第2話

「お前… 前まであんなに怯えていたじゃねーか。もう懐いたのか?」


「いやいや〜、もうって、何言ってるんだよ〜!10年以上前の話だよ!」


僕のことを面倒見てくれていた女性の人がいたんだ。その女の人の名前は「夕子さん」。彼女は、僕だけでなくて、他の猫に餌を与えてくれたり、遊んでくれたりしたんだ。その中でも僕たち“三匹”は特に懐いていて、夕子さんが大好きだった。


「そうか。そんなにも前の話か。」


「そうだよ〜!もう!で、ここは何処なの?僕、夕子さんの家に行く途中だったんだけど…」


僕はキョロキョロと周りを見渡すが、全く見たことのないような物ばかりでちょっとだけ怖い。変な色をした川や、白い服を着た人間があちこちにいる。知らない空間は本当に慣れない。




「ああ、ここか?ここは、現世とあの世の間だ。」




「…え?ど、どういうこと?」






「…つまりな、お前はもう、死んだってことだ。」







「…えええええええええええ!?!?」



少しの間を置いて叫んだ僕の声はこの広い空間にこだまするには十分だった。

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