巨影 3

「さて、負傷者や非戦闘員たちは全員護衛対象に移したか?」


「おけ、ばっちし」


マイクがぐっとサムズ・アップする


「ふぅ・・・よし」


嶺二は軽く一息つき無線のむこうにいる彼に向かい声を掛ける


『準備はいいな?』


「あぁ、いつもより元気がいいぐらいだ」


無線の向こうから確認の連絡が届く


まったく・・・もうやるしかないだろ・・・


僕は大破した護衛線からなんとか出せた小型の救出用ボートで単独で少し離れた海にいた。


『作戦はさっき説明したとおりだ、こちらも援護はするがメインはお前だ、なぁほんとに―――』


「おい嶺二、それ以上言うな。言ったら殺す。せっかく覚悟入れたのにそこに変な茶々入れるなよ」


言いたいことはわかる。だからこそ言わせなかった


「お前のその作戦は間違ってない。それともなんだ?信じれないのか?」


『・・・ふっ、ごめん、信じてるさ相棒!』


「まかせとけって!」


後方で発砲音が響く


バズーカ砲のようなものでこちらの上空にピンク色に光る発行物が飛んでくる


そして、それは海にドボンと落ち


カッ


激しい発光とともに海中で爆発した。


それと同時に海の中にいた巨大な影が爆発のした方向。


つまり僕の前方に移動してき


ザッバアアアアアン


巨大な影が海上から姿を表すのだった。


『作戦開始!』


嶺二の合図とともに僕はボートを思いっきり蹴り海上から浮上したレイダーに飛びかかる


「逃がすかあああ!!!」


拳に力をため思いっきり攻撃する


ガアァン!


しかしその攻撃はいとも容易く防がれてしまう


「嶺二!!!」


僕は無線に向かい叫ぶ


『観測できたぞ!!チューニング深度30付近だ!』


「了解!!チューニング!!」


オペレーターの設備や戦闘慣れしているドールズ達であれば深度を探ることなんて容易いことだが、今は設備もなければ戦慣れもしていないドールズが討伐任務を行っている。


最初の一撃は何もチューニングをしずに攻撃した。そして予想通り弾かれた。


ここまでは作戦通り、深度0から弾かれたズレを逆算することによって敵の深度を探ることが出来るのだ。


そして今、敵のチューニング深度がわかった今、僕にやることは一つ


深度を合わせてもう一回殴る!!


僕の体が三色にブレ一瞬にもとに戻る


「エンチャント!!」


さっきのはオドを纏っただけの力技。


次は属性で攻める!


「最初っから全力だぁあああああ!!」


力を込めた左手から大きな炎が吹き出る


このまま落下し相手に直接殴れれば一番威力は高いだろうしかし


相手が海に潜ってしまう


今の俺は空中


直接殴るのが無理なら・・・!


「ぶっとべぇえええええ!!!」


虚空に向かい思いっきり拳を振る


エンチャントで発現させた炎が拳を振り下ろした方向に勢いよく放出される


当の本人は解っていなかったのだが


という現象を知っているだろうか?


水が非常に温度の高い物質と接触することで気化され起こる現象だ


今ここにあるのは


炎はレイダーが海に潜る前にヒットする。


そして急激に熱せられた海はレイダーを中心に大爆発をした


「ゴォオオオオオオオオオ」


レイダーは痛がるような仕草と咆哮を上げ、海中に潜っていく


「エンチャント・・・」


エンチャント、前に使ったときより威力が格段に上がっている気がする・・・


彼の体からパリパリと電流がほとばしる


「良かったよ・・・エンチャント自体は大した難易度じゃなくって・・・さ!」


彼は先の爆発でより高くふっとばされていたため空中から自由落下をしていた


そしてその自由落下の先には黒い影


ザバァアアアン


黒い影は海中から大きく口のようなものを開けこちらに一直線で飛び出してくる


「初めて使ってみるけど・・・効くといいなァ!!!」


バァアン!!


彼の体にほとばしっていた電流が一気に敵レイダーに襲いかかる


「まだまだぁ!!」


さっきよりもより多くの電流を纏い、海に落ちたレイダーに向けて電流を放つ


海に放たれた電流は海上に落ち、潜ることのできていなかったレイダーの感電する


「ちったぁ効いたかよクソデカ怪物野郎!」


ザバァン


海に落ちる


「しまった、どっか足場は・・・」


周りは当然ながら海。どこにも足場がない。さっきまで足場にしていたボートは流されてどっかに行ってしまった


「って、あいつどこだよ・・・!」


しまった、少し目を話したスキに潜られたか


「どこだ・・・」


周りを見回してもわからない


ここは海が深く海が全体的に暗く目線の位置的に海の中に沈んだ敵を探すのは至難であった。


ガガガ


『悠斗!何してる!下だ!!』


「なっ?!」


気がつくより早く


俺は怪物の口の中にいた


「しまっ・・・!」


それはまるでクジラの食事のように海水ごと上空に打ち上げられ一口で食べられそうになっているところに


どこからか一つの矢がレイダーにコツンと当たり


俺とレイダーごと吹き飛ばすほどの大爆発を起こした


「悠斗!今のうちに体制を立て直して!」


今のはマイクの援護か、被爆したが足場がない今、上空にふっとばしてくれるのはありがたい


「マイク!次はどこだ!」


レイダーは爆発と同時に海に潜ってしまい見失ってしまっていた


『えーっと、いや、座標は大して変わってない。そこら辺だ!』


「おっけ!そこら辺!」


バリバリバリ


今までにないほどのオドを消費し大量の電流を纏い


無差別に海面に向けて雷撃を落とす


「あたってねぇ!」


『見たらわかるでしょ!相手は海中にいるの!雷系統は意味ないでしょ!!』


「そうなの!?」


『もー!!バカ!』


しまったなぁ、電撃はこれからは乱発できないな


「じゃあ次は・・・!」


手に装備しているガントレットに今一度オドを集めるイメージをする



「あれ?」


『どうしたの?!悠斗!敵がアクション取ろうとしてる!』


「え?!いやまってなんで・・・」


エンチャントが・・・使えない!


エンチャント。それは物理武装使用時に初級魔術が使えるようになるという、戦術方法である。初期魔術であるため基本魔術には勝てないが難易度などが格段に下がっている。


とにかく


エンチャントは魔術というくくり。つまりを使用する。


先程までオドを大量に使用していたため周囲のオドが足りずエンチャントが使用できなくなっていると言う訳


『まずい、悠斗!』


「くそが・・・!」


ここまで来て為す術がなくなってしまった


浮力もなくなり自由落下を始める


それと同時にレイダーも海面へ浮上しこちらに向かってくる


「せめて・・・!」


体が三色にブレる


レイダーが海上に完全に飛び出し


そして俺をそのまま追い越し


「まさか・・・嘘だろ・・・」


ザッバーーン!!!


『悠斗!!!!!!』


前に、護衛艦を潰したように体で押しつぶす攻撃方法


それを


小さな人に行ったのだ。



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