第4話
「まず、死んだ人全員があの橋を渡らないと行けないんだ。その時に飲まされるスープがある。そこにいるお婆さんから渡されたスープを飲まないといけないんだ。この話は人間だけかと思っていたんだけどな。実は、俺たちも飲まないといけないらしい。そのスープのことを孟婆スープと言うらしい。」
ピタリと止めた尻尾をもう一度動かし始めた“ゆら”はどうやら落ち着きがないようだ。彼の昔からの癖である。そのまま僕は耳を傾けた。
「それで、そのスープを飲むと、現世のことを全て忘れてしまうんだ。愛情も、憎しみも全て。ほとんどの人が飲んでいるから俺も飲もうとしたんだ。だけど、止められた。どうだ?これで分かったか?」
耳をピクピクさせながら話していた“ゆら”はため息を吐いていた。
「うーん、とりあえずは、かな?でも、どうして僕とロンもいないといけなかったんだろ。」
僕は首を傾げながらゆらに尋ねたが、彼も「さあ?」とだけ言って何も言わなくなった。彼にしては珍しく話していたので疲れたのかもしれない。
「まあ、それならロンを待てばいいだけの話だよね。」
僕も思わずため息を吐いてボソッと囁いた。
「僕が何だって?」
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