スキルとレベルはほどほどに
瑛多と
瑛多はこの世界に満ちた魔素を利用して、世界をどのような形にしようかと、様々な実験をし始めることになる。
ありとあらゆるものにスキルやレベルを設定して、自然科学に分類されるような、物理現象が存在しない世界を創り出すものの、これはこれで統制下に置きすぎたために、いい意味でのイレギュラーが起きないことが理由で、実験段階でこの方向性での世界構築を諦めた。
次に模索したのは、スキルレベルや職業レベル等のレベルに準じて、アカシックレコードへの情報取得を緩和するというもの、これもまた技術の発展を妨げてしまう事になってしまった。この方法だと既にある方法論に基づいた物しか発展しなかった為である。
瑛多は新たに造られるならば、ある程度でもいいので独自性を持たせたいと思っていたために、このやり方も候補から外した。
そして次に模索したのが、スキルレベルや職業レベルを現地の経験によって、情報を蓄積し反映させるというもの。
イクサーの世界内で技術の均一化が行われる傾向が強いものの、他世界と比べた時にある程度この世界独自の技術や文化などが出来る可能性を実験段階で見ることが出来た瑛多は、この世界の理をこの方針の下に構築することに決める。
その上で、他の世界からの転移や転生を多く受け入れることも加味して、コミュニケーションが行いやすいように瑛多の側でサポートするスキル等に関してだけは、彼の権限に於いて行えるようにした。
つまり異界渡りでよくある、「異世界なのに言葉が通じる」を行うという事である。
イクサーの何処かにある隔離された空間、所謂天界と呼べる場所であるここで、瑛多は
そんな彼の周囲へと目を向けてみよう。
整然と同様の見た目の肉体を持つに至る彼だが、その身体の能力は筆舌に尽くしがたいほどに強化されおりもちろん不老である。
その不死性もかなりの物で、イクサーという世界が完全消滅しない限り、瑛多が滅することな無い。
この点に関しては天照も同様の不死性を持っている。
そんな二人が居る此処は小さめの部屋に畳を引き、卓袱台や箪笥などの家具類で日本人であれば非常に落ち着くものとなっている。
「言語のサポートに関してはこんな感じかな?」
そう言いつつ瑛多は自分の周りに浮いている各種ウィンドウを確認しながら、作り上げた各種コミュニケーション補助スキルの確認を行っている。
このコミュニケーションスキルは瑛多の知識を基に作られたものである。アカシックレーコドーから、情報を参照することも考えたいた瑛多だが、独自性をというよりは、自分らしさをこの世界に反映させるために、自分の知識を使用して作成を行っていた。
その横では、天照がこの世界の理の最終調整を行っていた。
イクサーに反映された理は、これから先この世界で生まれた物の意思を反映させるというもの。これにより、この世界で起こった様々な事象はイクサー独自のアカシックレコードと呼べるものに蓄積されていく事になる。
そして、この蓄積された世界の経験は分類され、スキル名や職業名等をが振られ、レベルによって蓄積された情報へのアクセス権限の解放が行われるという仕様になっている。
「そっちはどんなかんじ?」
言語関係のコミュニケーション補助スキル作成に一区切りついた瑛多は、天照へと徐に声を掛ける。
「はい、マスター。こちらは世界へと反映できる段階です。確認しますか?」
「それは、大丈夫かな?仕様そのものはい変更していないんでしょ?」
「そうですね、前回のテストで判明した各種の不具合を修正しただけです。」
瑛多は一つ頷く仕草を取ると。
「なら、このスキルを組み込んでもう一回テストしてみよう。問題が無ければそのまま稼働させちゃおう。」
こうして、イクサーという名の世界は幾度もの実験と試行の末に、理が適用されることになった。
これは、この世界に生じる、あらゆる宗教の神話に載ることが無い、本当の天地開闢のお話。
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