第3話 パイセン

 高校の野球部の先輩の家は大学の近くにあり皆の溜り場になっていた。

俺もよく遊びに行っている、何せ部屋が広い10畳はある、対して俺の部屋は6畳半しかない。しかも大学まで自転車で10分以上かかる。

家賃は俺の部屋と対して変わらない、始めに適当に選んだせいで狭い部屋に住むことになってしまった。

この先輩は高校のときはチームで2番目に真面目だったが、大学に入ってからは変わってしまっていた。朝は授業があってもなかなか起きないし、いつもダラダラしていてFPSのゲームなんかをしている。

でも、俺とは違い飲食店でバイトをしていた、しかもそこで彼女まで作りやがった。

友達も多く、部屋にはいつも誰かしら遊びに来ていた。


いつもダラダラしているようだが、要領のいい男である。

何か適当にやっている感じもするが、選択肢を間違わない、同じぐうたら人間でも

俺とはまるで違う、生まれ持った引きなのだろうか


俺はこの先輩にはよく世話になっている、単位が取れているのもこの先輩のおかげだろう。

過去の問題を渡してくれるのが大きい、友達の多さゆえにいろんな種類の何年も前の過去問を持っているものだからテスト対策は完璧だ。


しかも、完璧なカンニング方法まで伝授してもらった。

とある消しゴムのカバーに縮小コピーしたカンペを貼り付けるのだが、本物のカバーとまるで見分けが付かない。

テスト前になると皆で集まりカンペ作り大会が夜通し行われた、

ワードで文章を打ち、それをテープで旨い具合にカバーへ貼り付ける。

こんな感じで試験には大量の消しゴムを持ち込むのだ

筆箱を机の上に出してはならないテストもあったが、そんな時は長袖の中に消しゴムを忍ばせ袖から出すのである。

もっと大胆にポケットに忍ばせ手を突っ込み取り出すという方法もあるが、これはスリル満点だ。


以前テストでカンニングがバレていた奴がいたが、前期の単位はゼロになったという、コレだから下手糞は・・・

どんな方法を使っていたのかは知らないが、俺たちの方法は先輩のさらに先輩と代々引き継がれてきた秘伝の技で、過去一度もバレたことが無い。

皆を卒業させてきたのだ。この方法は数人しか知られていない広めてはならない。


大学生活を円滑に過ごすには先輩は持っておいた方がいい。

楽して大学を卒業できる。

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