異世界転生ものの中でもかなり面白い作品だなと思いました。私がこの作品に感じた一番の魅力は登場人物同士の関係の多くが温かく描かれていることです。敵と言えるキャラは出てきますし主人公にとって厳しい展開だってあるんですが、それでも全体としてみると優しく、心が温かくなるような物語だと思います。
あらすじにもあるように主人公は平凡な人物です。ですが、優しさといい意味での臆病さを兼ね備えた好人物であり、圧倒的な力で無双するようなことはなくても知識や発想力を活かした見せ場が数多くあります。
登場するキャラクターそれぞれが魅力的で、ストーリーもしっかりしており、文章も読みやすくかつ読んでいて楽しいものとなっていました。本当に良い作品に出会えました。
ノーベル賞を取った人を褒め称えると、日本人すべてが偉いわけじゃない、と非難される。他国に言うべきことを言うと、日本人すべてが悪いのだから歴史を反省しろ、と非難される。卑劣な人間に酷い目に会わされても、不満を飲み込んで生きていく。強い主義主張を持たないから、いい気になったり流されたりもするけれど、世界の片隅で確かに生きていく。
主人公は、気弱で真面目な日本人です。
ごく普通の彼は、異世界でも特に変わらず、また強大なパワーとも無縁です。それはまあ呆れるほどに。
だけど本当は、ただ日本人であるという生き方だけで、周囲に影響を与えずにはいられないのです。
俺tueeeへの違和感と、現実における「世界の中の日本人」という視点を持っている人にオススメです。