ここからはじまる

生命活動を停止しゆっくりと粒子になるレイダーの上に一人少年は空を見上げ座り込んでいた。


死んだ魚が海にプカプカ浮かんでいるような状況でしかも粒子化している早く離脱しなければ海に落ちてしまうのだが少年はそんな事を忘れてしまうほど呆気にとられていた。


爆発の影響で波こそそれなりに収まったが空に巻き上げられた海水が雨のように振り当たる。


僕が・・・レイダーを倒したのか・・・


言葉にはならなかったが頭は冴えていた


前までは同じ等級の相手にすら手も足も出ないどころかビビって動くことすらできなかったこの僕が・・・


確かに今の僕は前と違う感じは自分でも自覚があった。


チューニングも無意識にできていたし


エンチャントもあんまり練習していないのにやけにうまく決まった。


そしてこの破壊力を生むほどの力。


そんな感覚


「なんだこれ・・・」


理解しようとすればするほどこの考えにたどり着く。


一体何が起きたのか・・・いや、記憶はあるんだこの上なく。少し記憶が飛んでいるところもあるが記憶はある。中身が変わったというわけでは決してない。断言できる。


だが


あまりにも不自然だ。


「一体何が・・・」




「「 君と接触できたんだ  ここからは   私も協力しよう 」」



ふと脳裏によぎったこの言葉


全く記憶にないがなぜだろうこの言葉が頭によぎった瞬間


不思議なほどにこの状況が心にスッと収まるのを感じた。


説明はできないがそう感じたんだ。









「救援って聞いたんだけどなぁ・・・」


救援部隊が到着した頃には波も収まっていた


「君たちがこれを・・・?」


「えぇ、まぁ」


「へえ・・・君たちC級だよね・・・すごいじゃないか」


「あはは」


救援部隊のドールズに事情説明をする嶺二


やけに顔がひきつってんな


「単独でB+級をそうかそうか。お疲れ様だったね。あとは僕たちも同行するから」


「はい、了解しました」


作戦の方針が決まったようだ


「とりま、俺達はこのまま救援部隊の人たちと目的地まで移動、そしたら任務終了だ」


「ああーーーー!!やっと終わるうう!!初任務の内容が濃い!!濃すぎる!!」


マイクがグーッと背伸びをしながら甲板に倒れる


「まだ終わってないんだから、帰るまでが任務だぞ新兵くん」


「あはは、了解でーす」


マイクはおどけた様子で答える


「・・・」


「おい、悠斗」


「あぁ・・・?なに」


「んだよどっか体の様子でも悪いのか?」


「んだよ心配なんてお前らしくない」


「何いってんだ、今回俺たちがこうやって笑ってられるのも全部お前のおかげなんだ。心配ぐらいする」


「・・・そか、守れたんだ・・・僕」


「あぁ、助かった。」


「・・・そか」


ガバっと立ち上がり


「んじゃ!帰ったら飯でもおごってもらおっかなぁ!」


「んなぁ!」


「おーい!マイク!嶺二が帰ったら飯おごってくれるとさ」


「まじで?!これは是が非でも無事に帰らないとね!」


ぐっとサムズアップするマイク


「・・・あぁ~~!!加減しろよな!あとマイクてめぇはだめだ!俺と同じ立場の人間だろうが!」


いつもみたいに3人でガヤガヤし始める




守れたんだな。


よかった


僕じゃない何か他の力を借りてたのかもしれない


けど、まぁ今はそれはそれでいいや


この笑顔を守れたなら。

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