爆撃機とその他のプロペラ戦闘機

 さて、それなりにお休みをいただきました本項『かんプロ』ですが、第一世界大戦編であまり触れなかった英仏独以外のプロペラ戦闘機、あるいは爆撃機、そしてちょっと変わったお話をしてみようかと思います。

 

 第一次世界大戦では、プロペラ戦闘機のほか爆弾を落とす爆撃機も登場しました。

 飛行船の爆撃も触れましたが、それよりもスピードがある飛行機の爆撃も行われました。飛行船は、飛行機に比べて動きが鈍重で、空に浮くでかい的なのは前述したとおりです。なので飛行機にやらせようというのはわりと自然な発想でした。

 では、まずは爆撃機編からいってみましょう。


ゴータG.Ⅳ

 ドイツが開発した双発爆撃機です。ツェッペリン型飛行船による爆撃について触れましたが、それに変わってロンドン空襲を行いました。爆撃機というのは、爆弾を積んで敵地に落とし、戻ってくる必要があります。たくさん爆弾を積んでも飛べるパワーとスペース、そして飛べる時間と航続距離が必要になります。

 たくさん爆弾を積むためにどうするかというと、エンジンを増やすというわかりやすい方法が取られました。

 エンジンがふたつある飛行機のことを、双発機といいます。

 おかげで、爆弾一六発、合計五〇〇キロ搭載可能という当時としては大量の積載量を誇ります。

 このゴータG.Ⅳによる爆撃はイギリスに多くの被害を与え、小学校を爆撃して児童を多数殺傷するなど、イギリス本土に大きなダメージを与えます。対するイギリス航空隊も大した迎撃を行えませんでした。

 しかし、大型化したした機体、積載する爆弾によって構造に無理が出たのか、戦闘以外の原因による喪失が多い機体でもあります。


ハンドレーページ0/400

 これはイギリスの爆撃機。エンジンは高級車でも有名なロールス・ロイス社による水冷エンジンで三六〇馬力のエンジンを二機積んだ双発機です。

 爆弾の搭載量は八〇〇~九〇〇キロ。登場時期は遅いですが終戦まで活躍し、ドイツの化学工場や飛行場、都市爆撃を行いました。


カプロニCa.4

 本項ではあまり語られていなかったイタリア軍ですが、世界初の飛行機機の実戦投入など、実績を残しています。この機体はイタリアの歴史上の宿敵とも言えるオーストリアの爆撃に活躍した三発三葉爆撃です。

 左右のエンジンが牽引式、操縦席の後部に推進式という一風変わった爆撃機です。

 イタリアもプロペラ戦闘機開発の中では、輝きを放つことがあります。

 で、イタリアはこの後三発戦闘機も作っていくのですが、これはアルプス山脈を越えて飛びたいという事情があるからです。

 

シコルスキーイリヤー・ムロウメツ

 第一次世界大戦には、ロシア帝国も参戦しており、この機体は当時の軍用機でも最大級の大きさを誇る四発複葉機です。旅客用だったものを爆撃機に再設計しました。

 設計したイゴール・シコルスキーはヘリコプター設計者としても有名です。ロシア革命のゴタゴタでフランスに亡命、その後にアメリカに渡ってシコルスキー・エアクラフトを設立します。軍用ヘリと言ったらシコルスキーは有名です。

 ロシアの飛行機はでかい、飛行機黎明期から始まっています。


 さて、今度は英仏独以外のプロペラ戦闘機やちょっと珍しい機体も紹介しておきましょう。余談ですが、筆者はこの変わった飛行機、珍機がとても好きです。


マッキM5

 イタリアの単座水上戦闘機です。最高速度も二〇〇キロを超え、水上機の時代が来るんじゃないかと思わせた戦闘機です。そのへんのことは、戦間期の項で解説できればと思っています。


アンサルドSVA5

 これもイタリアの機体です。偵察機として開発されたものを戦闘機として量産しようとしたものです。

 結果として戦闘機には不向きでしたが、爆撃機として使用されました。

 アルプスを越えてウィーンを爆撃したという逸話を持っています。


パッカード・ルペールC11

 こちらは、アメリカの戦闘機です。高級自動車を生産した会社の戦闘機で、大戦末期に高性能を示したプロペラ戦闘機です。

 四〇〇馬力単発複座複葉機で、出てきた頃にはもう戦争は終わっていましたが、その後に活躍の機会がありました。

 設計者がフランス人なのでこういうネーミングとなっています。


ソッピースL.R.T.Tr.

 イギリスのプロペラ戦闘機なのですが、単発三座三葉機という大型の機体です。量産されたわけではなく、プロトタイプが一機作られただけなのですが、その形状が独特なので紹介しておきます。

 機銃が翼の天辺に付いているタイプなのですが、その翼の天辺に人が乗る座席を備えています。ナセルと言って、機体の外側に何かを入れる形状です。フランス語で小舟という意味です。

 そこに旋回式の機銃をつけて人を乗せるわけですが、理屈じゃ便利そうに見えますがこんな場所に座る銃手はたまったものじゃないでしょう。


 ここで紹介した中にも、さまざまなプロペラ戦闘機が登場しましたが、あくまでも「かんたん」と銘打っていますので第一次世界大戦編は、このくらいにしておきたいと思います。

 次からは戦間期のプロペラ戦闘機について語っていこうと思います。

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