第255話 風の軌跡強化月間その12~集いし魔の者達~
「はい、これでここにはしばらくは誰も入ってこれないわよ」
内側から施錠し、ついでに扉の表に『使用中』の札を掛けておく。
魔王城の一角の大図書館に現在自分を含む三名の人物が集まっていた。
時刻はすでに閉館した後の夕暮れ時。図書館探検隊を含むメンバーならまだまだ活動時間帯であるが、本日は魔王権限で少し調べものがあるということで貸しきらせてもらった。
何故この様なことをしているかと言えば、本日あった会議終了時まで遡る。
レイスの件に続き風の軌跡から献上された竜の短剣。
ベクトルは違えどあまりにも大きい案件が二つも舞い込んできたので、一旦各所に持ち帰りそれぞれの立ち位置から方針を決めることになった。
短剣については真偽をはっきりさせること。
レイスについては各所に情報を広め、特に見たことも無い魔物の情報は迅速かつ確実に報告する方向で決まっている。
そして魔王としての私はこの件に関して言えば結果待ちだ。国から何かしら指示があれば動くけど、しばらくは何も起こらないだろう。
もちろんそれとは別に日々の通常業務もある。
会議が終わり、各々がそれぞれの持ち場へと戻っていった。ヤマル君もパーティーメンバーに短剣の報告や修行をすると言ってすでに出払い、残った濃い二人と共に自分も部屋を出ようとした時の事だった。
『マー君、ちょっち今夜付き合えないかなー?』
ウルティナからの申し出に怪訝そうな表情をするブレイヴだが、さすがに人の旦那にいきなり手を出されるわけには行かない。
そう思った瞬間に体は即座に行動を起こし、その後なんやかんやですったもんだした挙句現在こうして三人で夜の大図書館にいるわけだ。
いるわけなのだが……。
「ウルティナ、確認だが昼間の言ったことは本当か?」
「えぇ、嘘は言わないわ。マー君もミーちゃんも今からの事は『その時』が来るまで絶対に黙っておくようにねー」
「でも本当にここに叡智の魔王様が? 今でも信じられないけど……」
大会議室にてウルティナから無理やり聞きだしたブレイヴへの用件。
それは『叡智の魔王に会いたくないか』と言う信じられない事だった。その事を聞いたブレイヴの顔は今でも思い出す。
なにせ今まで見たこともないような心底驚いたような顔をしていたのだから。
そしてあの場でウルティナが私達二人に釘を刺したことが、大図書館の謎が全て解けるまで今から見聞きしたことは口をつぐむこと。
これは本来は全ての謎が解けた際に明らかになることであり、今から行うことは正規のルートではない。
今も図書館探検隊がその知恵や経験をフルに使い活動を続けているのは誰もが知るところ。そんな彼らの努力を掠め取るような事は出来るはずがない。
ブレイヴも、もちろん自分もその事については了承したからこそ、今この場所にいる。
「ヤマル君経由でね。ちなみに今からの事は彼にも黙っててね。責任感じるかもしれないしねー」
「あぁ……だからヤマルは『魔力固定法』が使えたのか」
「そゆこと。ヤマル君も叡知の魔王から黙っておくように言われてるし、あくまでこれはあたし達が勝手にやったってことでお願いね」
んじゃこっちよー、と彼女はすたすたと大図書館の奥の方へと歩いていく。
そのままウルティナの後についていくと、室内のある一角へと辿り着いた。周囲を見ても本棚しかない、大図書館ではどこでも見られる光景だ。
案内をした当の本人はと言うと、目の前の本棚をペタペタと触ったり本を取り出したりしている。あれが叡智の魔王へと続く道の手順なのだろうか。
「何をしている?」
「いやー、同じ魔術師としてこれはすごいなーって思ってね。二人とも、どれでも良いからこの棚の本を取ってみなさいよ」
彼女の言っている事がいまいち理解できないものの、とりあえず自分もブレイヴも指定された本棚から適当に一冊を抜き取る。
何となしに取った本のタイトルは『ダンディな魔族の十の秘訣』と言う良く分からない蔵書だった。
適当なページを開くと、如何にしてダンディズムをかもし出すかと言うやはり良く分からない内容が書かれている。
ちなみに横目で見たブレイヴの本のタイトルは『めんどくさい甥のあやし方』だった。
「あの、この本がどうかしたんですか?」
「ん、それ幻」
「…………え?」
ウルティナの言葉が脳に染み渡るのに数秒を要し、ようやく何を言われたかを理解する。
え、今この持ってる本が幻?
「……幻?」
「そ、幻。高度な幻術よねぇ。どうやって今も起動させてるのかしら」
事も無げにそう告げるウルティナだが、これが幻だなんて今でも信じられない。
現にこうして触ってるし見えている。さっきなんて良く分からない中身だったけど『内容』が描かれていた。ページを捲る音だって聞いている。
そんな驚いていたこちらをよそに、事実を告げた彼女は不思議そうではあるもののあれこれ調べ始めていた。
こちらと違ってショックを受けている様子はない。同じ魔術師タイプと言えど、研究肌のあちらは驚きよりも好奇心が勝っているのかもしれない。
対してブレイヴはと言うと……
「…………」
なんとも言えない顔をしていた。
何か思うところがあるのか、じっと手に取った本を見て、そしてそれを本棚へと戻している。
「それでウルティナよ、この本棚が幻だったとしてどうと言うのだ」
「あれー、マー君勘が悪いわねー。これが幻って事はつまりこの奥に何か隠されてるって事よ。とは言えこの幻を解く術式は結構骨が折れそうだし、解いたら解いたで例の人達が困るのよね。だからこれは飛び越えるわよ」
◇
端的に言えば私達は本棚をスルーした。
正確にはウルティナの短距離空間跳躍魔法で本棚の裏側へ転移した。失敗すれば体と建材が同化する可能性もあったが、彼女はまるで裏側に確実に通路があるのが分かってるようだった。
いや、ヤマル君から聞いてるみたいなので分かってはいたと思う。ただそれだけで実行出来るあたり、師弟としての絆はちゃんとあるみたいだ。
「この下か?」
「そ。まぁ仕掛けも特にないからさっさと行くわよー」
そして通路の先には下り階段があり、ウルティナを先頭に下へ下へと降りていく。
程なくして最下層に到達し、視線の先には鉄の枠の扉が一つ。
ウルティナが一度こちらに振り返りブレイヴが頷くと、彼女は手を伸ばしてドアノブを掴み元気よくその扉を開けた。
「おっじゃましまーす!」
まるで友達の家に来たかのような明るい声に思わず力が抜けそうになってしまう。
しかしこの部屋に叡智の魔王様がいると思うと、解れた体が緊張で少しだけ引き締められた。
そして彼女の後を追い、ブレイヴ、そして自分が中に入る。だがその
小さな地下室には中央にテーブルが一つと周囲にはいくつかの本棚や実験器具が並ぶだけ。人らしきものはおらず、精々今来た自分達しか動くものはいない。
「……いませんね」
「ううん、いるわよ。マー君、それね」
「これか」
ウルティナが指を指した先には中央のテーブルの上に鎮座する分厚い本が一冊。そしてブレイヴがそれを手に取ると、おもむろに本を下に向けては無造作に開く。
まるで本の中から何かを床に落とそうとするような光景だ。
「おいジジイ、はやく出て来い」
バッサバッサとかなり乱暴に振っていると、開かれたページから紫色の煙があふれ出てきた。その煙はまるで追い立てられる様に集まっては一人の魔族の姿を形取ってゆく。
「こっ、こら! 叡智の魔王に対し何と無礼な!!」
間違いない。乱雑に扱われたため怒ってはいるものの、そこから現れたのは叡智の魔王その人だ。
魔王の部屋には歴代魔王の肖像画が並んでいる為、彼の姿もしっかりと覚えている。
「ふん、
その言葉に反応したのは自分と何故か叡智の魔王様。
彼が目の前の魔王様と知り合いだったなんて初耳だった。でもブレイヴも長い時を生きている上に元魔王でもある。歴代魔王に顔見知りがいたところで不思議ではない。
ただ当の叡智の魔王様が怪訝な顔をしているのは何故だろう。その顔を一言で表すとするなら『誰?』と言ったところだ。
しかしそれも少しすると何か頭の中で繋がったようで、ポンと手を叩き破顔一笑する。
「…………おぉ、なんじゃマー坊か! あのハナタレが大きくなったもんじゃな!」
「マー坊っ……!」
「そこ、笑うんじゃない!!」
ぶふー!とこれ見よがしに分かりやすく吹き出すウルティナにブレイヴが怒ったような声をあげる。
しかし言ったところでそれを止める彼女ではなく、何度もマー坊マー坊と呟きその度に物凄い愉悦の表情を浮かべていた。
「ねぇ、知り合いだったの?」
「あー……まぁ何というか」
不思議に思い問いただすも彼にしては珍しく歯切れが悪い。
一体どのような関係なのか。再度聞こうとしたところでいきなり目の前に叡智の魔王が現れる。
「はじめまして美しきマドモアゼル。ワシの名はマテウス=アイン=オーギュスタ、以後お見知りおきを」
「は、はぁ……」
心なしかブレイヴに怒鳴ってた声より幾分か良い声で叡智の魔王様が直々に自己紹介をしてくれた。
差し出された手を取り――半透明なのになんで触れるんだろう――こちらも名を告げることにする。
「こちらこそはじめまして。お会いできた事、光栄に思います。私はミーシャ=アウル=オブシディアン、当代の魔王を勤めさせていただいております」
「ほぉ、こんなべっぴんさんが今の魔王か。魔王城のメンバーは羨ましいのぅ」
ワシの頃はこんな美人さんいなかったのにのぅとしみじみと語り始める。
なんだろう。自分の中の叡智の魔王様のイメージにヒビが入り始めてきた気がするのは気のせいだと思いたい。
「あの……」
「おぉ、そうじゃった。そこのマー坊はワシの孫……のようなもんかの?」
「疑問系を出すな疑問系を。一応血縁者だ、大叔父にあたるな」
「ちなみにマー坊の名前がワシと似ておるのはマテウスから名を取ったからじゃの」
何か次々にとんでもない事実が発覚している気がする。
ヤマル君たちが来てからと言うもの驚いてばかりの日々だ。自分とて少なくない年月は生きているものの、ここ一ヶ月の密度が物凄いことになっている。
「しかしマー坊が来るとは思わなかったのぅ。それもこんなべっぴんさん二人も連れて」
「あらやだマテウス様ったらお上手ですわね」
「うわキモなんだその喋り方ぁ?!」
ウルティナの猫なで声に心底気持ち悪そうな表情と両腕を擦るブレイヴだったが、当然のようにどこからともなく飛んできた本が彼の顔面を直撃する。
……ここにある本って結構貴重なのでは、と思ったが今は考えない事にした。
そしてダメージから復帰したブレイヴが鼻先を擦りながらも叡智の魔王に話しかける。
「しかし……ジジイ、その姿は残留思念か何かだな」
「うむ。まぁ見ての通りじゃの」
「……そこまでしてまだ求めるのか」
「当然じゃろう? 死んでもこれだけは譲れないからの。マー坊もこの研究の偉大さはその内分かるかもしれんが……ふ、まだまだ青二才じゃからのぅ」
不敵な笑みを浮かべそう話す内容はとても興味深いものだった。
言葉の端々から察するに、どうやら叡知の魔王様をもってしても生涯の中で完成しなかった研究があったのだろう。同じ魔王としても物凄く興味をそそる話だ。
だがそんな二人のやり取りは内容に反し、確かに血縁者同士の柔らかい感じがした。
「死んだ後でも相変わらずか。……ミーシャ、ちょっといいか?」
「?」
心の中でどんな研究なのか予想を巡らせてると彼がこちらを手招きをしてきた。
何だろうと思いながらも近くに寄ると、不意に伸ばされた手が私の肩を掴みそのまま抱き寄せられる。
「はっ? え、ちょ……」
「ジジイ、改めて紹介しよう。当代の魔王にして我が妻だ」
瞬間、自分の顔が一気に熱くなるのを感じた。
まさかいきなりこのような紹介をするなんて……! しかしご両親への紹介より先とか一体何を考えているのか。
慌てて彼の方を見ると、何故か先程の叡知の魔王様と同じ様な不敵な笑みを浮かべていた。
その視線の先にいる当のマテウス様は、自分とは真逆なほどに顔を青くしパクパクと口を小刻みに奮わせている。
「なっ、なっ……マー坊に嫁、じゃと……! それもこんなべっぴんさんの……?!」
「あの……」
「ミーシャちゃん、本当か?!」
「え、あ、その……はい……」
自分でもどんどん言葉尻が小さくなっていくのが分かる。
正面から言われ恥ずかしいということもあるけど、それ以上に鬼気迫るようなマテウスの迫力に少々尻込みしてしまった。
しかしそれも少しのこと。
マテウスは実体の無い体でフラフラと二、三歩後ろに後ずさると、そのまま膝から崩れ落ち両手を床につけ突っ伏した。
……控えめに見ても物凄くショックを受けた様子だけど、先程会ったばかりの自分が既婚(予定)なのがそんなに嫌だったのかと内心首を傾げてしまう。
「ジジイ、そういう事だ。我が貴様の十歩も二十歩も先を行ってるが、まぁ気にするほどの事ではあるまい」
「くおおおぉぉぉ…………!!」
何か物凄い怨嗟の声が室内に響き渡る。
対するブレイヴの顔はしてやったりとばかりにとても清々しい表情をしていた。血縁者だし、もしかしたら生前に何かあったかもしれない。
でも傍目からすれば老人虐めに見えなくも無いため、流石に可哀想に思えてくる。
「ねぇ、マテウス様すごく落ち込んでるけど……」
「何、良い薬だろう。ジジイの生前にまぁ色々あったのだ、気にするな」
「うーん……いいのかな……」
やや釈然としないものの、この中でマテウスの事を一番良く知っているブレイヴがそう言うのだからとりあえずは納得しておくことにした。
それでも未だ肩を落とすマテウスをそのままにするのも気が引けたので声を掛けようとするも、こちらが動くよりも早くウルティナがそっと彼に寄り添う。
「マテウス様、大丈夫ですか」
「お、おぉ……君は……?」
「ご挨拶が遅れてしまいました。
普段の彼女では絶対に使わないであろう声色と口調でマテウスに優しく語りかける。
すると今にも死にそうな(もう死んでいるけど)マテウスの目が徐々に光を取り戻していくのが見て取れた。
「もしよろしければ私と少し語らいませんか。色々とお話を聞きたいですわ」
「おぉ、おぉ。もちろんじゃとも! はっはっは、どうだマー坊! ワシとてまだまだお前さんには負けわせんわ!」
立ち上がり物凄く勝ち誇った笑みを浮かべるマテウスは、そのままウルティナに引かれるまま室内の一角で何やら話しこみ始めてしまった。
狭い室内だから内容自体は聞き取れるものの、何かとても難しい魔術用語が飛び交っていることだけは分かる。
「バカは死んでも治らないと言うが……やれやれだな」
「ねぇ、マテウス様って実は女好きだったり……?」
「少し違うな。傍から見ればただの色ボケジジイだが、あれは性欲より知識欲だ。まあそのせいか見ての通り生前からよく不良物件引かされてたな」
瞬間『誰が不良物件よ!』とばかりにウルティナからノールックで本が飛んでくるも、今回は予測していたのかブレイヴはそれを軽々と受け止める。
そのままもう少し彼から話を聞くと、どうやらマテウスは女っ気が無い人生を送っていたせいで晩年は色々と拗らせてしまったらしい。
「そのせいで尻拭いに奔走した事もあった。……思い出したらムカムカしてきたな、一発殴っておくか」
「やめなさいって。殴ったら消滅しちゃいそうじゃないの」
一応この場は叡智の魔王の謎が全て解けたら来られる場所。裏技じみたやり方で来ている手前、この場にある物は限りなくそのままにしておく必要がある。
魔王としてこの場も預かる手前、流石に手を出させるわけにはいかない。
「でもいいの? あの調子だと彼女にマテウス様の知識とか色々聞かれちゃうと思うけど」
「ジジイの口は見ての通り経年劣化に加え美人に弱いときた。あれではどうにもならん。そもそもあいつは我ら抜きでもこの場に来れたであろうからな」
「あー……むしろ黙って一人で来ても良かったわけよね。あなた呼んだのは引き合わせるためだったり?」
「……かもしれんな」
もしくはブレイヴをダシに今の状況に持っていきたかったという可能性もある。
それでも亡くなり二度と会う事が無いはずの血縁者に引き合わせたのは彼女なりの優しさかもしれない。事実、隣にいる彼は普段よりも幾分か懐かしいものを見る穏やかな表情をしていた。
「それでこの文献は――」
「お、良い着眼点じゃの。ここは……」
そんな彼の視線の先は相も変わらず次々に室内の本を取替え、矢継ぎ早に質問を飛ばしていくウルティナ。
そしてその事が楽しいのか、はたまた同じレベルで話せる事が嬉しいのか、満足そうに笑顔で応じるマテウスの姿がそこにあった。
◇
(ふっふっふー。いやー、大漁大漁~。ヤマル君の『魔力固定法』の研究と開発はこれで目処がついたわねー)
流石に思念体のマテウスを長時間拘束するわけにはいかなかったため二、三時間程度でお開きになったが、それでもここ十数年の中では最も有意義な時間だったと思う。
一人歩く魔王城の廊下。そんな中、顔がにやけてしまうのを中々止められないでいた。
(流れでヤマル君とは師弟関係になったけど、流石に師匠のあたしが弟子の出来る事が出来ないってのは外聞が悪いものねー。でも……ま、それも今じゃ仕方ないと思うけど)
ヤマルが扱える中で唯一自身が再現できない『魔力固定法』。今回の一件でその研究の方針に目処が立ったのはとても大きい。
最もこれを完成しモノにするためにはまだまだ長い研鑽と研究が必要になるとは予想している。
(しっかしあのおじいちゃん魔王、ホントすごいわね。あたしの召喚時の相手がマー君じゃなくておじいちゃんだったら危なかったかも。マー君はマー君でえげつない強さだけど、戦時中におじいちゃん魔王だったらどうなってたかしらね)
ヤマルの記憶に今回の質疑応答で彼の評価は『超が付く程の大天才』と判断を下している。
性格はそれこそ離れたところから『色ボケジジイ』と言われてたぐらいだったが、その知識や考え方、発想力は自分を以ってしても舌を巻くほどだった。
例えば『魔力固定法』一つとっても、指針付きで今から研究する自分と何も無いところから開発した彼と比べても向こうに軍配が上がる。しかもこちらは人間用になるためマイナーチェンジ版になりかねない。
更に魔道書がある人間と違い他種族に教え込めないはずの魔族からのオリジナルの譲渡。
自分とてゴブリンに魔法を教えたことはあるし、今は魔道具をエルフィリアやポチでも扱えるよう馴染ませているところだ。
だが彼はものの一瞬でそれをやってのけた。それも本体ではなく思念体の状態で。
あたしですらゴブリンに教えるのにそれなりに長い時間を要したというのに……。
(叡智の魔王。本当にその名に違わぬ人物ね)
内心彼に与えられた名に納得しつつ、再び笑みがこぼれる。
そして上機嫌のまま与えられた客室へと足早に戻ることにするのだった。
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