第10話
その後の、ちょっとした談笑にて。
「アスモウラって比鹿島神社に住んでるってことでいいの?」
今後また可笑しな現象が起きないとも限らないので、アスモウラの所在をはっきりさせたかった。
「かれこれ数年は暮らしてるぜ」
「まーた不法侵入?」
「不法侵入改め、無法侵入だな」
「うまくないよ……今日学校帰りに寄った時、居なかったから、正直もう会えないんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたよ」
大鈴を呼び鈴がわりに何度か鳴らしたけど、出てくる様子が無かった。
悪魔がいる神社に祟り云々があるとは思えないが無い確証もないので、鳴らす度に律義にお賽銭を入れて、二拝二拍手一拝したのだ。途中、恥ずかしくなって、3セットほどでギブアップしたけど……。
「まじか、まったく気づかなかったぜ」
「居るには居たんだね」
「おう。酒の呑みすぎで屋根上で潰れてたぜっ(キラッ)」
見た目、中学生くらいにしか見えない人……いや、悪魔の飲酒発言。お巡りさんが見たら、即補導間違いなしでしょう……。
「悪魔っていうぐらいには実年齢高そう……ちなみに、いくつなの?」
「女に年齢聞くとか、だからモテねえんだぞ?」
アスモウラが、どーしようもねえ童貞だなあ、と思っているように哀斗は感じた。被害妄想だった。
「う……」
「ま、オレは気にしないけどよ。ええと、少なくとも、20は超えてるから安心しな。そっから先は覚えてねえけど……。悪魔は年とっても老けないからよ、つかやっぱ別にいいだろ、年齢なんて」
人一倍、二次元のような世界に憧れる哀斗は、ある属性が頭に浮かんだ。
「すげえ、リアルロリババアだすげえ……って、あ……」
無邪気にも想像してしまったが故にでた失言だった。当然、同じ部屋にいるアスモウラが聞き逃す訳もなく……。
「てめえ良い度胸してんじゃねえか。死にてえか? ああ?」
「さっ、さっき気にしないって言ったじゃんっ!」
出会って一番の、身も凍る程に悪魔らしい表情をアスモウラは浮かべた。
なんだかんだと、許してはもらえたけれど、悪魔であっても女の子は女の子。軽々しく歳は聞くべきではない、と学んだ哀斗であった。
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