第3話

 俊介に呼んで貰ったタクシーに乗り込み私はタクシードライバーに住所を書かれた紙を渡しそこへ向かうよう指示をだす。


 タクシーを走らせ5分程で目的地に到着する。

 代金を払いタクシーを下車すると目の前には8階建てマンション、私と俊介は慣れた動きで中に入り、ここの借りている一室へ鍵をあけ入る。


 玄関からリビングに向かう間でに存在する扉をそれぞれくぐり、支度を開始する。


 私は部屋に入ると備え付けのクローゼットを開け、かけてある私服に着替える。


 ここは、私と俊介が秘密で借りたマンションの一室だ。

 学園をサボる時によくここを使う。保存食完備に水道も電気も通っておりベッドも置いている普通に暮らすことも可能、俊介はあまり使ってないが私はよくここを訪れている。大半はサボる時に使用するため、今回のように仮面をつけてない日はよくここを使い変装もとい学園の制服を着替え街へくりだしている。


 着替え、髪を後ろに一纏めにし普段の姿からすこし変えると準備は完了する。

 準備できたため部屋を出るとすでに俊介が玄関で私を待っていた。


「準備できたか下に先程とは違うタクシーを待たせておいた早く行こうぜ」


「いつも通り手際がいいですねぇ」


 私と俊介は染み付いた慣れた動きでタクシー乗り込み目的地へと向かった。



 目的地、ネットカフェに到着した。


「ささ、姫レディーファーストってことで」


 俊介がニマニマしながら胡散臭い台詞を吹きながら私に自動ドアの前に立つよう誘導する。


 私は自動ドアの前に立ち・・・・・・・・・開かない


 呆然とする私のすこし後ろに離れて立っている俊介がぷふっと堪えれてない笑いを漏らす。


「クッ・・・ソゥ」


 私はくるりと俊介の方に向くと必死に笑いを堪え堪えきれていない俊介のお腹目掛け蹴り放つ、俊介に笑われると無性に腹が立つ、見事に綺麗に決まった蹴りで私はスッキリし、俊介は地面にうずくまることとなった。


 入り口で邪魔をしてはいけないと思いいまだにうずくまる俊介の服の首もとを掴み引きずって今度は反応した自動ドアをくぐりネカフェに来店する。


「し、しまっしまっ首!?」


「いらっしゃいませ!!」


 店内に入ると営業スマイルで顔見知りのここの店長さんが出迎えてくれた。


「今日は私に気付いたようですね」


「ははは、そりゃもちろんなんたってお嬢様が引きずっている目印がありましたからね!!」


「なるほど、便利ですね俊介は」


「ちょっまじしまっ、てる、はな、せ」


 おっと、俊介がギブギブと私が掴んでいる手を叩きだしました。

 すでに、気はすんでいるので手を離し店長さんへと向き直る。


「お嬢様とあろう御方がサボって朝からですかい?ついでにぼっちゃまも同じとは、大丈夫なのかい?」


「ばれなきゃいいんですよ!!なれなきゃ」


「今日はイベントpt稼ぎに参加かい?おおいに結構いつもの場所開いてるから使うといい」


「ありがとうございます。では使わせていただきますね。」


「マスター使わせて貰うぜ」


 いつも、訪れたとき使わせてもらっている個室にお互い入り、持ってきていたカバンからVRゲーム専用の装置を取りだし頭に装着する。


「ゲームスタート」


 一瞬の暗転後、風景はPCの置かれた狭い個室出はなく、青空が広がり綺麗な街並みに変わる。


「おっきてたか、花月」


 隣に今しがたログインした俊介のアバター『シュン』が現れる。

 ここはフリーオンラインの仮想世界、ほぼ自由が売りゲームだ。

 今このフリーオンラインはあるイベントをしている。

 いくつかの限定ダンジョンの解放されており、モンスターを倒すとドロップ品とイベントポイントが手に入り、イベント終了後色々な限定アイテムと交換ができる。

 これは、個人だがもう1つクランとしてのポイントが手に入り、それはクランランキングにより、イベント終了後順位による報酬とポイントによるクランハウスの特殊な武装と交換が可能となる。

 私と俊介は同じクラン、店長と愉快なネカフェ常連客に所属している。クラマスはネカフェの店長さんで、ほぼクランメンバーは店長さんの常連客が占めている。なのでリアルでもかなりの人が知り合いでもある。ちなみにクランメンバーはついこのあいだ140人を越えたらしい。

 他と比べると少ないぐらいだが、私の所属する店長と愉快なネカフェ常連客は一芸二芸を極めたものが多く上位クランとしてかなり知られている。


「花月が来たから今日は限定の一番難関なレイドダンジョン行くんだとよ、ダンジョン前にみんな待ってるらしいからはやく、行くぞ」


 今ログインしているかつ、イベントに参加しているクランメンバーに連絡を取ったシュンが私の腕を掴みひきずり目的地に向かう。


「ちょ、準備がえっ、固定支援させるつもり!?」


「お前レイド中特殊職支姫な、まかせとけ護ってやっから」


「信用できないぃ!!」


 引きずられるまま目的地に到着した私の意見は全て潰された。


「撮影準備OK、装備OK、支姫様OK皆レイドダンジョン突撃~あっ支姫様は位置ついて支援よろしくー」


 準備を終え集まっていたクランメンバー38人ダンジョン扉を開き突入する。

 私も続いて入り位置を決め、すでにレイドモンスターのアイスドラゴンに奇声をあげながら襲いかかるクラメンに支援を飛ばしていく。


 私の職は特殊職で支姫でボス戦やレイド戦で使える職を今メインにセットしている。

 フリーオンラインはメインとサブと二種の職がセットでる。サブをメインにし入れ替えが可能で時と場合によって職を入れ替え闘う、ちなみに私は今メインに特殊職支姫にサブは暗殺者となっている。

 が、今サブとメインが入れ替えれないのとMP以外の全てのステータスが1となり動けない効果が私には掛かっている。

 全て支姫を使う条件のせいだ、MP以外のステータスを1にしMPを減らしたステータス分加算させ支援を始めるとその場の位置に固定されるというものだ。

 なのでー


「守護者盾持ちは姫をお守りしろー最低でも三枚つけぇ」


 クラメンの一人が声をあげると、すぐさま盾をもったクラメンが私を前で守るように盾をかまえる。動けないかつわんぱんで逝ってしまう紙装甲な私は護ってもらわないと行けないのだ。

 ちなみに職説明欄にはこう書かれていた。姫は守られて当たり前だろ?っと

 あっ真ん中の盾持ちのフルアーマーシュンじゃん珍しいいつもはバトルジャンキーの攻め攻めスタイルなのに。


「おや、珍しい」


「たまにはな、守護者も育てようと思ってな」


「てか、サブ守護者だったのですね。」


「今更かよ」


「いえ、いつも騎士王でしたし、知りませんでしたよ」


 じゃっかん不安である。シュンは毎回騎士王と言うこれまた特殊職メインで活動してるため、はじめて知ったサブに入っていた守護者をメインで私の護衛をしてくれることに。


 ちゃんと護られつつ支援を飛ばしまくり戦闘は終盤に入り込む、アイスドラゴンのHPバーが残り1本となり動きが鈍くなる。


「よぉし、ラストアタックだー」


 クラメンの一言により攻撃の勢いが増す。


「ラストアタックは俺のものだー!!」


 いきなりシュンが大声をあげアイスドラゴンに向かって駆け出し、私の護りにてっしていた残りの二人もあとを追うようにアイスドラゴンに突っ込んでいく。


「ちょっと護り戻りなさい!!」


 無防備になった私は慌てて呼び戻そうとするが、興奮しているせいか完全に私を忘れているのか、私の声は聞き届けられなかった。


 それと同時に、私のいる場所に影がさしすこし見上げると頭上にクラメンの大技をくらい吹っ飛ばされてきたアイスドラゴンの巨体な目にはいり次の瞬間衝撃とともに私の視界は真っ暗になり、私はダンジョン近くにある町の神殿で目を覚ました。


「また・・・私を忘れてえぇぇぇシュン絶対に処してやるぅ」


 護られてないとすぐに死んでしまう特殊職を無理やりさせられ、最後の最後で忘れられたのか護りがなくなり、見方の攻撃で飛ばされてきたレイドボスによる圧迫死、今ごろ私を忘れて彼らはレイドボス討伐報酬を手に喜んでいることだろう・・・私を忘れて


 私はメインを暗殺者に替えて暗殺者用装備が自動装備されたのを確認し、神殿音もなく走り出て先程いた場所に戻り近くにいた喜ぶクラメイに一閃、ポリゴンとなり消えてゆく。


 一瞬でその場が鎮まり


「あっ姫忘れてた」


 私の護衛をしていた一人がやばっといった感じに呟き私はその者首にナイフでキル、また一人ポリゴンとなり神殿へおくる。


「姫の御乱心だぁ逃げろー」


 クラメンが鬼ごっこのように部屋の中を逃げまわる。私は鬼のように次々と首を斬りキル数を増やしていく。

 普通ではPVPでも一撃でHP全損はできないが条件が揃えば私は可能だった。特殊職支姫のメインで死亡時の効果で『わらわをむげにする配下は処す』というものがあり、死んだときサブ職に暗殺者があればメインにし私を護れなかったメンバーに対しては首による攻撃は一撃必殺となる。というものだ。


 最後の一人シュン以外を神殿送りにした。


「なにか、言うことは?」


 シュンを壁に追い詰めた私は最後に聞く


「ラストアタックに目が眩んだすまなかった」


 謝罪を受けとり皆と同じように首をナイフで斬りつけシュンを神殿へと送った。


 しばらくして、イベントに参加していたクラメンが神殿から戻ってきた。


「花月すまなかったもらい損なったアイスドラゴンの素材分けるから許してくれ」


「もう、効果は終わってますしいいですよ、次の階のレイドは暗殺者でやらせてくれるなら」


 このまま次の階にの登りレイドボス戦でも、支姫させられまいと神殿に居て貰えなかったドロップ品と素材分の受け取り断ろうとする。


「いや、受け取ってまた支姫で頼む」


「今度は最後まで護るかさ!!頼むよ!!」


 皆が全員私に支姫をするよう頼みこみしまいには土下座までされ、素材を受け取り次のボスも支姫をすることとなった。そしてまた忘れられ神殿へと送られた私は再び首を斬って回った。


 途中休憩をとりつつ、リアル時間で学園の下校時間が近づいたため、フリーオンラインをやめ、店長さんに料金払って俊介とともにネカフェを出ると店長さんが気をきかせて呼んでくれたタクシーに乗り込みむ。

 ちなみに自動ドアはまた反応してくれなかった。


「おっ動画いい値で売れたとさ、各事振り込まれたらしい、振り込まれてるか確認してくれだと」


「へぇ、運営様は太っ腹ですね。ちゃんと振り込まれているようです」


「まあ、俺達からしたら小遣い程度だがな」


 フリーオンラインは運営側がプレイヤーが側が撮った動画を買い取ってくれることがある。


 買い取った、動画を編集しフリーオンラインを運営する企業の動画サイトに載せ広告などで収入を獲ているのだ。

 因みにフリーオンラインは撮影したものをフリーオンラインの運営する企業の動画サイト以外にはあげれないようになっている。


 朝とは逆で変装をとき学園の制服に着替え私ははやばやにマンション裏口から出て学園に戻る。

 俊介?あれは、めだち過ぎるため私は周りからばれないようこっそり学園へ戻る。サボりがばれないようにあたかもちゃんと授業を受け下校するかのように。私は朝と同じように中庭テラス席でお茶を飲み迎えがくるまで時間を潰していた。


「日陰姉様今日いましたか?」


 今日は私の事を忘れずに迎えが来たので帰ろうと呼びに来た陽向の第一声はこれだった。


「学園には居ましたよ、陽向いつ私が教室にいないと気付きましたか?」


「えっと、五時間目でしょうか・・・」


「そうですか、帰りましょうか」


 興味本意でいつ気がついたのか日向に聞き影のいや、存在の薄さを改めて確認した私は迎えをいつまでも待たせるわけにはいかないと話をきりやめる。


 迎えの車に乗り込みふと思う


 俊介バレて私を巻き込まないでくださいよ?


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影の薄い私心強くあれ 極上ティッシュ @sinorokasisibu911

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