4.独居

空虚なヒポコンデリーに絶えかねて

渋沢孝輔の詩をつまみ読んでいると

何か書かなくてはいけない重大事 いや

重大ではないかもしれないがとにかく

ひとつの着想が訪れたことに変わりなく

叶うならそこから翼の生える

かもしれぬ と

白紙に目を差し向けたら

たちまち言葉が消えてく

今こうして再起を賭けて上記の通りを書き

付けてはみたが どうやら返ってくる

気配はない 筆を置き


掛けたがああこれだ

青白い氷の手が

正座した両の膝を掴んでいる

独りであればこそこの

透明な接触も意識されてもちろん

それだからとこれが優しさだとかそんな

逆説を唱えるつもりもない

ただひたすらに撫でる両の

それだけを言おうとしただけだ

それがつまりなんだというつもりもない

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