巨影 4
暗いな
しかも息苦しい
体も重い
ビシビシと骨に響く痛さも感じる
圧力だろうか・・・
というか、体の8割以上の感覚がない
でも、もうなんでもいいや・・・
フワフワしてきた・・・
あぁ・・・眠いな
うつらうつらとしてきた
抗う気もこの状況を理解する気もそんな思考すらできなかった僕は
静かに目を閉じた
「ねぇ・・・嶺二」
「・・・」
顔面蒼白という言葉が似合いすぎるほど血の気が引いているマイクと冷や汗を垂らしながら必死に生体反応を探る嶺二
「ねぇ・・・ねぇねぇねぇ!嶺二!悠斗が!!!」
「うるせぇ!黙ってろ!!解ってんだよそんなこと!!!!!!!!」
泣き声になりながらパニックになるマイク
「くそ、生体反応どころか対象の物体反応すらない・・・どこに行ったんだ・・・」
嶺二も確実にパニックになっていた。
「僕探してくる!」
「どこに」
「どこって・・・そんな」
「どこにいるかわからないのに無闇矢鱈に動くな」
確かに嶺二はパニックになっていた。だがそれでも班リーダーとしての自覚は失っていなかった
「嶺二は心配じゃないの?!」
「マイク・・・お前、俺は班リーダーだ」
「だから何!」
「二次被害を生み出す訳にはいかない」
「それで、見捨てるっていうの」
「馬鹿なこと言うな、あと心配してないの?って言ったな?」
「あぁ、言ったよ、どうなのさ。班リーダーさんよ」
「そんなわかりきったこと言わせるな」
嶺二はマイクを睨みつけ
「俺は班リーダーだ、だがそれ以前に俺とあいつは友達だ!親友だ!心配しないほど人間やめてねぇ!」
「・・・まぁそうだろうね、意地悪しすぎたよ・・・僕も冷静じゃなかった」
「それはお互い様だ」
二人はまだ焦ってはいるが徐々に冷静さを取り戻しつつあった
「どうするのこのあと」
「どの道、俺たちでの捜索はできない。それで二次被害が生まれてしまえば本末転倒だ」
「・・・いまレイダーは?」
「まだ戦闘があった場所を徘徊しているな、こちらには一切興味が無いようだ」
「不自然だよ」
「たしかにな」
「あいつは何を目的で・・・護衛の物資を狙ったわけでもなく・・・何がしたいんだ」
「・・・」
セイダーが物資を狙わず戦闘力だけを潰す
「レイダーに意思みたいなのがあるのか・・・?」
「そんな話聞いたことがないよ」
「俺もだ」
嶺二はふと考え込み何かをひらめく
「もし仮に戦闘力に反応して攻撃をしてくるなら・・・おいマイク!」
「なに?」
「さっきのバズーカ砲に弾は?」
「?残り2発だけど」
「十分だ。マイク言ったところに弾出してくれ」
「あぁ・・・」
マイクはバズーカ砲を構え
「少しでいい、あいつをあそこから引き離す・・・そしたらもしかしたら!」
「準備完了。いつでもイケるよ」
「OK。3,2,1・・・Fire!」
ヒュルルルルルルル・・・・
ドボン
ボッ
前方レイダーが徘徊する少し先に着弾爆発する
「やっぱりか・・・!」
レイダーは爆発の起きた場所に脊髄反射のごとく襲いかかる
「あいつ、戦闘力に反応しているのか・・・それと・・・ビンゴだ」
「どうしたの?」
嶺二はレーダーを見ながら顔が若干明るくなる
「最上さんとの連絡然りあいつ、特定の電波に対するジャミング能力を持ってやがる。だけどそれよりこの結果を喜ぶべきだろうな」
「だからどうしたの!」
「物体反応だ・・・いや。この反応は・・・タイミングばっちりだな」
「それって・・・」
「あぁ恐らく悠斗だ」
願わないのかい?
「願い?なんのことだ」
いつも君がしてたこと。そして君がこれから始めることだ。
「何を言ってるんだ・・・てか誰だ」
誰だっていいだろ。今重要なことはそこじゃない
「重要なこと・・・?」
あぁとても重要だ。世界の命運が君にかかっている・・・ぐらいにはな?
「大げさだな」
ふふ、まぁいい。さぁ願えよ。君の・・・いや?私の願いを君が願うのだ
「意味がわからない」
わからなくていい。わからないほうが幸せなこともある
「何を言っているんだ」
・・・いい、君は考えなくていい。私の言うことを聞いていればいいんだ
「主語がないな、残念ながら僕には君の願いも僕の願いも心当たりがないのでな」
・・・そうか、私は君を少し侮っていたようだ
君を説得したほうがいいと思っていたのだが・・・その必要さえなかったようだな
「・・・」
不確定要素は大きいが。今はそれでいい。捕まえてしまえばこちらのもんだ
「話はおしまいかい?」
あぁ、おしまいだ
「じゃあここから返してくれないか?僕は今重大な任務中なんだ」
あぁ、そのつもりだ。
いまきにに死んでもらっては私も困るからな
「話が早くて助かるよ」
あぁ、頑張ってくれよ?
「?」
君と接触できたんだ。
ここからは
私も協力しよう
僕は謎の空間から一転
真っ白な世界に放り投げられる
ふわふわとした感覚とともに。そして今までにないほどに――――
「いい気分だ」
白い世界から一転、僕はどこまでも続く広大な海の上から大きな爆発とともに浮上し海上に立ち、打ち上げられた海水が雨のように降り注ぐ。なぜだろう。さっきまでひどい状況だった気がするがそんな事どうでも良くなるほど清々しく生まれ変わった気分だった。
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