心残りと
晴天
そんな言葉がぴったりなほどの良い空が僕たちの旅路を出迎えてくれた
「いやー、いい空気だね」
「な、初日からいい天気だ。」
整備されていない道を車が走る、その度車がガタガタと揺れる
「このガタガタするせいでケツは割れそうだけどな」
軽トラのように後ろがオープンに出来る様になっている軍用の車に僕たちは乗っている。
「けどやることねぇなぁ」
「まぁな」
かれこれ3~4時間ぐらい車に揺られながらなんてことのない会話をしながら時間を潰していた
「これいつつくんだよ・・・」
「さぁなぁ・・・アラスカ州だけでもクソでかいのにユーコンテリトリーにまで行くんだ、そりゃ時間もかかる」
「・・・はぁ~~せめてクッションが欲しかったあ」
「贅沢言うんじゃねぇ」
嶺二に呆れられた
「気を抜くなよ、いつ戦闘になるかわからないんだから」
「おぉう」
ピリッとした空気が流れる
「おい、マイク。なんかあいつ変じゃねぇか?」
嶺二に聞こえない声でマイクに話しかける
「・・・嶺二はリーダーとして責任を感じてるんだよ」
マイクが耳元でぼそっとささやく
「んー・・・そんな気を詰めなくてもいい気もするけどな」
「そうも行かないんじゃないかな」
「なんで」
「海で戦ったでしょ?その時嶺二と僕は何もできなかったからさ自分は動かずに他人に命令して戦わせるその事がイマイチ納得しきれてないんだよ」
「なんだよそれ、それってあいつがそう言ってたのか?」
「うんうん?僕の想像」
ケロッとした表情で言う
「んだよそれ」
「けど僕はそう思っちゃったんだ、同じ状況の嶺二ならそう思うかもって勝手な想像」
「そっか、けど人に命令するのもリーダーの仕事だろ・・・マイクも、お前の援護射撃には助かったのは事実だ」
「そうかもね、だけど僕たちも戦いたいんだ」
「死ぬ危険が増えるだけだぞ」
「それでも一人を犠牲にした勝利は望ままない。少なくとも僕はね?」
「・・・」
マイクの言葉には確かな重みがあった
「その犠牲が親友だったらなおさらだ。それだったら僕は痛みを分け合いたい」
「・・・フッ」
つい吹き出してしまった
「馬鹿だな」
「・・・」
「チームとしては最悪の選択だな、それこそ無駄な犠牲が増えるだけじゃないか」
「それでも・・・!」
「わかってるよ」
マイクは少し熱くなり声を大きくする
だけどその気持がわからないほどコイツとの関わりが浅いわけじゃない
「お前たちの気持ちはわかるが、やっぱりこれは本物の命をかけた戦いだ、無謀な行動は駄目だ。」
「それは・・・そう、だけど」
「だから、一緒に戦おう」
「・・・!」
「んでもって俺をうまく使ってくれよ!」
嶺二に向かって走っている車のエンジン音に負けないぐらいの大きな声で呼びかける
「・・・バーカ」
若干口角が上がる
しかしその顔を見せないようにぷいっと顔をそらしてしまう
「・・・うん、わかった僕も一緒に戦うよ。悠斗だけに辛い思いはさせないよ」
「おう!」
そして3人も乗せた車はどこまでも続く青い空へ消えていった
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