺う!」


「ニーズエルやエクスさんは先にここに来てるんだったな…」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――AM8:42(東結金次郎との戦いから約1時間後)

岐阜県岐阜市―――博物館から9㎞離れた場所にある廃デパート。


シルバー達三人は、この廃デパート内一階ロビーで、

コンビニに買い出しに行っていたニーズエル&クロスチームと合流する。

そのまま5人は、デパート内のレストランへ向かう。


「睦月、ここは室内だ、光が弱い。」


「―――?シルバー?」


「蟻のカースアーツを出して我々5人以外でこの廃デパートに出入りする奴を

 徹底的に観察して。」


「…シルバー、言うのが遅かったね。

 既にこの私は『闇を歩くもの<ダーク・ウォーカー>』を発動させている。」


 睦月のカース・アース『闇を歩くもの<ダーク・ウォーカー>』は、

自分や自分の触れた物質の影に蟻の形をした紫色の化物を出現させる能力。

化物は闇の中でのみ活動でき、光に当たると弱体化し、いずれ消滅する。

射程はかなりの広範囲で、複雑な命令をさせないのなら、1000体程召喚できる。

ちなみに、視界のみなら睦月とある程度の共有は可能。


「―――そうか、さすが睦月だ。だがあまり出しすぎると駄目だよ、

 敵に感づかれる可能性があるし。」


「フフ、その点は心配なく。

 同じ場所に、二体以上配置するなんて無駄な事はしていない。」


「なんか嬉しそうだなお前…」


そして全員座る…


「ランチタイムだ!!!」

ニーズエルがレストランのテーブルの上に持っていた

ビニール袋の中身をぶちまける。


バァァァァ―――――――――ンッッッ!!!!!!


中身は――――サシミ!!寿司!!!!!!

そして寿司ィィーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!


「やっぱJAPANと言えば寿司でしょ!!!!!1」


「ほっほっほ!」


「なんてことしやがる…」


「あっ、シルバー生もの駄目だったんだっけ…」


「怪盗と言う仕事柄、

 外国人の怪盗や情報屋とかと食事する事はしょっちゅうあるんだけど…

 何故どいつもこいつも、必ずと言ってはいいほど寿司を喰いたがる…!」


ババァァァァ―――――――――ンッッッ!!!!!!

エクス―――――オーストラリア人・来日5日目


ニーズエル―――フランス人・来日5日目

エクサタ――――ロシア人・来日5日目


「そりゃ外国人が日本に来たら日本の伝統料理を食いたい思うだろ…

 私だってイタリアとか行ったら多分真っ先にオッソ・ブーコとか

 ポレンタ食べに行くよ…」


「あるだろ…!他に…!そばとか……!天ぷら……ッッ!!」


「お、落ち着きなってシルバー!ほら、卵ときゅうりは全部やるから…」


ふてくされながら睦月からもらった寿司を食べるシルバー

そう…寿司を食べたのだ――――しかもこいつ、二つ同時に!


「ちょっとシルバー、二つ同時に食べるのはマナー違反でしょう?」


「うるさいなぁ。

 で、そっちの袋にはちゃんと注文したタバコ入ってんだろうな?」


煙草の銘柄――――"死<death>"!!


「頼んだ銘柄と違え………ッッ!!」


シルバー魂の悶絶!!!


「それアタシが吸う用だから。」


「てめー結局自分の好みのものしか買ってきてないじゃねーか………ッッ!!」


悶絶ッ…悶絶ッ…!!


「というかシルバー、喫煙するんだ。」


「―――まぁな…2年前からやってる。稀にしか吸わないけどな。」


「――おい待てよ、シルバーは私と同じ二十歳で、2年前って事は…

 未成年喫煙してたのか!」


「いや、驚くな…ッ!今更だろ…ッ!私達怪盗だろ…ッ!!

 存在が犯罪だろ…ッ!!!!」


そしてなんやかんやあって茶番終わる…


「―――――シルバー…少し付き合ってもらってもいいか。」


エクスがシルバーに話しかける。

その顔はとても言葉で表せないほどにシリアスだった…

シルバー察し無言で、「コク」と小さくうなずいた。


「どうしたんだ。シルバー、エグスさん。」


「心配ないニーズエル。

 少し彼女と、プライベートの話をしたいだけだ。」


「??????????????????????????」


そして二人レストラン出る…


「エクス―――その顔は何だ?お前いったいこの私に何を話すつもりなんだ。」

「その発言、今までの発言、その顔。

 やはりお前さんはまだ何も気づいておらぬようだな…

 アルギュロスから、私の正体を知らされてなかったので無理もないが…」

「急に何を言ってんだアンタは…」

「シルバー、実はこの私―――怪盗エクス・クロスは、

 夜調牙百賭、彼女の正体と、そのカース・アーツの能力を知っている。」

「な―――――――――」


ドドンゴドンゴン!

あまりの衝撃的な発言に、シルバー一歩たじろいた。


「――――な、何を言っている?証拠はあるのか?」


「これを見るのだ…」


エクス写真渡す…

その写真には、12年前のエクスとシルバーの両親が仲良さそうに映っていた。


「これは―――12年前の、私のパパとママ…

 馬鹿な…アンタ一体…」


「私はお前さん

 かつて、お前さんの父親『プラズマス・グラン』即ち怪盗アルゲントゥムと

 親友の関係にあった男だ…」


(馬鹿な……聞かされたことが無い…!

 それに写真合成―――アイコラの可能性もある。

 だが信用に値するかどうかは置いといて、話だけは聞いておくか…)

「…わかった、聞くだけ聞いておこう。

 だが、知っていたなら、なぜ今となって話すんだ…」


「……理由は3つある。

 集中力が低下している増呪酒の副作用が発現しているタイミングでは

 言いたくなかったというのが一つ目の理由。

 私に心の準備が出来ていなかったというのが二つ目の理由。


 そして3つ目…百賭…彼女自身の事情を考えるとどうしても言いにくかった。」


「彼女自身の事情だと…?まさかアンタ、あの百賭に肩入れしてるんじゃ…」


エクスがすうっと息を吸い込んで話し始める。


「いいか、よく聞けシルバー、『百賭』の能力は時間だ!

 その場の時を数秒間記録し、好きなタイミングでそれを再生できる能力!」


「じか………」

ダン!

「な――――――誰かがこの廃デパート内にまっすぐ向かってきている!!」


睦月の大声が響き、二人の話は中断された。


「………―――!!エクス!アンタの話、後で聞かせてもらうぞ!!」


シルバーが睦月に駆け寄る。


「睦月!敵は…!?」


「今、デパートの西入口前にいる!!

 レンガを持ってはいないが、身長は2mを越えていて、藍色の髪…!!

 顔はすごく…おびえた表情をしているな…」


「情報と同じ……例の殺人鬼か!!

 睦月、お前のダークウォーカーで奴の身元から奴の身分が分かるものは

 盗み出せないか?」


「や、やってみる!」


ダークウォーカー(蟻)が2mの女の服をまさぐり、財布をこっそりと盗み出す。

中には免許証があった。


「免許証を奪った、名前は――――黒霧四揮。

 マレフィカルムの人間らしい。」


「四揮――――!」


------------------------------------------------------------------------------

「私を倒した貴方に敬意を払って最後に一つだけ忠告しておくわ………

 DDFは諦めて、この街から出なさい…

 『黒霧四揮』が―――来るわ…………」

------------------------------------------------------------------------------


「金次郎が同じ名前を出していたな…

 そもそも四揮いったい何者なんだ…まさか最後の三羅偵か?」


「わからない…でも、何かおかしいぞこれ…」


「何がおかしいんだ…」


「免許証の交付日が―――昭和44年。西暦に変えると1969年。

 今は2010年だから…最後に免許を更新したのが約40年前と言う事になる…」


「40年前…?奇妙だな。日本の免許の有効期間は大体3年から5年だ。

 交付日が40年前だという事は…とっくに期限切れ…タイムオーバーの免許証。

 なんでそんなものをわざわざ持ち歩いてるんだ…」


「それだけじゃない…その――――顔写真が…その…

 記載情報から察するに40年以上前のものだと思うんだけど…

 今と全く…顔が変わらないんだ…!

 61歳の筈なのに…その顔に小じわ一つない…若々しすぎるぞッ…!!」


「…」


「その四揮って奴は、

 恐らく『自己強化特化型』のカースアーツを持っているんだと思う。」


「ニーズエル…!」


ニーズエルが睦月とシルバーの会話に割って入る。


「私もそうなんだけど、自己強化特化型のカースアーツ使いは、

 自分の持つカースアーツに呪われて、

 人外じみた外見、性格になるケースが大半なんですよ。

 カースアーツは死んだ人間の負のエネルギーで作られたらしいから…

 言うならば、死人に体と心を乗っ取られた状態になる…か。」


「―――成程、年齢の割にあまりに若々しい外見と、その高身長、

 目に入る人間にレンガをぶつけて殺したくなる習性は…

 自己強化特化型カースアーツの副作用…というわけか。」


「でも、ちょっと年齢が気になるなあ。

 自己強化特化型のカースアーツの使い手は、30歳も生きられないはずなのに…」


「は―――――入ってきたッ!!!

 ついにこのデパートに入って来たぞ!!」


「睦月、蟻の顎で四揮の体を攻撃してみて呉れ―――」


「――――――――!わかった」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

廃デパート西入口から四揮が入場する…


「この"反応"……敵は……二階にいる!!

 

 ハァ……ハァ…


 早く―――解放シタい―!!!

 レンガ・ウーマンを解き放ちたい…!!

 すべての人間の後頭部にレンガを叩きつけ―――!!」


そこで、唐突に紫の蟻が、四揮の右手に噛みつく!!


「キャ、キャアアアアアアーーーーーーーーーーー!!!

 何よコレェェ――!!!」


四揮左手にレンガを出現させ、自分の右手を叩き潰す!!!!!


「ヒャハハハッッッ!!!!


 おい・・・

 おい!!!!!!!!フグ戴天の適!!!!!

 怪盗どもきいてるか!!!!!

 私を止めるという事は世界を滅ぼすと同義なんだぞ!!!!!」


四揮走り出す!!!!!!!

そして…二階までジャンプし、更に走り出す!!!!


「そこで止<ストップ>まれェェェェーーーーーーーーーーーッッッ!!!!」


「!!!」


四揮の前方10m先の柱の影から、身長147㎝程の少女が現れた。

ニーズエルだ。右手で銃を構えている。


「お前に与えられた選択肢は3つある!

 ①―――前に進んで私達に殺される!!!

 ②―――後ろに進んで、無傷でこのデパートを出る!!!

 ③―――それ以外の事をして、ここで死ぬ、この3つだ!!!」


「――――ハァ……ハァ……

 ここにいる5人の怪盗のうち、

 DDFっていう宝石を持っているのは誰!?

 そいつを殺したい!!!」


バキュン!!!

四揮右足撃ち抜かれてその場に倒れる。


「忠告は…二度言いませんよ。」

(こいつ……私達が5人グループだという事を知っているの?

 DDFは今シルバーが持ってるけど…)


「ヒャハハハ…………私も忠告はしたんだよォォォ……?」


四揮立ち上がる。


「………やはり自己強化型か……」

「―――無暗に近かないでね、敵の能力はまだ得体がしれない。」


ニーズエルと近くにある柱の影から敵の様子を伺うシルバーが話し合う。


「策……ね。」


ニーズエルが携帯端末取り出して誰かと通話する。


「エクスさんとエクサタは、奴の後ろに周れた?」

『嗚呼、あっさりとな。準備はいつでもOKだ。

 睦月くんも無事に敵から距離を取れたようだ。』


WAWARAWARAWARA

四揮の周りに、紫色の蟻が集まる…。


「四面楚歌――――ってヤツだね……奴逃げ場はない……」


Vooooooo――


「――――DDF持ってる一人だけ殺して許してやろうと思ったんだけど……

 もういい。こんな痛い目にあわせやがって……全員死んでしまえ!!!」


四揮の立つ場所に、黒百合が生えてくる。

黒百合の花言葉は『呪い』『復讐』。


VOOOOOooooooo――――


「ハァァァァァァ!!!!!!

 ハッハハハハハ……!!!!これで夢が叶う!!!!!

 百賭様………!!必ず私を殺してくださいね!!!!

 私を殺せるのは貴方だけなのですから!!!!」


大量の黒百合が四揮の体を覆うように成長し伸び始める!!!!!!!


VOOOOOOOOOOOOOOOO――――――――


『今だッ!!!』


しかしそれと同時に……睦月の大量のダークウォーカーが!!!

シルバーの銃弾が!!!!エクスのトランプが!!!!!

ニーズエルの投げた石が四揮に襲い掛かる………


VOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO――――――


「スゥゥゥ―――――――――――――」


四揮が息を大きく吸いこむ。そして――――


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  ┗┛    ┗┛        ┗━┛    ┗┛   ┗┛┗┛┗┛ 」


瞬時―――――――その場に衝撃波が走る!!!!!!!!!

ダークウォーカーが潰れ!!!銃弾は逸れ!!

エクスのトランプは吹っ飛び!!!!!

ニーズエルの投げた石が砕け散るッッッ!!!


「な、何が起きたあああああああああああああああああ!?」


黒霧四揮の体が"漆黒色"に"光り輝き"、人以外の周囲の背景を闇にする!!


バンゴッッ!!!!

―――――四揮の右手にレンガが出現するッ!!!!!!!!!!!


「「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアああアアアアアアアアアアアアアアアアアアああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」

四揮の雄叫びが二重になっているッ!!!


「なッ-―――なんだコイツはッ――――!!

 それに手にレンガッ…!?自己強化特化型じゃあないのかッ…!?」


バンゴッッ!!!!

――――――四揮の左手にレンガが出現するッ!!!!!!!!!!!


「「ぬあああああああああああああああああああああああああああああああ」」


カッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!


四揮の体が光り輝き巨大化する――――!!


-―――ドンゴ!!!


┏┓    ┏┳┓┏━┓┏┓┏━━┓┏┳┓

┃┃    ┃┃┃┗━┛┃┃┗━┓┃┃┃┃

┃┗━┓┗┻┛      ┃┃  ┃┃┗┻┛

┃┏━┛        ┏┛┃   ┃┃   

┃┃        ┏━┛┏┛┏━┛┃ 

┗┛        ┗━━┛  ┗━━┛   




VAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――――――――――


……


フォサァ…


光と闇の中から、四揮が現れる。


ニコッ


その顔、先ほどの怯えと絶望の表情は何処へ行った――――

まるで隣人に寝取られそうなおっとり系の団地妻糸目お姉さんのような優しさを感じる笑顔と言った感じだ…

( ´ ∇ ` ← こんな感じ )

しかしそれは逆に恐怖であった。

何故なら両手にレンガを持っていたから…

黒く禍々しい闘気を全身から放っていたから…


身長は先ほどの205㎝からさらに大きく―――230㎝ほどになっている。


「フフフ―――――ハッハッハッハ!!!」


ニーズエルが怯えている

「………しょ、正真正銘の化物だ……!!

 四揮、それがアンタの正体か!!!!」


「私は四揮では無い…あの人格は―――殺した!!!」


「えっ―――?」


「取りあえず自己紹介しましょうか?

 私はレンガ・ウーマン…

 レンガはいかが?レンガをどうぞ…」


ドンゴ!!!!

レンガ・ウーマンが地面を蹴り大ジャンプするッ!!!

そして先にあった天井を蹴り、空中移動する!!!

時速40kmだ―――!!!向かう先はッ……


一番近くにいた、背後の怪盗エクス・クロス!!!!!!!!!

隣にはエクサタがいるが!!まっすぐエクスの方に向かっている!!!


「『イリーゼの恐怖<イリーゼ・フィアー>』…」

「それがお前さんのカース・アーツかあああああああああああ

 来いーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

(今からではトランプは投げられない、

 銃だ……銃で奴を怯ませるのだ!!!)


ドン!!!

エクスが3発銃を撃つ!!!

命中は―――した!!!三発とも胴体に命中した……!!!

だがレンガ・ウーマンは怯まない!!!


レンガ・ウーマンが―――――

血管が浮き出るほどにレンガを強くつかみながら右腕を大きく振りかぶる!!!!


「まずいエクス!!避けろ!!」


レンガ・ウーマンがレンガを振り下ろす!!

エクスは本能的に後方ステップするが、

間に合わず左手と持っていた銃を粉々にされる!!!


「がああアアアアアアアアアア!!!!!!!!」


「ハズレちゃったわね~~~」


レンガウーマンが

血管が浮き出るほどにレンガを強くつかみながら左腕を大きく振りかぶる!!!!

しかし横方向から来た"何か"によって吹き飛ばされる!!!


「………」


エクサタの能力だ………


「エクサタッ…すまんッ……!!」


エクスが引き、エクサタとレンガ・ウーマンが対峙る………


「………あらあら……フッフッフ…」

「『百足<センチビート>』………」


ガンガンガン!!!

エクサタが足で近くの壁を3度蹴る。

すると―――壁の蹴った部分が雷を帯びて光り輝き始めた。


光が壁を沿って移動し、レンガウーマンの側まで移動する。


瞬時、壁が爆裂しエネルギー波が…

レンガウーマンに向かって吹き飛ぶ!!!

そしてレンガウーマン更に吹っ飛ぶ!!


「―――エクサタの能力は衝撃を保存し自在に操る能力か。

 しかも放出するときのエネルギーは、最初に攻撃した時の数倍…」

なんかシルバー解説し始めた…

「ニーズエル……敵の能力は得体がしれない…私達は様子を見て…

 あれ、アイツ…どこに行った!?」


ガッ!ガッ!!

エクサタが拳同士を何度も強くぶつけ始める。

ぶつけた拳が離れる度に、その間に衝撃エネルギーを保存した光の球体が現れる。


吹き飛んだレンガウーマンが、直ぐに体制を建て直し、

再度エクサタに襲いかかる!


「………」


パチン!!

エクサタが指を鳴らしたと同時に、宙に舞っていた光の球体から、

エネルギー波が一斉に射出される!!!


しかし――――そのレンガ・ウーマンはエネルギー波を

レンガですべて叩き落とした!!!


「ッ…!!」

(さっきより……素早い…!)


レンガウーマンがレンガを叩きつける体制に移行する。


ワン!ツー!スリー!!

シルバーが銃を3発レンガウーマンに叩き込むが、

全てその身体に弾き返される!!!


「なッ…逃げろエクサタ!!!」


「―――レンガの為の生贄だ…。ハッハッハ!!!」


レンガウーマンがエクサタの腹にレンガをぶち込み、

エクサタの腹の肉が全て吹っ飛んだッ!!


「………!―――ッッッ!!」


「まずは一匹……」


「なあッ…!!エクサタッ……まさかやられたのか……!?」


「すべての人間の墓標をレンガブロックにしてあげる…

 次は貴方の番よ


 ―――グギャ!!!」


ドンゴン!!!!

ニーズエルがレンガ・ウーマンの顔面を蹴り上げその身体を吹き飛ばし、

顔面を掴み走り出す!!!


「チッ……アンタの相手はこの私よッ!!!」


「ニーズエルッ……く…エクサタは…」


「シルバー!!気絶しているがエクサタは無事だ!!

 お前さんも彼の異常なまでの再生体質は知っているだろう!?

 お前はニーズエルの方に行ってやれ!!」


「エクス…!」


シルバー走り出す!!!そして携帯端末を取り出す!


「もしもし睦月―――奴の位置は蟻で把握しているな!?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「その程度のパワーでこの私をいつまで掴んでいられると思っている?」


頭を掴まれているレンガウーマンが左手を振り上げ、

ニーズエルの掴む手に向かってそれを振り下ろす。

しかしニーズエルは手をはなしそれを華麗に回避する!!!


「自分の頭まで破壊するつもりッ…!?」


「ドラゴンか…まず貴方を血祭りにあげましょう。」


「ニィィ―――ズ!!」


シルバーが二人に向かって叫ぶ


「シルバー!」


「ゴミ虫が死にに来たわね…

 さぁ!!ゲームエンド!!

 ここが貴方達の死に場所よ!!」


「フン!死ぬのはお前だ―――エクサタをあんな目に合わせやがって……

 シルバーは下がってて!こいつはここで始末してやる!」


「まてニーズ!!敵の能力は未知数、直接戦おうとするな!!」


しかしニーズエル話を聞かずにレンガウーマンに突撃する。

レンガウーマンも又、ニーズエルに突撃する。


「くたばれッ!!!」


ニーズエルが右手の鋭い爪でレンガウーマンを引っ掻くが、

……当たらない!


「なっ………消え、消えた……」


ニーズエルの後ろにレンガウーマンが出現する。

そして、レンガを振り下ろし始めた……


「背後に瞬間移動しただと!?ニーズエル……うし……」


ドンゴン!!!!

ウーマンがニーズエルの背中にレンガを振り下ろした……!!!しかし…


「なに―――打ち砕けない…?」


「銃弾ですら傷一つ突かないこの鋼鉄の鱗に、

 アンタのレンガなんて通用しないさ。」


レンガウーマンが左手のレンガをニーズエルに向かって振り下ろす!!!

しかし命中するよりも早く

ニーズエルが逆立ちの耐性になって、レンガウーマンの顎を蹴り飛ばす!!!


ごぎゃッ!!レンガウーマンは首の骨が折れたようだ!!!


「ヤー…!そしてやっぱりこの私より数段鈍いぞ、そのカースアーツ…

 アタシの『ドラゴニック・エンゲージ』の下位互換だ。」


「ニ、ニーズ…」


「フッ…何か言ったか、シルバー?」


「~~!無駄話してないでさっさとトドメを刺せ!!!」


「フン…でも首の骨を折ったんだよ?二度と立ち上がれな……!?」


ゴギャゴギャゴゴゴゴガ!!!!

骨と骨がぶつかる衝撃音を鳴り響かせながら、レンガウーマンの折れた首が

元通りになっていく。


「な―――クソッ!!!とどめだくらえ!!!」


ニーズエルが左腕を振り下ろす!!!


「ドラゴン……ドラゴンの鋼鉄の鱗………?」


レンガウーマンの両手に持つレンガが、赤いイナズマを帯び始める。

そしてその瞬時……


シュバゴン!!!!!


「え―――――――――――――」


ニーズエルの左腕………ひじから先が、宙に舞っていた。


「そんなものよりレンガの方が強いに決まってる。」


「あ………ああああああああああああああああああああああ!!!!!!

 ぐがあああああああああああああ!!!!!!!」


腕を失った彼女が、あまりの痛みにその場に倒れ、転がりまわる……

そしてシルバーが駆けだし、彼女の下に向かう!!!


レンガウーマンレンガをシルバーに向かって投げる!!!!

それをシルバー横ステップで華麗に回避!!!!


「フン……この程度のスピード……!!」


ドンゴン!!!


レンガが地面を跳ね返り、シルバーの脇腹に直撃し、えぐった!!

跳弾ならぬ跳煉瓦だ!!!!


「グッ……!

 なんだと!?こいつ……私の移動位置を計算して、投擲した

 レンガを地面で反射させぶつけやがったというのか――――――!!!」


「シ、シルバー!!!


 馬鹿な……!!!なんで……!?さっきはそのレンガ……

 私の鱗には通用しなかったのにッッ……」


「馬 鹿 な … … な ん で で す っ て ?

 現代の低脳は"そんな"事も知らないのォォォォ~~~~~~~~~~????」


レンガウーマンの声が鳴り響く!!!


「人間は―――世界の万物を支配する最強の動物……

 誰もが認める世界中の動物の中の頂点に立つ…霊長類だわ………

 

 だけどそんな人間様にも、強弱問わず―――一つの共通した弱点が存在した。


 それこそが

 |   丶  .┼┐″

 |_ノ _ノ ノ ノ.  よ。


 すべての人間は―――――レンガで後頭部を殴れば……死ぬ!

 どれだけ筋肉を鍛えても死ぬ!!どれだけ頭が良くっても死ぬ!!

 どれだけレベルを上げてもレンガで後頭部を殴れば死ぬ!

 大統領も総理も天皇も法王もレンガで殴れば頭蓋骨が破壊される!

 人に形の似た猿も当然死ぬ!

 全て人間はレンガで殴れば死ぬ。破壊される。

 

 人はその高度な知能で全ての動物、植物を支配した!

 でも、その人もまたレンガに支配されている…

 即ち、生物のカーストの頂点……万物の王は霊長類人間ではなく…

 建築資材レンガなのよ。」


「キチガイめ……」


レンガウーマンがレンガを振り下ろす!!!!


しかしビッチョオオオオ!!!

ニーズエルの腕から出る血液が、レンガウーマンにかかりまくる!!


「こんな痛み……!!たかが腕を失った程度だッッ……!

 エクサタ君はいつも、私の為に腕をのこぎりで切断してくれるッ!!

 だからッ……これしきの事で……これしきの事でええええええ!!!


 シルバー……ッ!!!準備は良いな!!!!」


「ああッ!!」


「「『石の旅<ストーン・トラベル>!!!』」」


レンガウーマンが石化したニーズエルの血で体の動きを固定され、

バランスを崩!!!!!!!!!!!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


ドキュン!!!!!!!!

ニーズエル右手をレンガ・ウーマンの腹にぶち込む貫通させる!!!!


「ニ、ニーズ!それはマズイ、またレンガを撃ちこまれるぞ!!」

「奴がレンガを撃ちこむ前に殺せば

 終わりだアアアアアアアアアアア!!!!!」


「私はレンガウーマン。

 レンガが人の上に立つというのならば私はそのレンガの味方に付こう。

 レンガで人間の後頭部を破壊しましょう。


 すべての人間を恐怖に陥れてあげましょう。」


レンガウーマンが左手で握っているレンガが、赤いイナズマを帯びる。


「ー―――――――――――!!!!!!」


ニーズエルの右手が切断される!!!


「ニィィィ――――ズッッ!!!」


「がああッ…!

 馬鹿な……さっきよりスピードが上がってッッ……!!!

 こいつ……戦いながら成長しているのかッ…!?」


「だから……レンガで殺すわ。

 男をレンガで殺す。女をレンガで殺す。老人もレンガで殺す。

 子供もレンガで殺す。赤子もレンガで殺す。ついでに猿もレンガで殺す。

 天才も無能も英雄も一般人も資本主義も共産主義も!

 全員恐怖しろ!恐怖せよ!恐怖したな!死ね死ね死ね死ね!!!!

 煉瓦<レンガ>!煉瓦<レンガ>!煉瓦<レンガ>!」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

 死ねええええええええええええええええええ!!!!!!!」


ニーズエルが両足に渾身のエネルギーを込め、全力の蹴りを連打!

レンガウーマンをバラバラにする!!!!


「ニーズ!!立てるか!!」


「アハハ……両腕は失っちゃったけど……

 ちょっと……血を失いすぎて……頭が――――」


『全ての人間をレンガで殺すまで、レンガ最強説を証明するまで、

 私は死なない……』


レンガウーマンのバラバラ死体が一か所に集まって合体しようとしている。


「なん……だと……」


「どいてシルバー!!!」


「なっ……ニーズ!!」


「再生するというのなら……細胞の一片も残さず―――蒸発させるッッ!!!」


ニーズエル口から火炎のブレスを放出し、あたりの肉片を焼き尽くすッッ!!

しかし再生するスピードがあまりにも速く、肉片が合体し、

レンガウーマンのシルエットが現れた!!


「く……くそ……!!!」


『アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!』


「いや、諦めるなニーズ…そのまま炎のブレスを吐き続けろ……」


「えっ…」


「奴はまだ再生を完全には終えてはいない……」


ガッ……ガッ……!!

「何よ…コレ……体のちぎれた断面が……石化して……」


「ストーントラベル……

 ニーズがバラバラにした貴様の体の断面を石化した…

 今だニーズ!!焼き尽くせ!!!」


「ウオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーッッ!!!」


「ぬぐああああああ!!!

 溶ける!!私の体が!!いや―――それどころか、蒸発する!!!!

 まるで霧のように!!!まるで水蒸気のように!!!!

 しかし――――!!しかしアー――――――――――――ッ!!!!」


マッレウス・マレフィカルム日本支部『三羅偵』

探偵レンガ・ウーマン(黒霧 四揮)―――――――――――――完全消滅。


「ハァ……ハァ……終わった……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――AM11:15 廃デパート2Fショッピングルーム跡地。


睦月にとってその光景は地獄絵図――――そうとしか言いようが無かった。


エクサタは、腹を抉られた。

再生するという特殊体質の為…死んではいないが、意識が朦朧としている。


エクスは左手を破壊され、モノを持てなくなった。


シルバーは脇腹をえぐされ、未だに痛むようだ……


そして何よりニーズエル…彼女は両腕を完全に失ってしまった。


後方に控えていた自分だけが無傷……その事実が睦月の心を痛めつけた。


「わ、私はその………」


「睦月……別に気に病むな。

 無傷の者がいただけでも、我々にとっては幸運だ。」


「でもシルバー…」


「私達を哀れに思うのなら、蟻を出して、周囲をしっかりと見張れ。

 それがお前の今の最良の道……」


「わかった……」


暫くすると―――両腕を失ったニーズエルが立ち上がり、

意識朦朧としているエクサタが落ち着くよう、そっと身を寄せた……


「これじゃホントの化物だ……ドラゴンじゃなくてワイバーンだよ…

 エクサタ……君の意識が戻ったら、驚くかな……」

「…………」


エクスは左手に包帯を巻き、失血を抑えて、普通に立っている。


「しかし……奴を直ぐに倒せたのは……我々にとって幸運だったな…

 奴は戦いの中で成長していた、あれ以上強くなっていたら……

 私達にはどうする事も出来なかっただろう。」


「なぁシルバー……私達、これからどうするんだ……」


「エクサタの意識が戻ったらここを出て、別の場所へ移動する。

 この場所はもうあの煉瓦女経由でマレフィカルムの連中に

 バレているだろうからな。」


「そうか……」


バリィィィ――――――――――――ン!!!!


「窓が割れる音……!?睦月!!」


「ああ、今2Fの窓から誰かが侵入してきた!!

 あの顔――――まさか!!!


 マッレウス・マレフィカルム日本支部 ID.001

 グレトジャンニだ!!!!まずい!!


 こっちにまっすぐ向かってくるぞ!!!」


「グレトジャンニだと……三羅偵の次点の実力者で…

 探偵王百賭の側近!!くそ―――

 お前のダークウォーカーでなんとかできるか!!!」


「い、いや、それがダメなんだ……

 アイツ………宙を飛んで移動している!!!!」


「何ィィィーーーーーーー!!!」


シュバッッッ!!!!


グレトジャンニがシルバーたちの前に立ちはだかる!!!


「ほほほ………いますなぁいますなぁ。」


シルバー銃をグレトジャンニに向かって撃つ!!

しかし銃弾はグレトジャンニの正面で制止する!!!


「『マイティ・ウォール』―――」


グレトジャンニが、シルバーたちに指を刺しているそして

人差し指につけた骸骨の指輪が光っている………


「この指輪をはめた指が刺した方向に壁を創り出し、

 向かってくる物質のエネルギーをゼロにする能力。

 その気になれば重力や音、光であろうとゼロに出来る。

 フフフ………お前たちは私の方向に向かう事は決してできない!!」


「貴様……何のつもりで……」


「―――クックック!

 お前に会いたいというお方がいる。」


「何……?」


VOOOOOOOOOOOOOOOO――――――――


トコン……


「クックック………怪盗シルバー、生で見るのは初めてだ……」


「お、お前は……」


そのシルエット……その声………

シルバーの心臓が高鳴る……


VOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO――――――――


それも当然だ……なぜならそいつは………

その美しいシルエット……


銀髪に赤色の瞳。身長は162㎝ほどか。

純白のメイド服をサイバー系のデザインにしたような恰好をしており、

全身からは並々ならぬ帝王の闘気を放っている。


俺達はこいつを知っている!!!!この王を知っている!!!!!


「乱世探偵冥王・夜調牙――――百賭アア――――――――ッッ!!!」

「シ……シルバーッ!?」


-―――運命の逢うの瀬――――


シルバーが百賭けに向かって突っ込む!!!

しかしそれはグレトジャンニのマイティガードによって制止される!!!


「想像通りだ、この私の姿を見たら必ず突っ込む、そう思っていたよ。

 だが、今の俺は日本天才最強の者達が生み出した科学力によって映し出された

 3Dヴィジョンだ―――ここにいるが、ここにはいない。」


「百賭―――君は……」


「フン!怪盗エクス・クロスか―――

 どうしたその眼は……泣きそうになっているぞ…?」


「どうして狂った!!

 昔の―――昔のお前はこんなとんでもないことをする人間では無かった!!!」


「クックック……ここは俺以外アホしかいない空間のようだな。

 狂った…?違うな―――正義が極まったのだよ。」


-――――――――ハハハと百賭けが笑う。


「極まっただと―――それがお前さんが目指す

 …『絶対正義』というモノなのか!?!?

 調べ上げたぞ―――!お前さんはその地位を手に入れるまで、

 様々なマッチポンプや不正、違法行為を無数に行ってきたことをな!!!」

「フン…笑わせる…何が絶対正義だ。

 正義であるならば、ロンカロンカやレンガウーマンのような怪物を

 生かしておくはずがない!!」


「今の言葉で私を論破したような気でいるようだが、実は論破できていないぞ。

 クックック…そう正義…それは文字通り正しさ。

 そして、絶対正義とは…すべての霊長族に認められし正義………

 何物もこの私を正しいと疑わず、私が悪と断じればそれを悪と断じ、

 私が死ねと言えば死ぬ。


 クックック…私が不正を行ってきただと?それが如何した?

 まぁ広めても構わんさ―――社会のゴミである回答が何を言おうと…

 誰も信じない!」


-――――――――ハハハと百賭けが笑う。


「―――クッ…」


「それとレンガ・ウーマンを殺したと言っていたな?

 どのように殺した?」


「炎で完全消滅させてやったよ、文字通り……"跡形"もなくな―――」


「跡形も無く完全消滅させた―――?クックック…その程度か?」


百賭けとグレトジャンニがにやりと笑う。笑顔が絶えない。


「何を―――」


「シルバー!!!みんな!!!大変だッッ!!!」


「なんだ睦月!!!!!」


「黒百合―――!!お前たちがレンガウーマンを蒸発させたあの場所に

 黒百合が咲き始めて―――人の形に―――!!!」


「な………なんだとおおおおおおおおおお!!!!」


-――――――――ハハハと百賭けが笑う。


「完全消滅?ハハハハ!!!笑わせるな!!!

 あの女を普通の探偵と一緒にするんじゃあない!


 それに完全消滅程度で死ぬのであれば、

 我々は40年間、全財産の1/5をつぎ込んで彼女を封印したりはしないッ!

 

 教えてやろう!!奴こそマレフィカルム最強―――!

 "最強"の探偵にして"最強"のカース・アーツ使い――――三羅偵!!!」


「黒百合が―――あの女の形にッッッ!!!!!」


復活する―――――――――――――



-―――――――――――



         <おうさつき>

         「鏖殺鬼―――レンガ・ウーマン!」

         <ジェノサイダー>



                 ――――――――――――――


「な―――な――――――!!」


「さて、奴が蘇るとするなら我々に残された時間も少ないな……

 グレトジャンニ……仕事を済ませろ!!!」


「百賭!!!!」


グレトジャンニが走ってきて、マイティ・ウォールの壁にシルバーが押される!!


「DDFだけがこのマイティ・ウォールを

 通り抜ける事を許可するッ!!!」


シルバーのポケットの中からDDFが出てくる


トコン…!トコン…!!

来る…グレトシャンニ来る……


  ノハヽヾ

 │〇-○川

  │ 皿 川 『私は貴方に』

 │ ω 川

  `\_/


  三三三三三三三

 /::/ ---- 川

/::/ <----> 川

│::│..== ミ  /== ミ 川

ハ│、●ノ── 、, ノ 川

│ │   ││    川 『近づきます…』

 V  /││\  川

 ハ イ ゝ-' _ //

  \   ̄ ̄=ァ /

   ヽ    イ 

                                  [挿AA]


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「シルバーなんとかするんだ!!!!」


「駄目だッッDDFが奴の能力の壁の向こうに!!!」


DDF取られた!!!


「取ったぞ――――――――――――――!!!!!!!!!」


「クックック!これでDDFは5つ揃った!!

 宝石店にわざとDDFを置いておびき寄せるまでも無かったな!


 願いを叶えてやるぞ!!

 『すべての人間が、この私を絶対正義と崇めるようにしろ』と言う願いをな!

 ハーーーーーーハッハッハ!!!!!!!!」


百賭の3Dビジョンが消える。そして、

グレトジャンニ、マイティウォールを発動させながら、後ろ向きに跳ぶ!!!


「マイティ・ウォール!!私に掛かる重力をゼロしろ!!!!」


グレトジャンニ、空中で腕を組んで等速直線運動し、入った窓に向かている!!


「今奴は重力を無効化するために指輪を下に向けている……

 ならば銃弾を防御することは出来ないはずだ!!」


ワン!ツー!スリー!フォー!ファイブ!!

シルバー5発銃弾を撃つ!!!全発命中するが、グレトジャンニは怯まない!!!


「呪増酒を飲んでおります。

 故にそれだけ離れた距離から撃つ銃弾では致命傷には至らないようですな。

 瞳を石化されてしまいましたが……まぁ大したことは無い。」


「トランプ.PNGッ!!」

エクスの投げたトランプが、グレトジャンニの右腕を切断する!!!

しかしグレトジャンニは怯まない!!!


「勝ったあああああああ!お別れです!!!」



グレトジャンニが退場する……


「な、なんてことだ―――DDFが………」


トコン……トコン……


レンガウーマンの足音が鳴り響く。


「みんな、あの煉瓦女がいま2階に上がってきた。

 こっちにまっすぐ進んできている。」


「あ、ああ、分かった。しかしどうする……」


シルバーがその場に倒れこむ…


「シ、シルバー…御前さん…」


「ク……クソ……またか………また私はDDFを奪われたのか……」

「シルバー落ち着いて……」

「む、睦月……」

「まだ奴らは願いを叶えたわけじゃない。私たちはまだ負けてはいないんだ。」

「負けてはいないって……負けたも同然だろ……!!」


「―――――落ち着いてくれ、まだ…勝機はあるんだ。」


エクスが睦月を見ている…


「……」

(睦月くんのこの表情…なんだ…こんな絶望的な状況の中で、

 希望を持った眼差しをしている、それに汗一つかいていない。

 ……何か、考えでもあるのか?

 この状況から逆転できる考えが……)


「わかった…すまない…ふて腐れて。

 取りあえず―――あのレンガウーマンをどうにかしないと……

 でも不死身の敵なんて―――――――」


「何か、弱点があるかもしれない。」


シルバーの背後から、ニーズエルの声が聞こえる。

ニーズエルは両手を失っていて、

起き上がったエクサタにその身体を支えてもらっている。


「弱点―――だと?」


「うん、アイツの能力『イリーゼの恐怖<イリーゼ・フィアー>』は、

 『自己強化特化型』だ―――――――。

 そして『自己強化特化型』のカースアーツは……

 弱点があるケースが非常に多い。」


「たとえばどのような……」


「吸血鬼に変身できる『自己強化特化型』のカースアーツ使いを知っている。

 そいつは、本物のノスフェラトゥと同じで、日光を浴びると死に、

 流れる水を渡ることが出来なかったとかなんとか……


 私の場合は―――酒に弱くなったな。

 酒を飲むと、一発で酔っ払って寝てしまう…。

 なんかの童話か神話のストーリーで、ドラゴンを酒で酔っぱらせて倒すって

 展開があった筈なんだけど、多分カースアーツの材料になった死者の怨念が、

 それの影響を受けていたんだと思う。」


「―――成程、だが…そうだとすると、あのレンガ・ウーマンの弱点は何だ…?」


「わからない。あくまで余談だからね。

 実際に弱点が無い『自己強化特化型』のカースアーツ使いもいるし、

 レンガ・ウーマンもそれかもしれない。」


「……成程な。」


エクス少し考え込む…………

「…」

(――――弱点……弱点か――――

 何か、見落としているような気がするぞい―――)


「みんな!奴との距離100m以内だ!」


「―――ッ!!マズイ……

 どうやってこのショッピングルーム跡地から脱出するッ!!」


瞬間!!エクサタが背中から剣を取りだし、天井を斬りつけ円を描く!!

すると―――なんという!!斬りつけた場所が輪っかの形に光り輝き始めた!!

エクサタが後方にステップすると同時に、輪っかの光から衝撃斬が射出……

地面を輪っかに切刻み、1階とつながる穴が出現する。


「………(コク)」


「でかしたエクサタ!!!!」


5人全員穴から下に移動して走り出すッ!!


瞬間!!!2Fから大きな音―――ドンゴンが聞こえる!!!!


そして―――更に―――ドンゴン!

ドンゴン!ドンゴン!ドンゴン!ドンゴン!ドンゴン!


「この音――――アイツ、壁や天井をレンガで破壊しながら

 進んでいやがる―――――!!!!」


「ま、まずい、こっちに向かってきているよ!!!」


しかし――――――

静寂が訪れた―――――


睦月とシルバーが背中を合わせる。


「な―――止まった……」

「ゆ、油断しないで睦月………

 アリで敵の位置を確認して――――」


「わか――――ッッ!!」


「どうしたんだ睦月!!」


「アイツ、私達とは別方向に向かって走っている……何をするつもりだ……」


「………そのまま観察を……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

廃デパートの外。


親とその子供2人、そしてペットの犬が歩いている。

5歳ほどの双子の姉妹だ。


「あの殺人鬼は、人のいる家や人の多い場所を狙っている………

 公民館なんかには避難なんてできないわ……

 交通機関も乱れているし…――――

 恵、彼方、私の側から離れないでね。」


「レンガはいかが?」


3人の目の前に、2m30㎝の巨影が現れる。

両手にはレンガを持っている。


「あ―――――――――――――――――……」

「あっママ……ママッッ怖いよッ……」

「もし……もしかし………」

「キャンキャンキャン!!!」


「レンガの恐怖に怯え逃げ惑う……やはり人間はレンガ以下………」


「た、助けてください!!!私はどうなっても良い―――!!

 だから、子供たちだけは!!!」


「そして恐怖をやり過ごし―――

 明日から何気ない幸せな日常を過ごしたいと思っている……

 過ごせると、いいわね。」


「うわーーーーーーー!!!」


恵と彼方そしてペットの犬が逃げる……


「舐めるなッッ!!!私はレンガを頭に打ちつけられて死んだんだッ!!!

 私が死んだのに貴様らに幸せになる権利など有るものですかッッ!!!

 私と同じ苦しみを味わいなさいッッ!!!」


レンガウーマン母親を無視して子供たちに向かう!!!


「やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「お嬢ちゃん―――飴はお好き?

 でもレンガはもっとおいしいわよ!!!」


ドンゴン!!!!

二人の頭が爆裂する!!!


「ああああああああああああッッ!!!!恵ィィーーー!!

 彼方ァァー―――!!!」


「キャンキャン!!」


犬がレンガウーマンの脚に噛みつくしかし、レンガウーマンは微動だにしない!!


「アー―――ハッハッハ!!!レンガ以下の人以下の犬だわ!!!

 存在が哀れェェェ――――!!!」


ドンゴン!!!!

犬の首が吹き飛ぶ!!!


「ハハ………ハハハ――――ハッハッハ………!!

 ハー――ハッハッハ!!!!!」

「いやあああああああああああああああ!!!!」


レンガウーマンが母親の背後に瞬間移動する。


「逃げようともしないか………

 カス、どうしようもないカス。」


バンゴン!!!


レンガウーマン両手のレンガで母親の頭を挟み爆裂させる!!!


「殺す。すべての人間をレンガで殺す。

 その為に私はDDFが欲しい……

 この手で殺しつくしてもいいけど……。その方が楽よね。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

廃デパート、2Fガレージ。


「あ、悪魔……奴は悪魔だ……!」

睦月ビビる!!


エクスが考え込む……

「私はレンガを頭に打ちつけられて死んだ………か。

 奴の目的は復讐か。

 復讐……弱点……そして……

 あの四揮、レンガウーマンに変身するとき確か…

 『百賭様、私を殺せるのは貴方だけなのですから』と言っていた!

 まさか……まさか…」


「あ、アイツが――――まっすぐこっちに向かってきている!!!」


5人が走りながら、車のある場所に向かっている。

睦月の車と、エクスの車がある場所だ!!


「急げ!!策も無しに戦える相手ではないわ―――

 退く……いったん退くのよ!!!」


ドオオオオン!!!!!!!!!


「あ―――――――!!!」


地面を突き破り、レンガウーマンが現れる。


「この私が完全消滅しただけで死ぬと思っていたのかしら~?」


5人がたじろぐ―――


「………!……!!!」

「どうする……どうする……」

「睦月、エクサタ…アタシたち、ここで終わりかもね……」


「シルバー……一つ、言いたい事がある。」

「こんな時になんだエクス……」


「お前さんとの約束、守れんかもしれんわ。」

エクス走り出す!!!


「な――――エクス!!アンタ!!」

「エ、エクスさん!?!?」


「レンガ・ウーーーーーマァァァァアアン!!!!

 貴様の弱点……見切ったァァァァーーーーーーーーーーー!!!」


レンガ・ウーマンがエクスの方を見る。

するとエクスは石を拾い自分の頭にこつんと当てるそして……

中指を立てた。


それを見たレンガウーマンの表情が険しくなる

「あの男……まさか……」


レンガ・ウーマンが全力でエクスを追いかける!!

しかしエクスは2階ガレージから身を投げ出す!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

岐阜県岐阜市――――上空


マレフィカルム所有戦闘ヘリ――――AH-64 アパッチ。


中にはグレトジャンニと若い探偵がいる……


「それにしても、あのレンガウーマンのカースアーツ

 何であれほど強いんですかね。」


「呪いの力……カースアーツにはその能力の強弱が存在します……

 そう、生前に強い呪いの力を持った者ほど……

 強いカースアーツになれるのです。」


「グレトジャンニさん……つまり――――

 あのレンガウーマンのカースアーツの元となった人間は、

 よほど強い呪いを持つ人間であったと…」


「そうです。」


「しかしあれほど強い呪詛を持っているとすると……

 ただの人間ではありませんよね。

 王家の人間だとか…生前に、死ぬ以上に辛い思いをしたとか……」


グレトジャンニがにやりと笑う


「……いや、そのどちらも違いますな。」


「なら、いったいどんな……」


「私たちは、あのレンガウーマンのカースアーツ……

 その生前の記録を解析し、それを実際に見たことがある。


 驚いたよ、彼女はごく普通一般家庭に生まれた

 14歳の少女で、死因はただ殺人鬼に、レンガを後頭部に振り下ろされただけ……」


「そ――――そんな!?

 おかしいです!!!

 不謹慎ですが……普通の一般人がレンガを振り下ろされて死んだだけで―――

 あれほど強い負の精神のエネルギーを帯びたカースアーツになるなんて!!」


「才能だよ。」


「え――――」


「才能だ。彼女には才能があった………恨みや呪いの才能がな。

 彼女は人を憎む天才だった。」


………


「恨みの………才能……」


「人を恨むのは、才能が成せる業だ。

 才能が無ければ、人を憎むことなど出来はしない……


 この世界には死ぬ以上につらい拷問を経たとしても……

 一片の憎しみを抱かない聖人がいる。

 肩をぶつけられただけで、その相手と家庭に異様な憎しみを抱き、

 家族全員もろとも焼き殺した異常者もいる。

 

 彼女は、レンガを頭に振り下ろされただけで――――

 世界中全ての人間を“本気“で恨むようになった……

 レンガで殺したいと思うようになった……ただ、それだけだ。」


「キチガイ……化物――――」


「裏世界にはびこる吸血鬼や人狼を肉体の怪物の最高傑作とするのならば………

 奴、レンガ・ウーマンは、精神の怪物の最高傑作―――!!!

 そりゃ強いですよ………誰であろうとあの異常を殺すことなどできはしない…

 ただ一人―――――"百賭"様を除いては!!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

廃デパート、2Fガレージからエクスが地に落下する!!

それを追うように……レンガ・ウーマンもまたガレージから飛んだ!!!


二人が落下する!!!


「大半の自己強化特化型カースアーツには弱点がある―――――

 前世でレンガで殺された―――――――

 百賭にしか奴は殺せない―――――――

 この3つのヒントが、私に答えを導き出してくれた!!!


 お前の弱点は……自分自身のレンガだ!!」


「知ってしまったわね……必ず殺すわ。」


「お主のそのカースアーツによって変化した異様なまでに巨大な姿は、

 生前、自分を殺した相手を模したもの――――


 そして百賭にしかレンガウーマンは倒せない……

 つまり百賭の能力はお主の弱点を確実につける能力と推理できる!!!」


「……」


「百賭の能力はその場の時を数秒間記録し、

 好きなタイミングでそれを再生できる能力ッ!!

 お主にとっては天敵よのう!

 自分のレンガを振り下ろす動きを記録され、

 それを再生されたら――――

 自分の弱点であるレンガの攻撃をもろに受けてしまうからなぁ」


「生かしておけないわ」


「最初からそのつもりだろう?」


レンガウーマンが瞬間移動し、ガレージの柱付近に移動する。

そして、ガレージの柱を下に走り抜け、エクスより早く地上に移動する。


「レンガをどうぞ……」


レンガウーマンがレンガを構える……


「待ち伏せかッ!?『PNG』!!!!」


レンガウーマンが振り下ろすが、

エクスは自分自身を平面上にすることでそれを回避する!!!


「………」


そしてエクスがレンガ・ウーマンのレンガを奪い取り右手に持つ!!!


「―――!!!」


「悪夢は終わりだ!!レンガ・ウーマン!!!!」


「『ドラゴニック・エンゲージ』……だったかしら……?」


レンガウーマンが口を大きく開く!!!

そして―――――


「ま――――まさかッ!?」


レンガウーマンの口から熱線が放たれ、エクスの体が両断される!!!!


「な――――――あ………ああああ!!!!!!!」


エクスが地に落ちる。


「それは……ニーズエルの……」


エクス………死亡。


「いや――――ハッ!!!!」


エクス気が付くと生きていた。

地面に寝そべっていた。


「ゆ………夢!?」


起き上がると眼前5m先にレンガ・ウーマンがいた。

そして………


「が、がああああああああああああああ体内のこの熱さ!!!

 夢ではない……!!私は先ほど確実にあの炎を……!!」


エクス体が焼けるように痛い!!!


「あんなもので死んでもらっては困るわ。

 トドメは必ずレンガで刺す。

 そう決めているの。」


「まさか―――――――――――」


そう……エクスは察した……

目の前のこの女が……自分をレンガで殺すためだけに自分を蘇生させたことを…


「ハァ……!ハァ……!!

 蘇生能力……!!本来自分が再生させるための能力……

 敵である私に使ったのか……!!この私の死因をレンガにする…

 そのためだけに!!」


「さぁ―――――レンガはいかが?」



(―――――…フン!!…そういう事か……ならばこの勝負……)





先に相手の頭にレンガをぶつけた奴が――――――――勝つ!!!!



――――――――――――――――――――――――――――つづく。











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