第250話 風の軌跡強化月間その8~修行者の傍らで~


「そもそも今回メインで戦うのは俺とコロじゃんか」

「うん、そうだね」


 何の因果か元魔王と伝説の魔女のゴタゴタに巻き込まれ、強くならざるを得ない状況になった二人。

 極端な話、ドルンにエルフィリア、そしてポチは俺達に付き合う義理は無い。

 しかし仲間が強くなる為に汗水流す中、それを見てるだけの状況はポチもエルフィリアも居心地が悪かったらしい。

 そこでウルティナに何か自分達も出来ないか、せめてヤマルのお手伝いは出来ないかと相談したところ、彼女は二人の願いを快く受け入れた。


「今思えばあの顔見て警戒しておくべきだったんだけどね……」


 あのウルティナが親切心だけで何かする訳ではないことぐらい、ここ数日で分かっていただろうに。

 ともあれ自分もエルフィリア達もその笑顔の真意に気付けなかった。


「で、その後の事だったんだけどさ……」



 ◇



「とりあえずヤマル君はそれ覚えて使いこなせるようになるところからね」


 渡された魔道書二冊は既に目を通し終え、自分は新しい魔法を二種類も使えるようになった。

 当面はウルティナの師事の元、これを使いこなせるように修練を積むことになる。


「さてさてー。エルちゃんとポチちゃんも何かしたいってことだけど……」


 そして自分についてきたエルフィリアとポチが先ほどウルティナに直談判をしたところだった。

 わざわざ自分達から面倒ごとを背負わなくていいのにと思いつつも、逆の立場だったら自分も同じ行動を取ったかもしれない。

 自分とコロナが修行し、ドルンは新しい武具の作成に取り組んでいる。そんな中、彼女達が何か自分達に出来る事は無いかと思うのも無理ない事だ。

 その思いを汲み取ったのか、ウルティナもエルフィリア達の願いを快く了承した。

 しかし現在の彼女は自分の師事に加えドルンの方の補佐にも回っている。ここに更にエルフィリアやポチを見るとなるといくらウルティナとは言え負担は大きくならないだろうか。

 そんな疑問を投げかけるも、彼女はにこやかに問題無いと告げる。


「大丈夫よ、むしろこっちからお願いしたいぐらいだったんだしねー」

「……え、そうだったんですか?」

「そうよー。種族単位で出不精のエルフと魔物の戦狼でしょ。あたしからすれば色々調べたいことあるんだしねー」

「デブッ?!」

「いや、違うって。デブじゃなくて出不精。エルフィは太ってないから」


 森の外に出て多少は意識改革すんだと思ってたけど、まだ自分が太っていると思ってたのか。

 まぁ百年以上そう言う環境だったんだから数ヶ月程度じゃまだひっくり返せないみたいだ。


「でもウル……じゃなくて師匠。二人を変な実験に巻き込むのはダメですよ」

「分かってるわよー。あたしだって本当ならガッツリ調べたいところけど、今はそこまで余裕無いしね」


 そ・こ・で、とウルティナが自身の胸の谷間におもむろに手を突っ込むと、どこから取り出したのかピンポン玉サイズぐらいの石を二つ取り出した。

 パッと見では魔石に見えるが、よくよく見ると何かの人工物の石のようだ。

 あ、エルフィリアさん。自分の胸持ち上げてもあの人の真似できないので止めてください。基本あんな場所に物は入らないです。


「とりあえずエルちゃんとポチちゃんはしばらくこれを肌身離さず持っててねー」


 そう言うと石が軽く光りふわりと宙に浮く。

 一つはそのままポチの首輪にくっつき、もう一つはいつの間にか紐が通された状態でエルフィリアへと渡された。

 受け取った彼女はいささか困惑するも、ウルティナが首から下げるジェスチャーをするとそれに従い石を身につける。


「師匠、あれ何ですか?」

「簡単に言えば魔力の質や波長調べる石よー」


 要するに魔力計測器なのだそうだ。

 しばらく持つように頼んだのも、二人の種族がこれまで計測してきた種族外だったので余裕を見ての事らしい。


「ヤマル君みたいに手軽に魔法教えれたら良かったんだけど、エルフや魔物に教えたことはないからね。だから代わりに二人には専用の魔道具でも作ってあげようかなーって」

「あれ、でも別種族のマガビトのゴブリンは《ゲート》を出してたじゃないですか。あれ教えたの師匠ですよね」

「そうだけど、あれ一つ覚えさせるだけでも結構時間掛かっちゃったのよ。だからエルちゃん達にも教えれなくはないと思うけど、正直どれだけ時間が掛かるか分からないからね」


 だからこその専用魔道具と言うことらしい。

 ……あれ?


「師匠、魔道具って確か誰でも使えませんでした?」


 専用と言う部分が少し引っかかり、自身の記憶を呼び起こして疑問を投げつける。

 魔道具は確かに人王国の主力商品であり、他国にも輸出されているものだ。

 魔石を動力源としたそれらは冷蔵庫や街灯などの生活に役立つものから、コロナが着けてるリボンの様な装飾品など多岐に渡る。

 後者の様に特定の魔法を封入した魔道具は魔道装具と呼ばれ、目が飛び出るほど値段が高いものの誰でも扱えることから一時期切実に欲しかったこともあった。


 ちょっと思考がずれたが、ともかく魔道具は『誰でも扱える』ことが強みである。

 魔道書のように人間限定だと他国へ輸出は出来ないし……。

 しかしウルティナはそんなこと知っているとばかりに手をひらひらを振っていた。


「やーねぇ、誰が基礎理論組み上げたと思ってるのよ。それぐらい分かってるってば。まぁ専用と言っても渡そうとしてる物自体はもうあるのよ」


 どうにも合点がいかなく首を傾げていると人間の魔法の始祖である彼女がしっかりと魔道具について教えてくれた。

 魔道具は誰にでも扱える。確かにこれは事実であり何も間違っていない。

 魔力さえ流せればどれだけ小さかろうが他の種族だろうが当たり前のように使用できる。

 しかしここに一つ、自分の知らない事があった。

 

 そもそも人王国で作られる魔道具の基礎理論は『人間ならば誰にでも扱える事』を前程として作られていると言うこと。

 これは二百年前の大戦時の情勢から、手早く戦力を拡充し、かつ他国に渡っても扱えないようにするための処置であった。

 しかし戦後、国の政策で魔道具の輸出も決まり、当時の魔術師達の努力により人間以外でも扱えるように再設計された。

 もちろんウルティナ製の根幹部分に手を加えることなど無理だったのだろう。その為苦肉の策として、『人間から全ての種族へ』と言う変更ではなく、『人間』+『他の種族』と言う追加形式を取ることとなった。

 結果現代の魔道具は『誰でも扱える』と言うことになっているが、より正確に言えば『誰でも扱えるが人間ならより上手く扱える』が正しいらしい。


「だからエルちゃん達の魔力波長とか合わせて、十全に扱えるようにするってわけよ」


 その言葉でようやくこちらも納得がいく。専用と言っているが、正確には専用の調整なのだろう。自分の銃剣と似たようなものだ。

 例えば武器で言うならば人間向けの量産品のロングソード、これが一般の魔道具である。人間であれば程度の差はあれ誰でも扱えはするものの、亜人の小人族コビットが使うには大きく、逆に巨人ジャイアントが扱うには小さい。

 それをちゃんとロングソードとして扱えるように調整するとウルティナは言っているのだ。


「だからそれが終わるまではあたしが見ることは……」


 見ることは無い。そういい終えようとしたであろう彼女の言葉が不意に止まる。

 何か思いつくことでもあったのか、彼女の顔はこれまでに見たことも無いぐらい物凄い爽やかな表情を浮かべていた。


「エルちゃん。じっとしてるだけじゃ時間勿体無いし、一つお願いしていいかな?」

「え、あの……」

「むしろ修行だから。ヤマル君と一緒に特訓しましょう!」


 たじろぐエルフィリアを逃がすまいとウルティナの手が彼女の両肩に置かれ、あれよあれよと言う間に別荘へと引きずり込まれていった。

 また何かロクでもない事でも思いついたんだろうなぁと思いつつも、とりあえず与えられた魔法を使いこなすべく自己修練を開始する。

 手始めに《軽光剣ディライトソード》を作り、そこに先ほど覚えた《追加構文オーダープラス》を付与。

 構文の内容を変えつつ試行錯誤することしばし。順調に練習を重ねていると、別荘の玄関からウルティナとエルフィリアが現れた。

 いや、現れたというよりは引きずられて出てきたが正しいかもしれない。エルフの村で彼女の姉に引っ張ってこられた時のようにずりずりと強制的にこちらへと移動させられていた。


「おっまたせー!」


 いい仕事しました、と言わんばかりの清々しい笑顔のウルティナ。そして彼女とは対照的に今にも泣き出しそうな雰囲気のエルフィリアは先ほどとは全く違う服を着ていた。

 普段着ているローブを剥ぎ取られ、中の服も全て取り替えたのだろう。青地基調で黄色いラインの入った薄手の服。

 上は袖口から先が無く、スカートは膝上どころか股下から計った方が早いほどに短い。

 そしてそんな彼女の両手には黄色いふわふわヒラヒラしたどこかで見たようなことのある物が握られていた。

 うん、どこをどう見てもチアガールの格好だ。

 恐らく自分の知識からウルティナが即興でこの衣装を作ったであろうことは想像に難くなかった。


「やっぱり応援する格好って言ったらこれよねー。さ、エルちゃん。さっき教えた動きでヤマル君を応援するのよ」

「む、無理ですよぅ……。色々見えちゃうじゃないですか……」


 その場にしゃがみ込み、手に持ったボンボンで顔をインナー部を覆い隠すエルフィリア。

 一応チアガールのスカートの中は見られてもいいものらしいが、そんなことを知らないこの世界の人からすればあの格好で動くこと自体常に羞恥が付き纏うだろう。

 と言うかそもそも自分だってチアのインナーと下着の区別すらあんまりつかないし……。


「ダメよ。エルちゃんは必要以上に体動かさないでしょ? 体力作りも基本走ってるだけみたいだし、この応援で全身の筋肉を鍛えてもらいます」

「えぇぇー……」

「後動きながら何か魔法は使い続けること。バテて集中力が切れたなんて事がないようにね。面倒は見てあげるからちゃんと言うことは聞いてもらうわよー」


 そう言われては教えを請う側のエルフィリアとしては強く言い出せなかったらしい。

 渋々と言った様子だったが、ゆっくりと立ち上がると彼女はウルティナに向け何とか首を縦に振った。


(う~ん……)


 エルフィリアがチア衣装を着て応援してくれる事に興味が無いわけではない。俺だって普通に健全な男なのだから、スタイルの良い彼女が飛んだり跳ねたりしたら絶対に視線がそっちに向いてしまうだろう。

 だけど今の彼女の様子から察するに、そんな事をしたら間違いなく恥ずかしさで動きが止まってしまう。

 そもそも強制的にあんな格好をさせられた挙句、異性である自分にまじまじと見られるのは流石に可哀相だ。

 それに今の彼女がこちらの視界に入ると間違いなく気になって集中力を削がれてしまう。正直に言えばちょっと残念だけど後ろを向いてあげることがせめてもの優しさだろう。


「あ、ヤマル君はちゃんとエルちゃんの方を向いておくのよ」

「うぇ、何で?!」


 しかしそうは問屋が卸さないとばかりに、ウルティナから非情な一言が告げられる。


「集中力強化。あれぐらいで動じない心を鍛えなさい」


 嘘だ。顔は真顔な師匠づらしているけど、目が『面白そうだから』と雄弁に語っている。

 しかしそれを指摘したところでどうにもならない。『目がそう言ってませんよ』と言った所で証拠にすらならないのだから。


「エルちゃんも別に皆の前でそれを披露しようってわけじゃないのよ。でもせめてヤマル君程度なら見られても大丈夫なぐらいには頑張ってもらえないかなって」

「程度て……」


 いや、別にいいんですけどね。でももう少しマイルドな言い方にしてくれても……。

 しかし程度と言う言葉が功を奏した……かはさておき、エルフィリアは小さく「わかりました」とだけ返していた。


「よし、じゃぁ早速始めましょう! はい、よーいドン!! ほら、エルちゃんは早くやったやった!」

「どんだけ見たいんですか……」


 半ばげんなりと非難めいた言葉を口に出すも、ウルティナは気にせずエルフィリアの方を注視して……いや、ガン見していた。

 早くと急かされた彼女も最初はオロオロしていたものの、ゆっくりとではあるが教えられたであろうチアの動きをし始める。


「ふ、フレー、フレー、ヤマルさん……!」

「いいわよいいわよー! もっと元気よく激しくいってみましょー!」


 完全に言動がセクハラオヤジになっている。

 これが世の魔術師の最高峰だと言うのだから、この世界は色々間違っているとしか思えなかった。


「わふ! ワン!」


 そしてポチも一緒に何かしたかったのだろう。エルフィリアの隣まで移動すると、彼女の動きに自身の鳴き声を合わせはじめた。

 やっているのが自分だけじゃないとポチに勇気を貰ったのか、エルフィリアの動きが少しずつ大きくなっていく。


「ほらほら、ヤマル君もぼーっとしてないで修行修行!」

「あ、はい!」


 目の前の光景のせいで手が止まってしまっていたが、再び《軽光剣》を作り《追加構文》の練習へと取り組む。


「頑張れ頑張れヤマルさん……!」「ワン!」


 えーと、確かさっきまで試してた構文の内容は……。


「負けるな負けるなヤマルさん……!」「わふ!」


 だから次に試すのは……。


「わ、わ~~……!!」「わふ~~~~!!」


(集中出来るかあぁぁ!!!!)


 心の中で思いっきり《軽光剣》を地面に叩きつける。

 いくら動きがまだぎこちなく小さいとはいえ、彼女が腕を動かすたびに豊満な胸が揺れ、脚を上げるたびに瑞々しい太ももが露になり、小さく跳ねるたびに見えてはいけない箇所が見えそうになる。

 もしこれがコロナやレーヌだったらまだ可愛いものとして微笑ましく見れたかもしれない。

 しかし対男性特化型肉体凶器のエルフィリアから繰り出されるその動きはまさに視覚的暴力の塊だ。


「よーし、エルちゃん! 敵は怯んだからもっと畳み掛けるのよー!」

「え、あの、何か違うような……」


 流石にこちらの様子がおかしい事にエルフィリアも気付いたようで、応援モードのその動きを一旦止める。


「止まっちゃダメよー。あ、次は魔法詠唱して使いながらやってみましょうか?」

「え、その、ヤマルさんが……。それに動くだけでも結構きついんですけど……」

「大丈夫大丈夫。ちゃんとやれるように仕掛けはしたからねー」


 何を、と疑問を投げかける前にその異変に最初に気付いたのは自分だった。

 最初は目の錯覚かと思った。見慣れない服装になっていたのだから見間違いだろうと。

 だが何も動いていないのにも関わらず、いつの間にかエルフィリアのへそが完全に露になっていたことで確信を得るに至る。


「エルフィ、服、服! 何か小さくなってる!!」

「え…………き、きゃあああああ!!!!」


 こちらの指摘で気付いたエルフィリアがとても珍しく大声の悲鳴を上げる。

 そして最初に現れたときのように蹲ってボンボンで体を隠すも、その間にもチアガールの衣装は容赦なく短くなっていった。


「ちゃんと動いて魔法使わないと短くなる服でーす!」

「何てもん着させてるんですか!!」

「嬉しい癖にー。ほらほら、エルちゃんも動いて魔力出さないと真っ裸になるわよー!」

「ふええぇぇぇぇ……!!」


 流石にこの場でスッポンポンになるよりは恥ずかしくても動いた方が良いと思ったのか、おもむろに立ち上がり再び動き出すエルフィリア。

 最初の小さかった動きはどこへやら、半ばヤケクソ気味とも取れる動きをしているものの、止まっていた時間があったためかもはや際どさが半端では無い状態だった。

 先ほどまでは見えそうで見えなかったアンダースコートも見えてしまっているし、上も豊満な胸の下半球がチラチラと見え……って!!


「エルフィ、ブラジャーどうしたの!?」


 少なくとも上の衣装が短くなってるのなら、その下に付けてるはずのインナーなりブラジャーなりがまず見えるはずだ。

 水着ではあるまいし間違ってもあんなものが見えていいはずがない。

 まさかウルティナにノーブラで行くように言われたのかと思ったが、返ってきた回答は予想の斜め上を行くものだった。


「ぶらじゃーってなんですかーー!」


 魔法の詠唱の合間に叫ぶように返される事実。

 つまりあの子はブラジャーの存在を知らないと言う事である。


「いやー、エルちゃんってあれだけおっきいおっぱいなのにブラジャーつけないのね。おねーさんビックリ」

「気付いてたなら止めて下さいよ!!」

「だってエルフってあの子以外皆ペッタンコでしょ? きっとブラジャーって概念が無いんでしょうねー。流石に種族的文化なのに口出すのはねー」


 絶対嘘だ。気付いててあえて口を出さなかったんだろう。

 その証拠に相変わらず目が笑っている。


「さてさて、頑張ってるけどあれだけ滅茶苦茶な動きじゃそろそろ限界じゃないかなー?」


 ウルティナの言葉通り、体力を搾り出すように動いていたエルフィリアは体のキレがもはや覚束ないものになっていた。

 そしてそれを狙ったかのようにチア衣装の収縮が更に加速していく。


「ヤ、ヤマルさん、助け……!」

「エルフィーーーー!!」


 結局彼女の服は消える事になるのだが、その直前に《軽光》魔法で作った箱を上から被せたことで何とか事なきを得るのだった。



 ◇



「とまぁ皆で師匠に振り回され……何?」

「べぇっつにぃ~。私は真面目にしてるのにエルさんと楽しそうにしてるなーって」

「あの状況を楽しめるのはうちの師匠だけだよ……」


 ぷくーっと頬を膨らませ不満げなコロナだが、当事者から言わせてもらうとあれはかなり疲れる事態だった。

 結局その日はそのまま元の服に着替えてもらったのだが、以後エルフィリアは修行時には体操服+ブルマというマニアックな格好になっている。

 チア服のような変なギミックは無く、『異世界の運動着』とウルティナが説明したことで何の疑いも持たずそれを使用することになった。

 ただあれだけ酷い目に当たったのにまだ信じる辺り、人が良いと言うかまだまだ彼女の受難は続きそうだ。


「……ねぇ、私がそのちあがーる?の格好したらヤマルはどう思うの?」

「流石に動き止まったら裸になる服は止めた方が良いと思うけど……」

「違っ、そうじゃなくて……!」

「冗談だよ。コロが着たら多分似合ってたと思うよ」


 慌てるコロナに苦笑を漏らしつつ、正直な感想を述べる。

 あの手の服はエルフィリアのような大人しい子より、コロナの様な快活な子の方が似合うだろう。

 エルフィリアのあの格好が似合ってなかった訳じゃないのだが、それ以上に色々とヤバさが際立ってたからなぁ。街中であれやったら暴動が起こるかもしれない。


「そっか」


 自分の回答に満足がいったのか、小さくはにかみつつもコロナはどこか嬉しそうな表情を浮かべる。

 とりあえず彼女の機嫌が直った事に胸を撫で下ろし、ディモンジアへ続く道をゆったりと歩いていくのだった。


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