最後の夏と僕

みやざき。

第1話 

図書館にある自習スペース、大きい机と椅子が規則正しくならべられているこのスペースを求める市民が少なくないことを皆は知っているだろうか。

座席を確保するためには開館時間よりも早く来て列に並ばなければならない。

いつもと同じように今日も列に並び整理券が配られるのを待つ。そして並んでいる時間を惜しむまいと僕は英単語帳をカバンから取り出す。数か月前に買ったこの本は毎日持ち歩いて隙あらば読むようにしている。そのせいで単語帳はもう軋み始めているようだ。

今日は八月一日、僕は大学受験を控えた高校三年生の受験生だ。

第一志望と決めている大学の受験日まであと七か月。

僕の余命はあと八か月。

最後の夏が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最後の夏と僕 みやざき。 @miyashioi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る