繋がる手

「まっ、何はともあれ、コレで終了だ」


「まだ、だと思うけどなぁ」


 セツカは入り口の向こうを見た。


 そこには不安げなミナと、眠り続けるフーカがいた。


 マカが出てくると、ミナが抱き付いてきた。


「マカぁ! ごめんっ、ごめんねぇ!」


 抱き付いてグスグス泣き出すミナを、マカはため息をついて抱き締めた。


「…もういいから。それより…」


 マカは少し体を離し、ミナの眼を見つめた。


「このプレハブ小屋に関わった記憶を消せ。…覚えていても、ろくなことにはならないからな」


 マカの眼が赤く光り、その光がミナの眼に映った。


 するとミナの体から力が抜け、そのまま気を失った。

「甘いですねぇ」


「うるさい。それよりそっちも頼むぞ」


「はいはい」


 ソウマの手が薄く光った。


 そのままフーカの額に触れる。


「このプレハブ小屋に関わったことは忘れなさい。あなたは何の関わりも持っていなかったんですよ」


 フーカのまぶたが何度か動いた後、静かになった。


「…これで本当に終了だ。しかし…アキは一体どこからこの儀式を…」


「しかも何だか儀式の本当の意味を分かっていなかったみたいだね。ただたんに、タッチする手が増えるってことがおもしろかったみたいだし」


 肩を竦めながら、セツカが出てきた。


「簡単な儀式法ですが、そんなポピュラーなものではありませんしね…。本家で調べてみますか?」


「ああ、そうだな」


 イマイチ納得できないマカだったが、ミナを抱え、歩き出した。


 同じようにフーカを抱え、ソウマとセツカは歩き出す。


 そんな三人の姿を、屋上から見続けているものがいた。


 黒尽くめの服装で、深くフードを被っている。


「…あ~あ。失敗しちゃったか。上手くすれば、ボクの栄養になったのに」


 軽く残念そうに言い、その人物は踵を返した。


 すると姿は闇に溶けて消えた。

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