Episode3 怪盗と探偵のとある日常
「こーしてみると、ほんとただの黒い石だなぁ。」
DDFを手に入れた怪盗シルバーは、
拠点である鳥取の実家に帰還していた。
「なーんか反応見せてくれたらいいのになぁ、
願いを叶える石ってのは、やっぱ嘘っぱちかな。」
怪盗はヒトに明かせる職業では無い。(職ですらない。)
この世界には5000人ほどの怪盗がいると言われているが、
その殆どが、プライベートでは普通の一般人と変わらない暮らしをしているし、
身分を偽っていたりしている。
正体がバレれば、警察や探偵に命を狙われる危険性があるからだ。
無論、銀の怪盗シーフ・シルバーも勿論、プライベートでは怪盗であることを隠して生活している。
現在の彼女の戸籍上の名前は「プレイマー・グラン」。
プライベートでの彼女は、安っぽいTシャツに、安っぽい黒コート、
短パンに黒ニーソックス―――――――――
という、そこらのセンスのない男子中学生そのもののような服装をしている。
褐色肌、銀のショートヘア、銀の瞳等の特異な身体的特徴のお蔭で最低限の神聖さは保たれてはいるが…
(もう少し考えよう、何かある筈だ―――
パスワード、合言葉、それともどこか特別な場所に配置するとか―――)
うつ伏せになったシルバーは
足をバタバタさせながら、
床に置いたDDFをツンツンと突ついたり、
横方向にゴロゴロ転がったりしながらDDFの
謎を解く方法を精一杯考えた。
(うーむ…わからないな――――――
知人の力を借りるべきか…)
「よおッ-――プレム!!カステラあるけど食うか!?
糖分は疲れを解消するらしい…!
つまりカステラは疲労回復に抜群ンンンンーーーッッッ!!」
ドンゴン!!!!
急にシルバー部屋の扉が開かれ、銀髪の老人がシルバーの部屋に乱入する。
ちなみにプレムとは―――プレイマーの名前をもじった愛称。
プライベートでの彼女の知人は彼女の事をこう呼ぶ。
「ウワアアアアア!!!ノックぐらいしろジジイ!!!」
急いでDDFを隠すシルバー。
「悪いな…ところでいま何か隠したか?」
「怪盗やってる時に盗んできたとあるアイテムだよ。
詳細は教えない。アンタも怪盗だろ?知りたかったら盗んでみろよ。
プロメテウスじじい。」
「クックック!孫よ。相変わらず怪盗事業は盛況のようだな。大安心じゃ。」
プロメテウス・グラン
またの名を老獪の銀探偵―――『アルギュロス。』
シルバーの実祖父にして、怪盗歴70年のベテラン天才怪盗。
シルバーとプロメテウスの一族は、全員が怪盗だったらしい。
父も祖祖母のババアさえも…
「例え身内でさえ、怪盗としての正体は決して明かさない、それが私達のルール。」
「そうじゃな…ところでプレムちゃんや、
DDFという黒い宝石を知っているか?」
「知らん」
「??????????????????????????」
―――――――――――――――――――――――――――――――
怪盗の生き様は、自由。
風の赴くままに盗み、火の粉のように儚く消える。
しかしそんな自由な彼らにも掟やコミュニティは存在する。
その代表例が世界最大の怪盗組織「ウィザーズ」――――――――――
ロシア西部で結成されたおよそ400人程の怪盗が所属している秘密の巨大組織で、
シルバーやその祖父アルギュロス、無線のロルもこの組織のメンバーである。
―――――――――――――――――――――――――――――――
島根県JRネオ松江駅――――正面入り口付近
シルバーがタバコを吸いながら携帯端末を操作する。
「まだか~」
本日の彼女にはウィザーズのメンバーと、とある用事を済ませるという
用事があった…
「…!来たか!」
タバコを吸うシルバーの前に二人の人影が立ちはだかる。
一人は、黒スーツ黒いシルクハットを身に着ける長身の男、
もう一人は身長160㎝程の目つきの悪い女性。黒いフードを身にまとい、髪は青髪シロング。
しかも巨乳である。
「2年ぶりだな、シルバー。」
「ど、どうも…私は…4年ぶりか?」
「アンタたちは島根を根城とする凄腕怪盗、島風のおやっさんと
その娘睦月だな!」
「フッ、相変わらずあんまり成長してないな。
私の娘より身長が低いじゃないか。」
「弄るなや…ケッコー気にしてんだぞ…」
だがそんな事はどうでもよかった…
「で?私に何の用があるの?」
「公共の場で話すのはヤバすぎるしCARで話そう
――――――執事、リムジン用意!!!!!!!!!!」
ンキュップィイィィィ―――――ッッン!!!!
ドンゴン!!!
黒い車が意味も無く12連続のドリフトをかましシルバーたちの前に止まる。
そして12秒と言う時をかけて3人はリムジンに乗車する。
「―――――――――――私の娘だが、もう20歳なるんだ。」
「20歳、そういや睦月は私と同じ年だったね。」
「うむ、20歳なのだ…
もういい年だと思うんでそろそろ彼女には
我々のコミュニティ(ウィザーズ)の一員になってもらおうと思う。」
「島風のおやっさん――――睦月に…試験を受けさせるつもりだな?」
「いかにも…」
車内が凄くシリアスな雰囲気になる。
「キミには、コイツの試験官となってもらいたい。
身内の者では出来ないらしいからな。」
「死ぬかもしれないよ。」
「睦月は生まれた時から怪盗になるためだけに育ててきた。
いずれ私の後を継がせるためにな。
だからこそ、私は怪盗以外の彼女に存在価値は無いと思っている。」
「………わかったよ。」
「ボスは島根に来ている。試験会場はウィザーズ島根支部だ。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ウィザーズ島根支部
島風はリムジンに残り、睦月とシルバーは試験会場へと向かう。
「………」
「睦月、大丈夫か?顔色が悪いようだが…」
「怖いんだ…」
「命を落とす事が?」
「違う…私が怖いのは、期待を裏切ること…」
「期待か…」
「私は今まで…この20年間ずっとパパに怪盗として育てられてきた…
そう、"20年"…とても長い時間だ…
私がここで失敗したら…パパのその20年間は無駄になってしまう…
それがとてもいやなんだ…私、失敗したらどうすればいい?」
シルバーが睦月の腕をぎゅっと握る。
「あっ……」
「睦月。そんな事は考えるな。
怪盗ならポジティブ思想だ。」
シルバーが睦月を慰め始める。
「私はこの試験を10歳の時に合格し、怪盗シルバーとなった。
当時はとても辛い試練だったし、死ぬかとも思った。恐怖だったよ。」
「…」
「それでも試験合格出来たのは、きっと…前に進もうとする…
闇を切り開こうする強い意志をずっと持っていたからさ。
睦月、後ろを見るな―――ネガティブな心は、100%を0%に変える。」
「私、試験を合格して…いい怪盗になれるかな?」
「少なくとも、君のお父さんはそう思っているよ。」
「そうだよね、パパは期待して私をここに送り込んだんだから…」
二人は――――支部の門をくぐる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
試験は始まる。
試験の内容は――――6つ。
1.誰にも見つからず、マンションの屋上まで上るスニーキングテスト。
2.怪盗学力テスト。
3.見えない殺人レーザーを6分間全て回避するテスト。
4.トラップだらけのダンジョンから脱出するテスト。
5.面接。
6.後で明かそう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
まず
1.誰にも見つからず、マンションの屋上まで上るスニーキングテスト。
2.怪盗学力テスト。
だが…これを睦月はなんなくクリア。
20年間の努力を積み重ねた睦月にとってこの程度はお遊び同然だった。
次は3.見えない殺人レーザーを6分間全て回避するテスト。
一発のダメージが命がかかわるテストなので、睦月はかなりビビっていた。
「キャッ……!!」
睦月の右手小指がレーザーに切断される
「うっ……怖い…怖い…!!!パパ…!!」
「睦月!!レーザーの焼ける匂いと温度、そして気配を感じ取れば
この程度お前にとっては楽勝の試験の筈だ!!
がんばれ!!」
「ハッ!!!!!
う―――――――――――うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
そして6分の修羅場を潜り抜け、睦月はこれを無事にクリアした。
「応急手当て終わり、切断された指は氷で冷やして保管しておくよ。
試験が終わったら、無免許医に頼んでくっつけようね。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
4.トラップだらけのダンジョンから脱出するテスト。
これは難なくクリア。
5.面接。
ただの面接では無い。
他の会社の面接会場にいる就活生と入れ替わり、最後まで面接官にバレずに
面接を受ける試験。
所謂――――変装の試験だ。
「変装は完璧…問題点は…この切れた指だな――――」
「次の方どうぞ―」
「ハイ!!!」
ドンゴン!!!
睦月が扉を蹴って面接会場に入る。
「頼もう!!!!!!!!!
うっ――――これは!!!!!
この雰囲気は―――――!!!!」
圧迫面接!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「絶対にバレる…!!どうすればいい…!!どうすれば…!!」
「あっ、君マナー違反だから不採用ね。もう帰っていいよ。」
「あっはい」
(危ない危ない…どうやらドアを蹴って入ったのがプラスに動いたようだ。)
5.面接合格!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
そして、6つ目の試験が始まる…
「最後の試験だ…いったい何をさせられるんだろう…」
「ついにここまで来たね…」
「シ、シルバー!?まさか…最後の試験って…」
「この砂時計の砂がすべて下に落ちるまで(3分間まで)に…
…この私と素手で戦って、
一撃でも私にダメージを与えれば合格…そういう試験よ。」
(―――シルバーは…私より身長が低く小柄だ…
いける!)
「じゃあスタートだ。」
ビュオン!!!!!!!!
睦月の視界からシルバーの姿が消える。
「消えた!!!!」
「縮地…これが怪盗の力だ。そしてアッパーを一発かまさせてもらおう。」
ドンゴン!!!!
「どわあああああああああああ!!!!!!!」
睦月の下方から突然現れたシルバーのアッパーが睦月の顎を砕く!!!!
「ぐ…めまいがする…
それにしても…ボクシングの技術に縮地を取り入れたとでもいうのか…!!
あのマイク・タイソンのように…」
「遅い!!!」
「うっ…!!!!」
ドンゴン!!!!
シルバーの回し蹴りが脇腹に炸裂し、睦月はダウンする!!!
ドス!!ドス!!!
そしてシルバーが倒れた睦月を蹴り続る!!!
「どうした!!!!!!!!!!!!!
その程度では怪盗にはなれんぞ!!!!!!!!!!!」
「………私は怪盗に……なる!!!」
「むっ…この動き…!!!」
スウウウウウ
睦月がシルバーのトンファーキックを受け流す!
スウウウウウ
「合気道…か。」
「シルバー…次の一撃で決めるよ」
「来い!!!」
「うぬおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
睦月はシルバーの攻撃を合気道で受け流し…
そして!!!そして!!!!!
「死ねえ!!!!これで終わりだあああああああああああ!!!!!!」
グギャッッ!!!
睦月の飛び蹴りがシルバーの顔面に直撃!!!!
「ブッ………!!!」
シルバーが鼻血を出し膝をつく。
「はぁ――――はぁ――――
シルバー…今のは?」
「――――――い、いってぇ………認めてやるよ。合格だ。」
「や、やったーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!
あっ――――」
「!」
疲労しきった睦月があおむけに倒れる。
そして涙を流す…
「うっうう…」
「だ、大丈夫!?」
「…うん…私本当に…怪盗になれるんだね…」
「ああ、合格おめでとう。睦月。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ウィザーズ島根支部、真・光の間。
「ハッ……」
シルバーにおんぶされていた睦月を眼を覚ます。
「ここは…」
「真・光の間さ。ボスが君をコミュニティの一員として認めるための場所……」
「ボス…………」
「合格おめでとう睦月君。」
カーテン越しに男の声が聞こえる。
「この声…ボス!?」
「はい。」
「ボスウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥーーーーーーー!!!」
「さて、私がここに来たのは、君をコミュニティの一員として
認めるためだけではない…
あるものを授ける為に………」
「あるもの………?」
「君の右手側に黒い鏡がある筈だ。」
確かにあった…黒い…ドス黒い鏡が―――――――――
鏡は確かに私達の姿を映しているのだが
鏡に映ったその姿は…なんというか…色素反転―――
ネガポジになっててとても不気味だ。
「こ、これは…?」
「カース・ミラー<呪いの鏡>だ。
睦月君。とりあえずその鑑の面に手を突っ込んでみたまえ。」
「あっ………手が…中に入る!!!なんんで!?」
「手を握り、掴んだものを引き上げたまえ…力が……手に入る筈だ。」
睦月は強く手を握り締めると…なんかヌメヌメした棒のようなもの掴んでしまう。
そのままボスの命令通りそのヌメヌメしたものを引き抜くのだが…
「えっ……あれ…ないぞ!」
「いや、手に入れたようだ。」
「うっ――――――――」
睦月がたぎっている!!!黒くたぎっている!!!
なにかヒトならざる力を手に入れたような感覚がそこにあった!!!
そのまま睦月は本能がままに自らの両腕を目の前に差出し、
力を込める……すると……自分の影から紫色のアリがわらわら沸いてくる…
「こ、これはまさか―――!!」
「それがプレゼントだよ。
カース・アーツ<呪いの技術>と呼ばれる超能力だ。
コミュニティに入った者には、
必ずその"能力"を身につけて貰うようにしている。」
「これが…私のカースアーツ…
あ、ありがとうございます!!ボス!」
「ではさらばだ。君の今後の検討を祈っている。」
パチン!!
「あ、あれ…ボス…消えた!?それにあの鏡も…」
「あれがボスの能力だよ。詳しい能力の詳細は私も知らないけど。」
「それにしても…陰から紫のアリかぁ。
もっと炎を出すとかそういうシンプルな能力が良かったけど――――
まっシルバーの石化よりは使いやすそうだからいいか。
あれは水中戦特化の能力だからね。」
「フッ、面白い事言うね。
じゃ、なんならここで私と戦ってみる?」
「いいね。丁度能力のテストがしたかったところだ。
いけ!!!アリ共!!!!」
アリが超スピードでシルバーに接近する!!!!!
「はい瞳の粘膜石化」
「ぎゃあああああああああああああ何も見えないいいいいいい!!!!!!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
時は夜になり……シルバー、睦月、島風の3人は島風と睦月の家に来た。
外見は和風だし、中身も和風の広い家と言ったところだ。
そして…
天ぷら!!!!!!ラーメン!!!!!!
寿司ィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!!!
睦月の合格祝いに、3人が一つのテーブルで豪華料理を食べまくるッ!!!!
「フ…娘の合格祝いだ…!!!食いまくれ!!!!
腹が妊婦みたいになるまで………!!!!!!」
「セクハラで訴えんぞ島風のおやっさん」
「怪盗がセクハラで捕まるわけがなだろう!」
「アハハハハハ」
―――――――――――――――ギュン!!!!!
「殺気………!?」
ドン…ドン…
「何だおまえッ!!………ぐうう!!!!!!」
執事の悲鳴が聞こえる。
ドン…ドン…
「まさか…」
「1年3ヶ月…日数にして400日を越える推理……
そしてようやく答えにたどり着いたぞ………
いたな、島根県を根城とする怪盗島風とその娘。」
「貴様!!!!探偵か!!!!!」
「如何にも。私は島根県で一番の探偵―――凶良 たけし……。
島風!貴様を殺せば依頼主から
1000億ドルの報酬を支払ってもらう事になっている!
ココで死んでもらうぞ!!!」
凶良 たけし……180㎝の大男、金髪でサングラス…
スーツ姿のガラの悪い探偵だ。
「なるほど…私達の居場所が推理されてしまったか―――
だがな…運が悪かったな……今日ここに怪盗は私一人だけではないんだ…」
「怪盗シルバーか……だが。」
ドッ!!!
探偵凶良が睦月のいる場所にジャンプする!!!
「なっ――――」
「フフ…一目で推理したぞ…島風の娘…アンタ疲労でロクに動けないようだな。」
「う……ああ………!!!」
「まずは貴様からだ!!!島風の娘ェェェ―――!!!!」
凶良のアイアンクローが睦月に迫る…しかし!!!
「ぐ…ぐふっ…睦月…大丈夫か…?」
「パ…パパ……!!!」
「貴様が睦月を庇う事は想定済みだった…
だからこそ睦月がボロボロになって動けなかったこの日を狙った。
すべて推理通りだ!」
どうしたことか…島風の半身が黒く硬直化している。
「体が…動かん…貴様もカースアーツ使いか…!!」
「如何にも…この黒色の電撃は浴びた物質全てを究極に硬質化する。
そして…お前の上半身半分を硬質化した!!
つまり内臓も硬質化している!!
カチカチに固まった肺で呼吸が出来るかなァァ!?
貴様は後10秒で窒息する!!」
「フ……フフ……」
「何を笑っている島風?」
「………ロクな死に様は出来んと思っていたが………
まさか命と引き換えに娘を守れるとはな……
俺も……運がいいな……」
「パパ…」
「睦月……生きろよ……私の事を思うなら…!!!……ぐふ。」
怪盗島風―――――――――――――死亡。
「パパアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
「ハハハ!!!気持ちがいい!!怪盗を殺すのは気持ちがイイ!!
達成感がある!!!!!!これが探偵のあるべき姿じゃろがい!!!!
そして次は貴様だああああああああ島風の娘ェェェーーーーー!!!」
ドンゴン!!!
「何……!!!テーブルが私に向かって飛んでくる…!!!
何だこのラーメンは……熱いぞ!!!!!」
シルバーがテーブルを蹴り上げたのだ!!!
そしてそれと同時にシルバーは腰のリボルバーを探偵に向け――――
ワン!!
一発撃つ!!!
しかし―――――――――――――
デュン!!!弾丸が跳ね返りシルバーの脇腹を貫通する!!!!!!!
「う……グウッ……!!」
「聞いてなかったのかよ!!俺の能力の熱い解説を!!!!
俺のカースアーツ『ブラック・サンダー』は浴びた者全てを
究極に硬質化させる!!硬質化した物体は絶対に砕けない!!!
たとえ核ミサイルが落ちようと!!!
地球が爆発しようとなァァァ―――――――!!!!」
「こいつ…探偵として強い……!!!」
「自分の皮膚の表面を硬質化させ…弾丸を跳弾させた!!!!
この俺に一切の物理攻撃は通用しない!!!」
「くッ――――睦月……逃げるぞ!!掴まれ!」
睦月がシルバーに掴まる――――が!!!
「シルバー!!!」
「ブラック・サンダー!!!怪盗シルバーの腕を硬質化しろォォォ――――!!!」
「うッ……」
シルバーの右肘から先の腕が硬質化する…
つまりそれは右腕が動かなくなるという事!
右手に持っていたリボルバーも握れずに落としてしまうという事!
だが間一髪睦月を背負って逃げることは出来た!!!
睦月を背負ったシルバーが長い廊下を駆け抜ける!
「どうするんだ!!!あの探偵の瞳を石化とか……」
「奴はサングラスをかけているから私の能力の効き目は悪い。
石化できたとしても砂粒程度の大きさだ。」
「じゃあどうすれば…!!」
「私の能力は水場向きだ。
この家の庭には和風な池があっただろう、そこまで奴をおびき寄せる!!」
だが――――!!!
「ぎゃあああああああああ痛いッッ!!」
「どうした睦月!」
「ナイフのようなものが飛んでくる!!」
「なんだと!」
ヒュン!!!ヒュヒュン!!!
探偵が何かをシルバーに向かって投げている。
「ブラック・サンダーで硬質化した物質は最硬だ。
たとえ草であれ硬質化すれば鋭利な投げナイフとなる。」
草だった!!!!!!
「庭に出た!!池まで走るぞ!!!」
タッタッ
「逃げられると思うな!!!走るスピードは女より身長184㎝の男の方が早い!!
そして貴様は人を背負っている!!!」
探偵の実際の身長は180cmなので身長184㎝はサバを読んでいる。
だがそんな事はどうでもよかった。
「そして俺は貴様の落としたリボルバーを拾っていた!!!
撃ち殺すぞ死ね!!!!!!」
「睦月が危ない!!!」
シルバーが睦月を左に放り投げる!!!
ダン!!!
その瞬間銃弾がシルバーの左腕を貫く!!!!!!
「グゥゥゥ……!!左腕も使い物にならなくなったか…!!!」
「シ…シルバー!!!」
ザボーン!!!!!
シルバーが走った勢いで池にそのまま突っ込む!!
「シルバーをリボルバーで滅多打ちにして撃ち殺し
達成感と言う気持ちよさを得る!!!!!!」
ダン!!!!!!
「ストーン・トラベル!!!!
池の水を石化しろォォォ―――――!!!!」
ガキン!!!!
銃弾跳ね返る!!!!
「これでは銃で貴様を殺せんな!!!!
それでは睦月を銃で撃ち殺して
達成感と言う気持ちよさを得る!!!!!!」
「無駄だ……」
「う…なんだ…目にゴミが…!!うあああああああああああああ!!!」
ダン!!銃弾はあらぬ方向に飛んでいった!!!
「サングラスをかけてるから…瞳を完全には石化出来ないが
砂ぐらいは作って貴様の攻撃を妨害する程度ならできる………!!!
そして……!!!!」
「た…弾切れだ……くそおおおお!!!
腕力で直接殺すしかないなァァァァ!!!!!!」
「睦月聞こえるか!!!!」
「シ…シルバー!!私は…!」
「いいか!!限界を振り絞れば貴様にはあと一回ジャンプできる
程度の力はある筈だ!!!
父親の仇を討ちたければこの私の1m前方程までジャンプしろ!!!
それであの探偵を倒す事が出来る!!!!」
「……!!!」
「早くしろ!!!奴が目をぬぐっているこの間に!!!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおお!!!!」
睦月ジャンプする!!!!!!!
そして………着地した時に何か変な感触があった!!!
「こ……これは……!!!シルバー、貴方…
池の水の一部をシーソーの形に石化させていたんだな!!!
私が今思いきり踏んだのがシーソーの上がっている部分だから……!!!
シルバーの座っているシーソーの下がっている部分が上がることになる……」
ガゴン……!!!シーソーが動き!!!!
「ありがとう睦月、これで奴を倒せる!!!」
「つまり……シーソーが上がるパワーを利用して大ジャンプが出来る!!!!」
世界のシーソージャンプ飛びのギネスは4m程度と言われているが
シルバーはここで6mもの天を舞った。
そしてそのまま……
「ああああああああ!!!!!シルバー!!!!!!!!
シルバー湖にいる時に自分の脚付近の水を石化させて
斧の刃の彫刻を足の裏に造っていた!!!!
それで奴の顔面を叩き割る気だな!!!」
「怪盗シルバアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
ガン!!!!!!
シルバーの足の裏の斧が凶良の顔面に炸裂する…だがしかし!!!
「フフフ……それでも無駄だ!!!
顔面をブラックサンダーで硬質化した!!!
そして、貴様の脚を掴んだぞ!!!!
貴様の脚を硬質化させて達成感を得る為によォォォォォ」
ビリリリリリ!!!!!!!シルバーの脚が硬質化し黒く変色する!!!
だが――――
バシャン!!!
「え…水……俺の顔に水がかかって―――――――」
「私の足の裏の斧は……池の水を私の能力で石化させたもの――――
つまり石化を解除してしまえば……
斧は池の水にまた戻りお前の顔面にかかる!!!
そしてそのかかった水を再度石化させてしまえば……」
凶良の顔面にかかった水が石化する!!!!
「貴様の顔面を覆う石のマスクの出来上がりって訳だ!!!!!!」
「ふぐもおおおおおおおおお!!!!」
「や……やった……シルバー!!!
このまま奴は窒息死する!!!」
「おおおおおおおおおおおおお!!」(まだだぜェェェェェ!!!!!!)
凶良背中から30㎝ほどの巨大な刃を取り出す!!!
主にハンティング等に使用されると言われる……巨大なボウイナイフ!!!!
「ナ……ナイフをどうする気だ…!!!ヤツ!!!
えっ……自分の顎に刺した!!!!!!!!」
ジョッブッギィィィ―――――――――――ン!!!!!!!!
「ふごごごおごごごごごごごごおごごごごごごごご
おががががががががががががががががががががががががが!!!!
がああああごごごごおごごごおごごご!!!
ふごおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
(あいにくシルバーは脚と右腕を硬質化され、
左手を銃で撃ち抜かれてロクに動けねェんだ!!!!
石化した顎を切り取って呼吸口を取り戻せばよォォォォ!!!
勝機は取り戻せるってもんだぜェェェェェェ!!!)
「貴様が顎を切断して呼吸口を取り戻すのを
この怪盗シルバーが予想してないと思っていたのかァァァァァァ!!!!」
シルバーが脚を捕まれて0.3秒経過!
まだ怪盗シルバーは飛び蹴りの耐性で探偵凶良に足を掴まれてという
状態になっている!!!
怪盗シルバー全ての力を振り絞り、持っていたワインボトルを
凶良の硬質化した頭で叩き割り、中のワインを大量にぶちまける!!!!!
「ワインを石化する!!!!!!!!」
「あがががががががががががががががががががががががががががががががががががが
おがががががががががががががががががががががががががががががががががががが
ががががががががががががががががががががががががが!!!!!!!!!!!」
(オレが自分の顎を切断するのが先か!!!!!!!!!
ぶちまけたワインが俺に掛かって俺の動きが固定されるのが先か!!!!
勝負だあああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!)
そして――――――――――――
「あがが――――ッッ!!!」
「私の方が……一歩早かったようだな……」
「ごがが……ごおごごごごおごごごごごごご………ご!!」
(認めて…やる………俺に勝って達成感を得るがよい………!!!
だが……この世界には俺より強い探偵など星の数ほどいる………!!!
地獄を味わえ………!!!!!)
「死ね。そろそろ窒息する頃だろう……」
「おご!!」
―――――――――――――――――――島根最強の探偵・凶良たけし、死亡。
………
―――――――――――――――――――――――――――――――――
闘いを終えたシルバーと睦月は、手当てを済ませ、島風の死んだ部屋に来ていた。
「パパ……今すぐ弔ってあげるからな…」
「触るな睦月、それは……許されない。」
ピポパポピポピ
シルバーが携帯端末を操作し、誰かと通信を始める。
「もしもし、島根死体処理センター犯罪者窓口ですか」
「死体……処理……?」
「ええ。お願いします。」
ピッ、シルバーが電話を切る。
「なっ……パパの死体をセンターに任せる気か!!!
処理って……!!!」
「――――睦月!!!現実を見ろ!!!」
「ハッ!!!」
「これが――――探偵と怪盗の日常だ。」
「こんな…こんな残酷な――――
シルバーは―――辛くないのか……」
「怪盗は自由だ。だが自由には代償が伴う。
辛み、悲しみ……
でも私はその自由が楽しくてやめられないんだ。」
「……」
「睦月、父の事を思うなら、お前は強く生きろ。
そして誰よりも自由になれ――――」
「私は……私は………!!
………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………
…………!!!!!!!」
―――――――――――――凶良探偵による島風家の襲撃。
死亡者…凶良たけし、怪盗島風
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます