第3話
体育館は少し寒かった。
「校長先生、式辞」
あぁー、これ、長いんだよねー。
入学式の中でも特に長い
校長の挨拶だ。
「おはようございます、
新入生のみなさん
ご卒業、おめでとうございます。
3年間頑張ってください、
以上。」
え、短くない?
すごいなこの学校、大丈夫なの?
なんか想像と違う高校だなぁ。
最短の式辞に体育館は
少しざわついていた。
(あ、莉璃ちゃんだ…ん?
ね、寝てる!?)
少し俯いて目を閉じたその姿は
風に撫でられる
ススキのようだった。
入学式は終わり、
教室に戻ると
先生が生徒手帳や
お便りみたいな紙を配った。
今日は昼までだからもう下校になる
ただ、2年生の莉璃ちゃんは
午後からも授業がある。
下駄箱の靴に手をかけて
一緒に帰りたいなぁ。
そう思って手を止めた。
ずっと一緒だった。
小さい頃から莉璃ちゃんは
守ってくれて、励ましてくれて。
心の支えで、好きで。
気づいた頃には
言葉に出す勇気はなかった。
また一緒にいられる
誰もいない玄関に座り
下駄箱にもたれかかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます