第5話
「え!?ロン!?な、何でここに!?」
いきなり後ろで声がしたので振り向くと、そこには噂をしていたご本人の登場だった。思わぬ早さで会うことが出来たので、私も驚いているが、ゆらなんか固まっている。
「ん?だって、僕の名前が聞こえたからさ〜」
大きな体をのしのしと動かして僕たちに近づいて来るロンはなかなか貫禄がある。少しだけ僕は後ずさったけど、ロンはお構いなしのようだ。
「そ、それでもいきなり現れすぎじゃない?…あれ、ロンがここにいるってことは、ロンも死んだってこと!?」
「ま、まあ、そういうことだろうな…」
先ほどまで固まっていたゆらが溶け始めたようだ。絵のように動かなかったゆらは僕の質問に答えた。
「まぁ、そういうことだね!なんか、いつの間にか死んでたんだよねぇ。僕も良く分からないや〜」
呑気にそう言っているロンは僕たちの気持ちを完全に無視しているようだ。それがロンという猫なのだが…
「あれ?ってことは、三人揃ったから橋を渡れるんじゃないの?」
会った時に言っていたことが本当であるのならば、もうすでに三匹揃ったので橋の向こう側へ行けるのではないのだろうか。
「ああ、そうだな。とりあえず、橋の近くまで行ってみようぜ。」
すぐに立ち上がった“ゆら”はロンのことを放ってそのまま先へと行ってしまった。ロンはと言うと、「どこ行くの〜?」と言っているので僕は何も言わず頭でグイグイとロンの体を押して急かした。
ニャンて素敵なニャン世 茉莉花 しろ @21650027
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