第3話

体育館は少し寒かった。


「校長先生、式辞」


あぁー、これ、長いんだよねー。

入学式の中でも特に長い

校長の挨拶だ。


「おはようございます、

新入生のみなさん

ご卒業、おめでとうございます。

3年間頑張ってください、

以上。」


え、短くない?

すごいなこの学校、大丈夫なの?

なんか想像と違う高校だなぁ。

最短の式辞に体育館は

少しざわついていた。


(あ、莉璃ちゃんだ…ん?

ね、寝てる!?)


少し俯いて目を閉じたその姿は

風に撫でられる

ススキのようだった。



入学式は終わり、

教室に戻ると

先生が生徒手帳や

お便りみたいな紙を配った。


今日は昼までだからもう下校になる

ただ、2年生の莉璃ちゃんは

午後からも授業がある。

下駄箱の靴に手をかけて


一緒に帰りたいなぁ。


そう思って手を止めた。


ずっと一緒だった。

小さい頃から莉璃ちゃんは

守ってくれて、励ましてくれて。

心の支えで、好きで。


気づいた頃には

言葉に出す勇気はなかった。


また一緒にいられる



誰もいない玄関に座り

下駄箱にもたれかかった。

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