3.兎と鍵

しか、ばね

と音羽で

わだかまる

鍵に染み付いた記憶の誤りで

玄関を共有できない偽りの蟹が

宇宙線に紅潮する

管理された草原は踏み荒らされ

買い換えられる 異郷の泥どもの

都会だったかとコインランドリーがうるさい

関わりない下降の旋律にしんみりし 戦慄は

存立の危機に瀕して顛末を語る術なく洗い

流されて明けない夜さえも喪失する

迷妄の渦中に汽車が到着し

生理的に乗り込んだ客車の死線を耐えて

私鉄を走る

汽笛一声は空しく響き

踏切にて二つの人生と

乗客の時間を永遠に奪うとき

車窓から漏れだした鍵の誤り

転がされた忍耐

殺された怨嗟

草原に

うさぎが見える

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