第4話 小さい街みつけた(敵視点)

 それは自身の身に何が起きたか理解できていなかった。ただ目指すべき場所がある。そんな強迫観念のような焼け付く衝動だけが確かだった。そのはけ口を求め見回す視線の先には煌々こうこうと輝く満月。

 そして――

 ミツケタ。


 巨大な石の円柱。中央には天へと伸びた塔があり、無数の命の光がチカチカときらめいていた。

 コワシタイ。 


 それは歩み出す。どういう訳か脚に触れる草木を蹴散らし、転げながらソコを目指す。石の円柱の虫食い部分――壊れた城壁――から覗く街を目指して。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る